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【世界のゴルフ旅】第2回「北アイルランド」北アイルランドの秘宝

精霊が宿る島の“神の奇跡”を訪ねる旅

世界のベストコースNo.4に輝くコースもあり、メジャーチャンピオンを4人も輩出しているエメラルドグリーンの島・北アイルランド。

世界の名だたる名コースにランクインしている「秘宝」を訪ねた。

大海原、自然の造形美、そしてタフな1日を楽しむ場所

©Getty Images

北アイルランドの僻地に存在する世界有数の名門コース、ロイヤルポートラッシュ。ダレン・クラークやパドレイグ・ハリントンら南北アイルランド出身の選手たちがメンバーに名を連ねているが、この地で2回目の全英オープンが昨年の7月に開催された。

それまでは宗教上の紛争により政情不安定だった北アイルランドだが、ようやくこの地に安定した平和が戻り、アイルランド系選手の活躍もあり、68年ぶりに世界最古のメジャーが戻ってきたのだ。

ロイヤルポートラッシュは1888年に9ホールのコースとして誕生し、以来、男・女・プロ・アマ問わず数々の大会が開催されてきた。

眼前に広がる大西洋の大海原とコースの造形美が素晴らしいが、海からの強風が難度を高め、手強いリンクスコースとなっている。

ローリー・マキロイは10歳の誕生日にダンルースコースでダレン・クラークに初めて出会い、16歳でコースレコードの61をマークした。思い出深い特別なコースとなっている。

©Tourism Northern Ireland
©Tourism Northern Ireland

5番ホールのグリーンからは、中世の古城「ダンルース城」が見える。ナルニア国物語の城のモデルにもなった場所。

Royal Portrush Golf Club
ロイヤルポートラッシュ・ゴルフクラブ

全英オープンを68年ぶりに開催

●コース/ダンルースコース(7317ヤード・パー75)、バレーコース(6346ヤード・パー71)
●料金/ダンルース(220ポンド)、バレー(50ポンド)*時期により変動
●貸しクラブ/タイトリスト、手引きカート・電動カートあり
●住所/Dunluce Rd. Portrush County Antrim BT56 8JQ
●HP/www.royalportrushgolfclub.com
●備考/設計はオールド・トム・モリス。のちにハリー・コルトが改修。
2019年全英オープン開催地

©Getty Images

68年ぶりに北アイルランドで開催された全英オープンでは、地元のシェーン・ローリーが優勝。

ロイヤルポートラッシュの6番ホール。美しい海岸線を背に置かれたベンチは記念撮影スポット。

©Tourism Northern Ireland

世界遺産に登録されている「ジャイアンツ・コーズウェイ」。六角形の玄武岩の石柱群が約4万本もある。

©Tourism Northern Ireland

幽霊が出るという噂のダークヘッジ。ブナの木が不気味に覆いかぶさる並木道を訪れる人も多い。

Northern Ireland
北アイルランド

イギリスだけどイギリスじゃない複雑なエリア

北アイルランドはイングランド、スコットランド、ウェールズとともに英国を構成する一つの要素であり、同じアイルランド島にあるアイルランド共和国とは国境を接している。

アイルランドとは「北アイルランド紛争」と呼ばれるプロテスタントVSカトリックの宗教上の対立などが1960年代から90年代にかけて続いたが、それにも関わらず北アイルランドは国籍的にはイギリスに属するが、気持ちはアイルランド寄りという複雑なお国柄である。

だからアイルランド人のシェーン・ローリーが全英オープンで優勝した時も、北アイルランドの人々は地元選手が優勝したのと同様に喜んだのだ。

アイリッシュオープン開催地
プロ・アマに愛される3つの本格リンクス

青々とした美しいドネゴールの丘を見渡すホールや1年中ベストコンディションを維持していることが自慢のリンクスコース。

松山英樹もプレーした北アイルランドの「ザ・リンクス」

©Getty Images

2017年にアイリッシュオープンが開催された時には松山英樹も出場し、プレーしたポートスチュワート。
1894年に開場した歴史的なリンクスコースだ。

本格チャンピオンシップコースも備えながら、一方で初心者でも楽しめるコースも備え、プロからアマまでプレーを堪能できる。

ロイヤルポートラッシュの隣町にあり、川や海にも面していてコースの自然のアンジュレーションも美しい。

改装したクラブハウスも快適で、プレー後の〝19番ホール〟を楽しめるバーも完備。

メンバーコースではあるが、ビジターもプレーできる、北アイルランドの庶民的なリンクスコースだ。

©GOLF LIFE

クラブハウス内には地ビールやウィスキーなども楽しめるバーがある。19番ホールはここで!

Portstewart Golf Club
ポートスチュワート・ゴルフクラブ

●コース/オールドコース(4822ヤード・パー64)、ストランドコース(7118ヤード・パー72)、リバーサイドコース(5725ヤード・パー68)
●料金/ストランドコース(5~9月は175ポンド、4月・10月は135ポンド、11~3月はマット使用で60ポンド)、オールドコース(時期により変動はあるが、15ポンド前後)、リバーサイドコース(平日25ポンド、週末29ポンド)
●貸しクラブ/あり。歩行困難なプレーヤーのみに手引きカート・電動カートを許可
●住所/117 Strand Rd. Portstewart County Londonderry BT55 7PG
●HP/www.portstewartgc.co.uk
●備考/1894年開場。オールドコースはパー5がなく、リバーサイドコースは1つだけパー5がある。

©GOLF LIFE

タイトリスト、キャロウェイ、テーラーメイドなど貸しクラブを各種用意。

©GOLF LIFE

カラフルなポートスチュワートのロゴ入りマーカー。
お土産に最適。

©GOLF LIFE

2017年のアイリッシュオープンでは、ジョン・ラームが優勝。使用クラブが寄贈されている。

©GOLF LIFE

取材中、たまたま南アの黒豹、ゲーリー・プレーヤーに再会!御歳84歳だが、日々トレーニングを積み、まだまだ元気!

北アイルランドのMUST GO PLACE

©Tourism Northern Ireland

ジャイアンツ・コーズウェイ

©Tourism Northern Ireland

「巨人のブーツ」と名付けられた奇岩。氷河が運び、溶けた時にこの地に残ったものだそうだ。

©Tourism Northern Ireland

海岸にびっしり敷き詰められた六角形の玄武岩は、約6000年前に起きた地殻変動による火山活動によってできたもの。

見どころがいっぱい
ゴルフの合間に訪れたい5ヶ所

アイルランド島は、エメラルド島とも呼ばれ、豊かな緑と透明度の高い海が美しい自然豊かな島である。

特にロイヤルポートラッシュのある北の海岸線沿いには世界遺産「ジャイアンツコーズウェイ(巨人の石道)」や古城「ダンルース城」、吊り橋などもあり、見どころ満載の観光スポットがある。

手付かずの自然の神秘を感じることができる北アイルランドのこうしたスポットは、プレー前の早朝やプレー後の夕方に訪れても美しい景色を見ることが出来、オススメだ。

世界遺産・奇妙な石柱群
「巨人の石道」はプレー前後に必見!

©Tourism Northern Ireland

サケ漁をする漁師のために作られた「キャリック・ア・リード」と呼ばれる吊り橋も有名。2つの崖を結び、長さは20メートル、高さは30メートル。

©Tourism Northern Ireland

不気味で幻想的なブナの並木道「ダークヘッジ」。グレイ・レディという女性の幽霊が出るという噂もあり、心霊写真も撮影されているという。

©Tourism Northern Ireland

ポートラッシュからも見える廃城「ダンルース城」。波の打ち付ける岩肌に立ち、長年の波風で風化。14世紀以前に建造され、要塞として利用されていた。

世界最古のウィスキー製造所「オールド・ブッシュミルズ蒸留所」

1784年に創業したこのウィスキー蒸留所は、世界最古の蒸留酒製造所と言われ、現在ではヨーロッパだけでなく、アメリカ、アジアにもウィスキーが輸出されている。

現地ではガイドに引率されて説明を受けることができるが、館内は写真撮影禁止。
お酒を飲まない人は、館内の匂いだけでも酔っ払ってしまう人もいるらしい。

ウィスキーのテイスティングもでき、購入もできる。

©GOLF LIFE

3回の蒸留を繰り返し、ブッシュミルズのウィスキーは製造される。

©GOLF LIFE

売店でウィスキーを購入することもできるので、お土産にどうぞ!

マキロイがゴルフを学んだ原点
生家から5分のジーンズOKコース

©Getty Images

コースは非常にこじんまりとしており、フェアウェイの幅も狭いパークランドコース。

開場当初は9ホールしかなかったという。

前半9ホールは比較的簡単だが、後半9ホールに入ると一気に難しくなり、12番は最難ホールと言われる。

マキロイの正確無比なショット力はハリウッドで生まれた

©Getty Images

2019 フェデックスカップチャンピオン
ローリー・マキロイ

マキロイの生家から車で5分のところに1904年に開場したハリウッドGCがある。

幼少の頃から彼は父ジェリーに連れられてこのコースでゴルフを学び、現在の地位にまで登りつめたのだ。

「このコースがあったから、今の自分がいる。ショートゲームも球の打ち分けもこのコースで学んだ」

たしかにコースは広大とは言いがたいが、その分ショットの精度が要求され、ショートゲームのうまさが物を言う。

現在は「ローリー・マキロイのホーム」として営業されているが、よりカジュアルにゴルフを楽しめるよう、ドレスコードもジーンズOKと非常にゆるい。

そして、マキロイの寄付金により最新式のスイング解析マシーンを備えるアカデミーやジムを備えたモダンなクラブハウスに改造されているとメンバーの一人が教えてくれた。

レストランだけの利用もOKというハリウッド。北アイルランドに来たら1度は訪れたいマキロイの聖地だ。

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コースから車で5分、徒歩20分のところにあるマキロイの生家。寝室は4部屋で、庭にはパッティンググリーンがある。2年前に3500万円で売りに出され、現在両親もこの家には住んでいない。

Holywood Golf Club
ハリウッド・ゴルフクラブ

●コース/6056ヤード・パー70
●料金/ビジターは75ポンド
●貸しクラブ/あり
●住所/Demesne Rd. Holywood, County Down, BT18 9LE
●HP/www.holywoodgolfclub.co.uk
●備考/1904年開場。公式にローリー・マキロイのホームコースとなっている。現代のライフスタイルも鑑みて、ジーンズでのプレーもOK。100ヤードのショートゲーム練習場もある。

マキロイの寄付金で誕生したクラブハウスがすごい!

©GOLF LIFE

トラックマンやKベストなど最新鋭のスイング解析マシーンを使用して、スイングチェックとレッスンを受けられるゴルフアカデミーが誕生。飲食も可能。

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最新のトレーニングマシンを揃えるフィットネススイート。個々に合ったトレーニング方法で指導を受けることができる。マキロイも時々利用しているそうだ。

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マキロイがコースを訪れた時に必ず頼むというアラバマチキンとコロナビール。北アイルランドなのに、なぜ「アメリカ?」という気もするが……。レストランのおばちゃんもマキロイの昔からの顔なじみ。

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クラブハウス内には全米プロや全英オープンで優勝した時のトロフィや、ライダーカップで使用したキャディバッグなど、貴重な品々が展示されている。

代々の王子がパトロン。
アイルランド最古のゴルフクラブ

ベストパークランドコースとして名高いロイヤルベルファスト。

パドレイグ・ハリントンはこのコースを「秘宝と語るにふさわしい」と絶賛。

タイタニックのデザイナーもプレーした歴史的なコース

1881年夏、セントアンドリュースでゴルフをしたトーマス・シンクレアという男性が、この地一帯の地主にゴルフ場を作りたいので、土地を譲って欲しいと懇願。

こうしてできたのがロイヤル・ベルファストだ。アイルランド最古のゴルフクラブと言われ、全英オープンに6勝しているハリー・バードン、タイタニックを設計したトーマス・アンドリュースなどもこのコースを回ったことが記録されている。

現在はローリー・マキロイがオナラブルメンバー入りしており、イギリスのアンドリュー王子がパトロンを務めている格式高いコースだが、メンバーコースでありながら、ビジターも受け付けているフレンドリーなコースだ。

©GOLF LIFE

設計者のH・コルトの肖像画。彼が1925年からコース改造を施し、現在も彼のデザインをそのまま残している。

The Royal Belfast Golf Club
ロイヤル・ベルファスト・ゴルフクラブ

●コース/6306ヤード・パー70
●料金/現在、85ポンド前後
●貸しクラブ/あり(30ポンド)。手引きカート(5ポンド)、乗用カート(40ポンド)あり
●住所/Station Rd. Craigavad, Holywood, BT18 0BP
●HP/www.royalbelfast.com
●備考/1881年開場。1885年にプリンス・オブ・ウェールズが招待され、
パトロンとなった時点でロイヤルの称号を受ける。ハリー・コルトがデザイン。

©GOLF LIFE

格式高いロイヤルの称号を持つアイルランド最古のゴルフクラブだが、ジュニアのゴルフにも支援的。

右から「孫と週に2回はきてるよ」フィンレーさん
「グリーンは速く、風の強い日は難しい!」サミュエルくん(14歳)
「このコースはドライバーが飛ぶんだ。」アーチーくん(8歳)

世界のベストコースランキングNO.1
オールド・トム・モリス設計の難関コース

©GOLF LIFE

クラブハウス内ではジャケット、ネクタイ着用と格式高いコースならではのドレスコード。ゴルフウエアで入れる部屋も限られている。

全英シニアオープンで須貝昇が優勝した名コース

ロイヤル・カウンティダウンといえば、米国ゴルフダイジェスト誌が米国以外のベストコースでNO・1に挙げる世界有数の名コースで、1889年に開場以来、ウォーカーカップやアイリッシュオープンなど数々の大会が開かれた。

2002年には全英シニアオープンで須貝昇が優勝。

元々はオールド・トム・モリスが設計し、その後何人もの設計家の手にかかり、現在のデザインになっている。

モーン山脈を背景にダンドラム湾に沿って横たわるこのコースは、グリーンが速く、ラフはゴースに覆われている難コース。

プロから初心者まであらゆるプレーヤーに厳しい試練を課し、ブラインドホールもかなりある。ボールはいつもよりも多めに用意しておいた方が無難だ。

ゴルファーたちがプレー後の1杯を楽しめるハードマン・ルーム。この部屋のテラスでのみ喫煙が可能。

The Royal County Down GC
ロイヤル・カウンティダウンGC

●コース/チャンピオンシップリンクス(7186ヤード・パー71)、
アネスリーリンクス(4594ヤード・パー67)
●料金/チャンピオンシップは、ピークシーズンの平日240ポンド、日曜日午後は250ポンド。アネスリーは50ポンド。
●貸しクラブ/あり。手引きカートは5ポンド。
●住所/36 Golf Links Rd. Newcastle Co Down BT33 0AN
●HP/www.royalcountydown.org
●備考/電動カートによるラウンドは不可。シニアキャディ(60ポンド)、スタンダードキャディ(40ポンド)、フォアキャディ(1組・80ポンド)をつけること。

自分で目土するのもマナーの一つ。1番ティには目土袋がかけられている。

クラブハウス内の美しいエントランスホール。開場当時からの歴史的な写真や資料が保存れている。

©Getty Images

モーン山脈の麓に位置するロイヤル・カウンティダウンは、世界のベストコース・トップ10から外れたことがない。

Photo/Golf File(Fran Caffrey)
Text/Eiko Oizumi
Thanks to Tourism Northern Ireland

*この記事は『EVEN』で掲載された記事をもとに再構成しています。

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