PGAツアー会場に世界にたった4機の異形飛行機が接近!
空港付近のコースなら、上空を見ながらいろいろな飛行機が飛んでくるのを見るのも楽しいが、こんな巨大な飛行機が飛んできたらちょっとビックリするのでは?
PGAツアー再開第2戦「RBCヘリテージ」3日目のプレーが行なわれている最中に全長約72メートル、機体全高約22メートルの巨大な飛行機が、サウスカロライナ州ヒルトンヘッド上空に出現。
一体これは……?
Harbour Town Golf Links/U.S.A.
ハーバータウン・ゴルフリンクス(アメリカ)
ゴルファーの夢と医療物資を運ぶ「ドリームリフター」
大会3日目の午後4時過ぎ、ハーバータウンGL18番ホール上空に1機の巨大な異形飛行機が飛来した。
頭部は747型機だが、胴体が異様に膨れ上がっている。不恰好だが、とにかく大きさに圧倒される機体だ。
これは何かと言えば、航空マニアにはたまらない、世界でたった4機しかないというボーイング747の改造機「ドリームリフター」なのだ。
機体の全長は約72メートル、全高は22メートルで7階建てのビル相当の高さ。
貨物室は大きなトンネルのようになっており、ミニクーパー80台、あるいはピンポン球42億個が入る計算だという。
主に787型機の部品を輸送するために改造され、現在、最終組み立て工場のある米国ワシントン州のエバレット、サウスカロライナ州ノースチャールストンに中部国際空港から日本で製造された部品を週6便ペースで輸送している。
PGAツアーとボーイング社は2011年以来、スポンサーシップを結んでおり、観客へのサービスとして毎年試合会場上空にボーイングの飛行機を飛ばすのが恒例行事となっている。
通常ならボーイングの機体とおなじみの灯台を背景に写真を撮るのがお楽しみの一つなのだが、今年は無観客ながらも飛行を実施。
選手たちはプレーの合間に空を見上げ、異形飛行機の飛来を物珍しそうに眺めた。
なお、通常は飛行機の部品を運ぶための機種だが、5月には4機中3機を中国から医療物資15万セットを輸送するために使用した。
「サウスカロライナ医科大学」はボーイングとパートナーシップ協定を結んでいるが、その他米国内の病院も含め、新型コロナウイルスと闘う医療従事者たちにゴーグルやフェイスシールドなど医療物資15万セットを寄付。
夢を運ぶ〝ドリームリフター〟が、コロナ感染拡大防止にも大いに貢献している。
747-400型機をベースに輸送力を向上させた747LCF型「ドリームリフター」。ミニクーパーなら80台入るほどの容積に相当。世界最大規模の貨物輸送機。
日本では、中部国際空港(セントレア)からアメリカへ、ボーイング787型機の部品(部品の35%は日本製)が積み込まれ輸送される。2月中旬には787型機の1000号機目の主翼が輸送された。
ボーイング最高経営責任者のデーブ・カルホーン氏はドナルド・トランプ米国大統領に連絡し、世界最大の「ドリームリフター」を使用して、中国から医療従事者用の個人防具約15万セットを空輸すると伝えた。
Text/Eiko Oizumi
Photo/Getty Images