私が愛したゴルフコース第1回は、世界のゴルフフォトグラファーの巨匠デビッド・キャノンが「ケープ・キッドナッパーズ」を紹介。
Text & Photo/ David Cannon (Getty Images)
ケープ・キッドナッパーズのハザードは太平洋。グリーンオーバーするとボールは海に消えてしまう。
リッゾーリ社から出版される私の著作『世界のゴルフコース』の仕事を進めていた2004年、私はニュージーランドを2度訪れた。
最初に訪れた時、北島のウェリントンから約400キロのところに位置するケープ・キッドナッパーズまで、私はワクワクする気持ちを逸らせながらドライブしたことを決して忘れない。
永遠にたどり着けないと思えるような遠い道のりを経て、ゴルフコースの入口までやっとたどり着いたことも思い出に残っているが、鬱蒼とした松林の中を抜け、最高に美しい農場地帯の起伏の広がりを眺めながらドライブしたこと、自然で素朴な羊小屋だけがようやく見えてくるまでの曲がりくねった道を今でも私ははっきりと覚えている。
のちに、その小屋はセンスの良いプロショップとクラブハウスであることがわかったのだが……。
美しさに興奮を抑えられないのがキッドナッパーズ
ゴルフコースの写真撮影をするには、常に自らが気象の専門家でいなければならないことを意味する。
キッドナッパーズでコース撮影しようとした時、雲がものすごい勢いで迫ってくるのが見え、自己紹介さえもできないくらいの時もあった。
私はカメラを持ち、ゴルフカートを運転しながら撮影をスタートした。
このコースはトム・ドークによる設計で、彼はあっという間に世界中で最も有名で引っ張りダコの設計者の一人になっていた。
ボクは彼のゴルフコースが好きで、いつも撮影しているとその美しさに興奮を抑えられないのだが、実際、キッドナッパーズも期待通りのすばらしいコースだった。
コースに到着したのは日没まで1時間ほどの夕暮れ時だったが、行けるところまでコースを回り撮影したのがこれらの写真である。
みなさんにもこのコースの美しさをおわかり頂けると嬉しい。
13th Par3/130yard
周囲に遮るものが一切ないため、風の影響を受けやすい。
断崖絶壁の上にあるケープ・キッドナッパーズは遮るものが何もないので、風の影響をモロに受ける。
クラブハウスにはダイニングエリア、プロショップ、ロッカールームを備える。
ホークス湾から見たケープ・キッドナッパーズの眺め。断崖絶壁の上に自然の地形を生かしたコースが横たわる。
高所恐怖症の人は怖いかも……。
CAPE KIDNAPPERS
ケープ・キッドナッパーズ(ニュージーランド)
●設計:トム・ドーク ●全長:7147ヤード(パー71) ●備考:男女レンタルクラブあり。
ニュージーランドの北島に位置し、オークランド空港から車で5時間。ロッジあり。2004年オープン。
https://www.robertsonlodges.com/the-lodges/cape-kidnappers/golf
David Cannon デビッド・キャノン(イギリス)
世界のゴルフフォトグラファーの巨匠、第一人者として今も第一線で活躍するデビッド・キャノン。
彼のファインダーを通して切り取られた世界のゴルフコースの数々は、まるで宝石箱のジュエリーのように一つひとつが個性豊かに輝いている。
海外メジャー100大会以上を取材し、現在も第一線で活躍中のゴルフフォトグラファー界の巨匠。
自身もシングルハンデの腕前で、息子はプロゴルファー。
アメリカ、ヨーロッパ、中東、オーストラリア、アジアと世界各国を股にかけて撮影している。
Getty Images所属。