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【世界のゴルフ通信2020.5月】From Middle East 米ツアーともコラボ!?サウジアラビアの底力

サウジアラビアのゴルフの普及について語るサウジゴルフ連盟・最高経営責任者のマジェド・アル・ソロル氏。

ゴルフの普及に注力するサウジアラビア

数年前までゴルフ界ではほとんど知られていなかったサウジアラビアが、R&Aの競技を採用するという大胆かつ意欲的な計画を掲げたことで、スポーツ界で最も話題になっている。

欧州ツアーでは2月初めに「ソフトバンク・インベストメント・アドバイザーズ」がスポンサーを務める賞金350万ドルの第2回サウジインターナショナルが開催されたが、このトーナメントはサウジアラビアのゴルフにとって一つの話題にすぎない。北アイルランドのグレアム・マクドウェルが優勝したが、同時に開催されたサウジゴルフサミットで当局者が意欲的な計画を公表したからだ。

このトーナメントは、王国の人権問題の歴史があるため、多くのゴルフファンの間で論争を巻き起こしたが、19年に世界ランク1位だったダスティン・ジョンソンや最近まで世界ランク1位だったブルックス・ケプカが出場しており、サウジアラビアが本気であることを示した。

ゴルフは、同国が掲げる「ビジョン2030」にも欠かせない要素であり、モハメッド・ビン・サルマン皇太子は、そのビジョンに従って、大規模な社会改革計画、経済的改革計画および開発計画に着手したいと考えている。

サウジゴルフ連盟・最高経営責任者のマジェド・アル・ソロル氏は、人々にとって身近なゴルフコースの建設、世界レベルのトーナメントの開催、草の根レベルでのゴルフの促進など、競技を普及させるため、同連盟はあらゆる可能性を探るだろうと話した。

また、彼は自身の講演において「ゴルフの基礎をマスターするには、本気で取り組み、集中してやらなければならない。

スポーツでは、自制力、礼儀作法、規律が求められるが、私はこうした価値観を現代のサウジアラビアの骨組みの一部にしたいと考えている」と語った。

さらにトーナメントとサミットを進める中で、同計画を構成するさまざまなプロジェクトを明らかにした。

ジェッダ近郊のアブドラ国王経済都市にあるロイヤルグリーンG&CCは、サウジアラビアで初めて建設された新コースの一つであり、さらに2030年までに13コース以上を建設する計画がある。

ゲーリー・プレーヤー、グレッグ・ノーマン、アーニー・エルス、ロバート・トレント・ジョーンズJrなどのよく知られたゴルフコース設計者が今年のサミットに参加していた。新しいゴルフコースはすべて、今まで作られたゴルフ場の例にならって環境にやさしく持続可能なものを目指すことになる。

新しい造成地に対して施行する国家レベルの計画を作成するため、ゴルフ環境団体(GEO)と契約が交わされた。必要な芝生を全コースに供給するため、新しい芝生育成地もオープンしている。

将来、PGAツアー開催も実現か!?

欧州ツアーのサウジインターナショナルとは別に、サウジアラビアのゴルフ界に新たな道を切り開く女子トーナメントが開催された。

賞金額100万ドルのサウジレディスインターナショナルで、欧州女子ツアースケジュールの3月19日~22日に開催された試合である。

しかしながら、今後さらに多くの発表を控えている。アル・ソロル氏は、サウジゴルフ連盟は近いうちにアジアンツアーでイベントを開催し、欧州ツアーでも2つ目のトーナメントを開催したいと述べた。

同氏は「我々は、1つで満足するつもりはない。アジアンツアーと手を組み、欧州ツアーとも2大会目を目指してやり取りしている。

まだ今の時点では発表することはできないが、まもなく別の発表をすることになるだろう」とし、近いうちにPGAツアーを開催する可能性について話し合っているところだと付け加えた。

サウジインターナショナル開催地のロイヤルグリーンG&CC・16番ホール。砂漠の地に青々としたグリーンとターコイズブルーのペルシャ湾が美しい。

現在、サウジのプロはたった1人。国家レベルでゴルフ人口を増やす

しかし、開発計画全体において何よりも重要なのは、同国内のゴルファーを増やすことである。サウジアラビアには今のところ、プロゴルファーがオスマン・アルムラ1人しかおらず、地元の一握りの人だけがゴルフをしている状況である。

ゴルフサミット期間中、サウジゴルフ連盟とゴルフサウジの会長を務めるヤシル・アル・ルマイヤン氏は、20年末までに最大2万7000人にゴルファー数が増えることを目指し、100
万人を超えるサウジ国民が積極的にゴルフに挑戦する世界を実現すると約束した。

国家レベルで計画が進められており、資格のあるコーチを雇って子どもたちのために定期的にキャンプを開き、ナショナルカリキュラムに競技を盛り込むための取り組みがなされている。

ゴルフツーリズムも計画に含まれており、王国はゴルフをプレーすることを目的に年間5000人が訪れると見込んでいる。

欧州ツアー・中東シリーズの勝者たち

(2020年1〜2月に開催)

サウジインターナショナル

グレアム・マクドウェル (北アイルランド)
Graeme McDowell

オメガ・ドバイ・デザートクラシック

ルーカス・ハーバート (豪州)
Lucas Herbert

アブダビHSBC選手権

リー・ウエストウッド (イギリス)
Lee Westwood

Text/Joy Chakravarty

ジョイ・チャクラバルティ
(アラブ首長国連邦)

ドバイを拠点に25年以上に渡り世界中でゴルフ取材を続けている。

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