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【世界のゴルフ通信SP】From USA スケジュール通りに進む か?年内延期の3大メジャーは実施可能か不透明

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©Getty Images

11月開催が予定されているマスターズ。4月開催に比べれば北風が吹き、気温も下がるという。

スケジュール通りに進むか?
米ツアー&メジャー

ゴルフ界のリーダーたちは、このような不確実な時代ではすぐに答えを出すことはできないと知りつつも、できる限り早いプレーの再開を願っている。

コロナウイルスのパンデミックによりスポーツイベントの中止が相次ぎ、ゴルフ界でも最善の方法が模索されている。

そのことを念頭に置きながら、各ゴルフ団体は人知れず努力を払い、保健当局や政府当局からスポーツ再開が許可されたときに、実施可能と思われる予定を発表している。

意欲的で慌ただしい予定ではあるが、祈るような思いで計画は進められている。

全英オープンだけは中止となり、来年、ロイヤルセントジョージズでの開催が決定し、全米プロ(8月16日~19日、サンフランシスコ・TPCハーディングパーク)、全米オープン(9月17日~20日、ニューヨーク郊外ウィングドフット)、ライダーカップ(9月25~27日ウィスコンシン・ウィスリングストレーツ)は今年中の開催を計画。

また、メジャーで最初に延期を決めたマスターズは、11月12日~15日に予定を変更している。

オーガスタナショナルGCとマスターズ委員長を務めるフレッド・リドリー氏は、次のように述べている。

「今後のプランについては、保健当局からの有益な助言や指示によって左右されることを強調したい。2020年のマスターズが開催されるものとして、選手と本来、4月開催の場合に出場資格のあったアマチュアを招待し、既にチケットをお持ちの方々には、マスターズ開催の1週間を存分に楽しんでいただきたいと思う」

11月のオーガスタは少し涼しく、植え込みの花もそれほど色とりどりで鮮やかではないかもしれないが、ゴルフができるというだけでも、すばらしい光景ではないだろうか。

またLPGAツアーも、メジャー2大会のANAインスピレーション(9月10~13日、カリフォルニア州ランチョ・ミラージュ)と、全米女子オープン(12月10~13日、ヒューストン・チャンピオンズGC)についても開催日の変更を発表している。

PGAツアーでは、チャールズシュワブ・チャレンジ(テキサス州コロニアルCC)が6月11~14日にスケジュールが変更され、ジャック・ニクラス主催のメモリアルトーナメント(オハイオ州ミュアフィールドビレッジ)は7月16~19日に開催すると発表した。

6月中旬からの開催は楽観的とも思われるが、無観客で4試合を実施しようとしている。

予定通りに進めた場合、WGCフェデックス・セントジュード招待は、男子のオリンピックゴルフ中止で空いた週(7月30日~8月2日)に行なわれ、その後、サンフランシスコでの全米プロが開催されることになる。

その翌週はウィンダム選手権を開催し、フェデックスカップのプレーオフシリーズである、ボストン近郊でのノーザントラスト、シカゴ近郊でのBMW選手権、そして米国の勤労感謝の日(月曜日)にあたる9月7日に終了するアトランタのツアー選手権と続く。

「私たちは今後も公衆衛生当局の指導に従いますが、8月の全米プロ、そして9月25~27日のライダーカップを、合理的な方法で安全に開催できることを願っています」と全米プロゴルフ協会のセス・ウォーCEOは語っている。

「我が国は極めて困難な時期を経験しているが、8月に全米プロ、9月にライダーカップと実施できれば、我が協会員にとって誇らしい出来事となるだろう」

フェデックスカップのプレーオフを含むPGAツアー4試合が開催された後は、全米オープンとライダーカップに先立って開催されるセーフウェイオープンをはじめとして、数々のツアーが予定されている。

「大会を延期することで、健康や安全に関わる問題を緩和する機会がもたらされ、全米オープンを今年中に実施する最高の機会となるだろう」と全米ゴルフ協会のマイク・デイビスCEOは語っている。

「ウィングドフットのメンバーとスタッフが、柔軟にサポートしてくれていることに深く感謝している。また、複雑になったスケジュールの中で、各ツアーやその他メジャー大会との間ですばらしい協力態勢がとれていることにおいても感謝している」 

なお、PGAツアーは10月以降、サンダーソンファームズ、シュライナーズ・ホスピタルズ・フォー・チルドレン・オープンの後は、アジアンスイングの韓国(CJカップ)、日本(ZOZOチャンピオンシップ)、中国(WGC−HSBCチャンピオンズ)というスケジュールで再開される。

マスターズの前にはヒューストンオープンが行なわれ、さらにシーズンの締めくくりとして、2つのトーナメントが米国の感謝祭前に開催される。

©Getty Images

オーガスタナショナルGCのフレッド・リドリー会長は3月13日、マスターズを延期すると発表。「新型コロナウイルスに関わる危険性は増すばかり。決断せざるを得なかった」と語った。

全米のゴルフ3団体が義援金を送る

全米ゴルフ協会(USGA)と全米プロゴルフ協会は500万ドル(約5億4000万円)の義援金を送ることを約束した。

USGAからの助成金は、各州と地域のゴルフ協会を支援するものであり、全米プロゴルフ協会からの助成金では、ゴルフ業界の中でパンデミックにより失業や一時休職となった者に対して相当額が支払われる。

またオーガスタ・ナショナルは、ジョージア州オーガスタに拠点を置く、コロナウイルスに特化した医療組織に200万ドル(約2億1600万円)の寄付を行なった。

レーキやボール洗浄機などは撤去。支払いは前払い

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乗用カートは、ハンドルなどの他人との間接接触を避けるため、1人1台でプレーする(アリゾナ州アローヘッドCCにて)。

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間接接触防止のため、カップを浅くする方法と、このようにカップを外に出して、手をカップに入れないようにする方法を取っているコースもある(写真は、フロリダ州タンパのウェストチェイスGC)。

プレーヤーズ選手権後のフロリダのゴルフ事情

プロゴルフ界は、プレーヤーズ選手権開催中の3月13日、第1ラウンドが終了した後で中止された。

私はその翌日、同じフロリダ州にある自宅に戻ったが、コースの営業状況はまちまちだった。

例えば、タイガー・ウッズはフロリダ州ジュピターに所有するメダリスト・ゴルフクラブでプレーすることはできても、南フロリダにあるほかのコースは閉鎖されている、という具合だ。

実際プレーをしてみたが、各ゴルフコースでは、安全な社会的距離を保つ対策として、ゴルフカートは1人につき1台とし、バンカーならしとボール洗浄機は撤去。

カップに手を入れられないようにするため、カップを持ち上げていた。

また、料金の支払いは前払いにすることで、できるだけやり取りを制限していた。

屋内のレストランは全て閉鎖され、屋外で集まる場合も最大10人ずつに分けられている。

理想的とは言いがたいものの、適切に行なわれるのであれば、良い策だと言えそうだ。

大会を実施する前に徹底した検査の実施

しかし、予定されたゴルフトーナメントが、どれだけ開催できるかはわからない状況である。

楽観的とも思えるが、ツアーにとっては、保健当局がこうしたイベントの実施を許可した場合に備えて計画を立てる以外に選択肢がなかったのだ。

とは言うものの、今後数カ月でやるべきことは多い。

特に重要なのは、広範にわたるコロナウイルスの検査である。

全ての選手、キャディ、オフィシャル、メディア、そして観客に対しても、検査を行なわずに開催スケジュールの見通しを立てることは難しい。それが最初のステップである。

Text/Bob Harig

ボブ・ハリグ(アメリカ)

ESPN.comシニアゴルフライター。25年以上に渡り、ゴルフトーナメントの取材を続けている。全米ゴルフ記者協会会員。

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