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【2020年のゴルフ界はこうなる!】アジアの展望

子年(ねずみどし)となる2020年、アジアのゴルフ界はこの干支に例えて、誰が勤勉さの象徴であるネズミとなるかが鍵となる。

地道に一歩一歩と前進する アジアゴルフ界のネズミは誰になるのだろうか?

ネズミ年の2020年ゴルフ界のラットレースがやってくる!

ご存知ない読者のために説明しておくと、中国などのアジア諸国では2020年1月25日の土曜日にネズミ年が始まる。

干支を知っている人なら、順に並んだ12の干支のうち、一番最初がネズミ年であることはよくご存知だろう。

さらに干支だけでなく、干支の動物を決めるために玉皇大帝が開催したレースで、機転の利くネズミが川を渡るためにどのように勤勉な雄牛に乗せてもらったのか、雄牛がゴールラインを越える前に飛び降りたのか、旧正月の伝統的な物語を語り合うのも面白い。

ネズミはレースに勝ち、干支の最初の動物になったが、中国の文化では、ネズミは勤勉と倹約の象徴。

そのため、「ネズミ年」に生まれた人々は裕福で繁栄するものと考えられている。
だから、来年ゴルファーたちはネズミのように勤勉に練習し、アジアのゴルフ場のフェアウェイでは無駄な1打を叩かないようにしたい。

世界のトッププロたちにとって今年はメジャーだけではない

男子も女子もメジャー大会はあるが、勘の鋭い方は、この注目度の高い数々の試合にアジアの開催地が入っていないことに気付いているだろう。

しかしながら、2020年7月30日から8月8日までの10日間は、日本の霞ヶ関カンツリー倶楽部でオリンピックが開催される。

世界中のゴルフファンたちの注目の的になるだけでなく、毎日放送される4年に1度の夏季オリンピックを観ようとチャンネルを合わせる地球上のスポーツファンの注目が集まるのだ。

そして間違いなく、2020年にオリンピックが東京で開催されるということは、高貴で伝統的なゴルフのいい印象を一般に、とりわけアジアに広める絶好の機会となる。   

ゴルフ人口の高齢化と求められる普及の起爆剤

近年、ゴルフ界がいささか荒波にもまれており、新設されるコースよりも閉鎖されるコースが多く、ゴルファーの数が着実に減っているのは周知の事実である。

またアジア諸国の多くではゴルフクラブのメンバーの平均年齢が60歳を超え、ミレニアル世代(1981~1996年に生まれた人々)が両手を広げてゴルフを受け入れるような兆候はほとんど認められない。

そこで、女性やマイノリティの競技人口を増やし、今世紀生まれの人々の興味を掻き立てる起爆剤となるきっかけを作るためにゴルフには大きな後押しが必要だ。

プレーをスピードアップするための対策、新しいワールドハンデキャップシステムの導入、プレー時間をもっと短くしたゲームの奨励活動を通じて、R&Aと全米ゴルフ協会は正しい方向へ進んでいる。

東京オリンピックはゴルフ界を盛り上げるいいチャンス

今、我々に必要なのは、オリンピックゴルフで記憶に残る大成功を収め、スポーツ界を代表する最高峰の男子と女子によってすべてのスポーツファン、特に普段は興味を示さない人たちに少しでもゴルフというものを垣間見てもらい、共鳴してもらうことである。

ゴルフ界で最も強力な権威を持つ国際オリンピック委員会は、アイルランド人のローリー・マキロイ、中国人の李昊桐(リー・ハオトン)、インド人のシュバンカ・シャルマといった様々な国のトッププロたちともに、アメリカのタイガー・ウッズと日本の松山英樹という才能あふれる男たちの対決ほど望んでいるものはない。

女子についても同様で、世界人口の半分以上の注目を集める真のチャンスになるはずだ。どう考えても、オリンピックほど非常に大きく魅力的なプラットフォームはほかにない。

Y・E・ヤンに続く、アジア人男子メジャーチャンピオンは誰か?

キム・ジュヒョンは、まだ男子オリンピックゴルフに出場するかどうかはわからないが、この多言語を話すティーンエイジャーは、2020年だけでなくそれ以降も目が離せない期待のゴルファーの一人だ。

キムは英語、韓国語、タガログ語が堪能だが、2019年は好成績を収め、11月にインドで開催されたパナソニック・オープン・インディアで7アンダーの65をマーク。世界で2番目に若い(17歳149日)アジアンツアー優勝者となり、非常に雄弁に優勝スピーチを語った。

アジアンデベロップメントツアーで3度の勝利を挙げたおかげで、2018年5月にプロに転向したキムはアジアンツアーに出場するようになり、すぐに頭角を現した。

キムの生い立ちと目指す目標

韓国で生まれ、10歳から約6年間フィリピンを拠点としていたが、最近の2年間は家族とともにバンコクに居住。
父親はコーチとキャディを兼任している。

昨年末の世界ランキングで157位になったキムは、進むべき方向を明確に定めている。

「ゴルフをする究極の目標はもちろん、PGAツアーでプレーすること。それがボクの目標です」 

当時、彼と同じ韓国人であるY・E・ヤンが2009年の全米プロで優勝を果たし、アジア人初の男子メジャーチャンピオンとなったが、このときキムはわずか7歳。

Y・E・ヤン優勝以来、彼が10年以上に及ぶアジア人メジャーチャンピオンの不在を終わらせる男(少年)になる実力を備えていると予測する者もいる。

誇大な言い回しや希望は、いずれも、ゴルフ界での名声と富に至る長く曲がりくねった道を行くキムに付いてくると考えて間違いない。

若者よ、ゴルフ界のラットレースへようこそ! 健闘を祈る。

©getty image

2009年全米プロは、韓国のY.E.ヤンが、最終日最終組をタイガー・ウッズと回り、アジア人初のメジャーチャンピオンに輝いた。

アジアゴルフ界の注目選手

松山英樹 Hideki Matsuyama

アジアNO.1プロゴルファー。WGC・HSBCチャンピオンズなど米ツアー5勝。日本オープンなど国内8勝。プレジデンツカップには4回出場。

キム・ジュヒョン Joohyung Kim

韓国出身。2019年11月に開催されたアジアンツアー・パナソニックオープンインディアで17歳で初優勝。

シュバンカ・シャルマ Shubhankar Sharma

インド出身。16歳でプロ入りし、インドで6勝。ヨハネスブルグオープン、メイバンク選手権と欧州ツアー2勝。

リー・ハオトン Hao Tong Li

中国・湖南省出身。ボルボ中国オープン、オメガデザートクラシックで欧州ツアー2勝。 2019年プレジデンツカップ初出場。

テキスト: スペンサー・ロビンソン Spencer Robinson(シンガポール)
ゴルフライター、ブロードキャスターとしてシンガポールを拠点に活動。
アジアゴルフインダストリーフェデレーションの最高コミュニケーション責任者。

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