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【完全保存版】The Major なぜメジャーは特別なのか?その歴史を紐解く!

マスターズ、全米オープン、全米プロ、全英オープンの4大大会を「メジャー」と呼ぶ。

この4大会はプロゴルファーなら一度はそのトロフィを手にしたいと夢見るビッグイベントだ。

なぜ「メジャー」は特別なのか? なぜそれほど勝ちたいのか?

メジャーの歴史を紐解き、徹底研究する。

©Getty Images

1980年、バルタスロールCCで行なわれた全米オープンでは、青木功との死闘の末、優勝したジャック・ニクラス。

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2011年、コングレッショナルCCで開催された全米オープンでぶっちぎり優勝を果たしたローリー・マキロイ(中央)。

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2006年、フィル・ミケルソンがマスターズで優勝。グリーンジャケットを羽織らせるディフェンディングチャンピオンのタイガー・ウッズ。

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1962年、ロイヤル・トゥルーンで行なわれた全英オープンに優勝した故アーノルド・パーマーとウィニー夫人。

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2008年全米オープン以来、11年ぶりにメジャー制覇を昨年マスターズで果たしたタイガー・ウッズ。

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87回全米プロでメジャー初優勝を遂げたフィル・ミケルソン。

©USGA

2018年全米オープンで優勝したブルックス・ケプカ。前年、エリンヒルズで行なわれた同大会に続き全米オープン2連覇を果たした。

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2013年、メジャー初優勝をオーガスタの地で挙げた、マスターズチャンピオンのアダム・スコット(右)と、前年度チャンピオンのババ・ワトソン。

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メジャー9勝のベン・ホーガン。第2次大戦や致命的な交通事故のため、20年以上プレーできない時期があったが、それでもツアー通算64勝を達成。

Text/Eiko Oizumi Photo/Getty Images

なぜメジャーは特別なのか?

【1930年からその歴史は始まった】

ボビー・ジョーンズのグランドスラム達成がメジャーの価値観を変えた!

プロゴルファーなら誰もが一生に一度は勝ちたいと願うメジャー。

他にも賞金額が高く世界のトッププロたちがほぼ出場する試合があるにも関わらず、メジャーだけはみな別格視する。

なぜメジャーはこんなにも特別なのだろうか?

4大メジャー優勝が「グランドスラム」と名付けられた理由

1930年に米国人のボビー・ジョーンズが「グランドスラム」を達成した当時、ゴルファーが優勝を目指す最大のトーナメントは全米オープンと全英オープン、そして全米アマと全英アマだった。

実際、ジョーンズは一度もプロに転向することなく、ジョージア州で弁護士業に専念するため、28歳で引退している。

30年、彼はグランドスラムを達成した。この偉業について、アトランタのスポーツ記者O.B.キーラーはジョーンズの偉大な功績を「グランドスラム」と呼んだが、グランドスラムとは、3人のランナーがいる状態で、野球選手がホームランを打ってランナーを一掃することを意味する。

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1930年に全米オープン、全英オープン、全米アマ、全英アマの4大会で優勝し、年間グランドスラム達成したボビー・ジョーンズ(左)。

プロのビッグタイトル4大会がメジャーに

ジョーンズの引退を受けて、この最も権威ある2つのアマチュア選手権はスターの力を徐々に失うことになる。

全米アマと全英アマで勝利することは今も大きな意味を持っており、それぞれの勝者は現代の3つのメジャーに参加する資格を有するが、現代のゴルフ界では、マスターズ、全米オープン、全英オープン、そして全米プロが4大メジャーとなっている。

マスターズは、オーガスタインビテーショナルと呼ばれるフレンドリーなイベントとして始まり、ジョーンズの親しいゴルファーの友人たちが招待された。

34年に第1回大会が開催され、ホートン・スミスが優勝。

その後マスターズは、すぐにゴルフ界において歴史上大きな役割を担うようになった。

また全米プロも他の3つのメジャーと同様、選手たちが毎年懸命に勝利を目指す4大イベントの1つとなったのだ。

パーマーの一言が現代の4大メジャーを作った

現代のグランドスラムはどのように生まれたのだろうか。

アーノルド・パーマーは60年、マスターズで優勝し、次いでコロラド州デンバーのチェリーヒルズCCで開催された全米オープンで優勝した。

パーマーとボブ・ドラム(パーマーについて書いた著書もある、ピッツバーグ出身で著名な米国のゴルフ記者)は、セントアンドリュースの全英オープンに出場するためにスコットランドへ向かう機中で、60年のパーマーの素晴らしい幕開けについて話していた。

パーマーはジョーンズの樹立したグランドスラムに挑戦するため、全米アマと全英アマに出られないことだけがプロとして心残りだと語った。

そこでドラムは、メジャーを見直し、それを現代のグランドスラムと呼んではどうかと提案した。

ドラムは、その発想を書きまとめ、あらゆる知人に話してまわり、その言葉を広めた。

年間グランドスラムを達成した者は不在

現代のゴルフ界で年間グランドスラムを達成したゴルファーはいない。

タイガー・ウッズは、4大メジャーのトロフィーをすべて連続して獲得したが、これは2シーズンにまたがり、年間グランドスラムとは言えない。

2000年の全米オープン、全英オープン、全米プロ、次いで01年4月にマスターズと4大メジャーで一気に連勝したが、それは、「タイガースラム」と呼ばれている。

歴史上、現代の4大メジャーを全て制覇したゴルファーは、G・サラゼン、B・ホーガン、J・ニクラス、G・プレーヤー、T・ウッズの5人しかいない。

そして現役選手の中では、3人の選手が4つのうち3つを獲得し、メジャーの完全制覇を目指している。

P・ミケルソンは全米オープン(2位6回)、J・スピースは全米プロ、そしてR・マキロイはマスターズを制覇すればグランドスラムを達成することになっている。

年間グランドスラムを達成しているのはいまだB・ジョーンズだけ

©Getty Images

ジョージア州アトランタ出身のボビー・ジョーンズは、マスターズの創始者としても知られ、「球聖」の異名を持つ。

1930年にメジャー4大会で優勝し、年間グランドスラムを達成。生涯アマチュアとして活躍したが、28歳で競技生活から引退。

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1935年マスターズでティショットを放つB・ジョーンズ。トミー・アーマー、ジーン・サラゼン、ウォルター・へーゲンとともにプレー。

Text/Jeff Babineau

ジェフ・バビニュー(アメリカ)

元ゴルフウィーク誌編集長。ゴルフ取材を30年以上経て、現在フリーライターとして活躍。マスターズは25回以上取材経験を持つ。

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