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【世界のゴルフ通信】 From USA 因縁の2人ついに和解?!

対決はブルックス・ケプカ(右)の勝利に終わった。デシャンボー(左)と握手をするも、2人ともなんだか浮かない表情?!

2人の対決は、ケプカに軍配!
デシャンボーはいいとこなし

ケプカVSデシャンボー
テレビマッチで対決

 ブルックス・ケプカとブライソン・デシャンボーは、とうとう彼らの確執をゴルフ場にまで持ち込んだ。デシャンボーにとって、ケプカとのゴルフ対決は思ったようにいかず、2人の戦いをテレビで観た視聴者たちにも大して好評ではなかったが、ブルックスにとっては完璧な展開だった。
 2人のトッププロの間に繰り広げられた、ほぼ1年にわたるイザコザの決着は、最終的に「ザ・マッチ」というテレビマッチでつけることになった。もしかして、もともと2人の確執が、テレビ用に巧妙に仕組まれたものだったのではないか? と感じる向きもあったが、それでもやはり、彼らの間にあった敵意は番組内でも、見受けられた。

ラスベガスのウィンゴルフコースで行なわれた「キャピタルワンズ・ザ・マッチ」では、不仲だったブルックス・ケプカ(右)とブライソン・デシャンボー(左)が一騎打ち。

 いったん対決が始まると、すべてがケプカの思い通りにことが進んだ。彼は1ホールも譲ることなく、4&3でデシャンボーに勝利。つまり、12ホールのマッチで、3ホールを残し、9ホールで決着がついたということだ。
 彼らの勝負はどんな展開にもなり得たが、ゴルフ界でNo・1の飛ばし屋であるデシャンボーは、コースを征服することができず、飛距離のアドバンテージを生かすことができなかった。

2人は本当に仲直りしたのか?

大会前の記者会見にて、笑顔を浮かべる2人。

 この2人は、9月にアメリカが欧州に圧勝した「ライダーカップ」で友達になろうと努めたが、彼らがチームの結束のために無理して仲良くしていたのは明らかだった。友情が生まれたようには見えなかったのだ。
 しかし「ザ・マッチ」はなぜ、わずか12ホールで行なわれることになったのか? デシャンボーが24ホールの対決を希望していたが、ケプカはデシャンボーと1ホールもプレーしたくない、ということで、間をとって12ホールになったらしい。

 ケプカは、「(12ホールでの対決は)フェアだね。彼との18ホールは(スロープレーだから)長い。他の人たちと同様、僕も彼のそばにはできるだけいたくないよ」
 2人の関係を、一言で表現するとしたら何か?ケプカは「そんなものは存在しない」と答え、デシャンボーは、「互いを軽蔑している」と語った。

 確執は4年程前にさかのぼり、ケプカがデシャンボーのスロープレーについてコメントしたことから始まった。これはしばらくして落ち着いたが、2018年の「ノーザントラスト」で再浮上し、スロープレーの問題が話題となったのである。2人は互いの名前を引き合いに出さない、と停戦に合意したが、ケプカによると、結局はデシャンボーがこの合意を破ったらしい。

 そして「全米プロ」の最終日、テレビのインタビュー中に後ろを通りかかったデシャンボーに対して、ケプカがイライラし、インタビューを中断した動画が、瞬く間に拡散された。その動画によって、再び2人の確執がクローズアップされることになり、デシャンボーはファンから罵られるようになった。
 デシャンボーは、「僕をいじめ続けたいと思うなら、どうぞ」と、「ザ・マッチ」の数日前にも語っていた。「今のところ、僕への嫌がらせがうまくいっているわけでもない。個人的には僕の方が勝っていると思っている。彼は数試合で予選落ちしているが、予選落ちしたときに大きな口は叩けないよね」
「あいつが僕を打ち負かそうとするやり方にはうんざり。ゴルフの試合ではそんなもの必要ないけど、彼はあらゆる角度から、あらゆる手段と方法で僕を打ち負かそうとしているだけだ」
「何のために? 知らないよ。たぶん彼は僕に嫉妬していて、ツアーからプレーヤー・インパクト・プログラム(ファンやスポンサーの関心を引くと判断された選手に報酬を与えるボーナス制度)のお金がいくらか欲しいからじゃない? 本当にそうなら『ワオ!なぜ、そんなことをしようとしているの?』といった感じだよ」(デシャンボー)

 2019年の「ノーザントラスト」で、デシャンボーは最終ラウンド前に直接ケプカに怒りをぶつけるのではなく、ケプカのキャディであるリッキー・エリオットにクレームをつけたことが、彼とデシャンボーとの問題を大きくさせたと説明した。2人は何らかの合意に達したが、デシャンボーがSNS上でケプカをからかった際にこれを破ってしまった。
「僕たちは互いについて何も言わず、互いの名前も口にしないと合意したのに、彼は僕の名前を出し始めたんだ。名前を出すなって言っておきながら、まさか2~3か月後に自分で僕の名前を出すなんてね」(ケプカ)  

スリクソン・クリーブランドゴルフと契約したブルックス・ケプカ。今大会で初めて公に披露した。

 ゴルフ業界は、PGAツアーの試合やメジャーで2人の同組でのプレーが見られるかどうかに注目していたが、それは起こらなかった。過去、2人が一緒にプレーしていたとしても、5年程前に1度あったくらいである。彼らは、エキシビションで共演し、約3億4000万円超のチャリティ金が集まった。このことは、このイベントをやって最もよかったことだが、試合そのものは、大した内容ではなかった。今後おそらく、通常の試合の中で、2人の本当の和解が見られるのではないだろうか。

Text/Bob Harig
Photo/Getty Images

ボブ・ハリグ(アメリカ)
ESPN.comシニアゴルフライター。25年以上にわたり、ゴルフトーナメントの取材を続けている。全米ゴルフ記者協会会員。

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