タイガー・ウッズは11年ぶりにマスターズでメジャー制覇し、ツアー最多優勝記録82勝に並ぶなど、ゴルフ界にとっては話題豊富だった2019年。
2020年、東京オリンピックの代表争いをはじめ、アメリカのゴルフ界について展望を大予想!
ヒザをケガした3人がアメリカのゴルフ界の行方を握る!?
2020年の米国のゴルフについて語るには、まずはタイガー・ウッズと彼の今後の可能性について話をしなければ始まらない。
驚くべきことに、日本で開催されたZOZOチャンピオンシップで素晴らしい結果を叩き出したからだ。
彼のPGAツアーで通算82勝を果たし、サム・スニードが樹立した長年の記録に並んだのである。
ウッズは、12月30日に44歳になったが、5着目のグリーンジャケットを獲得した歴史的なマスターズでの勝利のあと、トーナメントの成績がふるわないまま考え込んでいるように見受けられた。
長年にわたって彼を悩ませてきた腰痛などのケガの苦痛によって、メジャーで2度の予選落ちをしたり、試合を棄権するなど再び調子が悪くなりつつあった。
タイガーの今後を占うことになったZOZO
しかし、フェデックスカップ最終戦後に行なわれたヒザの治療によってすべてが解決したように見えた。
彼は何か月も左ヒザ痛に苦しめられ、それが他の多くの問題を引き起こしていたが、治療後、ウッズはZOZOチャンピオンシップで目を見張るような好プレーを見せ、トーナメント初日から連続で64をマーク。松山英樹に3ストローク差で勝利したのである。
ウッズは次のように語っている。
「ヒザ痛が原因で体を回転させることができなかったんだ。大きなストレスが背中と腰にかかっていたからね。治療をしないままでいたら、年が経つにつれて少しずつ悪化して苦労したよ。今は少し改善し、本来打てるショットを打つことができてきた。今週の結果は今後にとっていい兆しとなったよ」
昨年末に行なわれたプレジデンツカップでは米国選抜のキャプテンを務めたタイガー・ウッズ。
自らもプレーするプレーイングキャプテンを務め、チームを勝利に導いた。
昨年、マスターズでメジャー15勝目を飾ったタイガーは、その直後にトランプ大統領から「大統領自由勲章」を受賞。家族と恋人のエリカ・ハーマンさんとともに出席した。
14年ぶりにマスターズで優勝したタイガー・ウッズ。世界中のゴルフファンから祝福を受けた。
日本初開催のPGAツアー「ZOZOチャンピオンシップ」でサム・スニードに並ぶツアー通算82勝を挙げた。
東京五輪はケプカがほぼ確定で残り3席を巡る争い
他の数名の米国人のトップ選手が将来どうなるかは、彼らのヒザの故障次第だと言えるだろう。
最新の世界ランキング1位のブルックス・ケプカと5位のダスティン・ジョンソ
ンもまた、ツアー選手権後にヒザの治療を受けた。
ケプカは全米プロなど、2019年に2度優勝し、4つのメジャーすべてでトップ4に入ったが、ツアー選手権後に左ヒザの幹細胞治療を受けていたのだ。
彼は、ラスベガスで行なわれたシュライナーズホスピタルズ・フォー・チルドレンオープンでツアーに復帰した時は予選落ちしたが、自分は元気だと断言していた。
しかし、その後、韓国で開催のCJカップのカート道で足を滑らせてケガを悪化させ、そのせいで米国代表としてプレジデンツカップに参戦することができなかったのだ。
彼は1月の欧州ツアー「アブダビHSBC選手権」から復帰し、初日にはノーボギーの66をマークしている。
ジョンソンもツアー選手権後にヒザの手術を受け、PGAツアーの秋口のイベントでは一度もプレーしなかった。
そして全米プロで優勝争いをしたほかは、その後参戦した8試合で全て20位以下となり、パッとしないままシーズンを終え、世界ランキングではケプカ、ローリー・マキロイに次ぐ3位で2018〜2019年シーズンを終えた。
昨年はヒザの手術を受けた世界ランク1位ブルックス・ケプカと5位のダスティン・ジョンソン。二人は親友であり、ライバルでもある。
オリンピックは誰が選ばれるのか?
不測の事態が起こらなければ、ケプカは東京オリンピックでプレーする米国代表に選ばれることになりそうだ。
2020年の6月22日時点で世界ランキング上位15名のうち上位4名の米国人に男子オリンピックゴルフトーナメントへの参加資格が与えられることになっているからだ。
残るは3席
現在の世界ランキングでいえば、ダスティン・ジョンソン、ジャスティン・トーマス、パトリック・キャントレーの3人が有力だが、その下にはタイガー・ウッズやザンダー・シャウフェレなどもいて熾烈な争いになりそうだ。
ジャスティン・トーマスは、今年に入ってセントリー・オブ・チャンピオンンズで優勝し、PGAツアー12勝目を飾った。
世界ランキングでも4位に浮上し、もう一人のオリンピック選手の有力候補になりそうだ。
ウッズはマスターズやZOZOチャンピオンシップで優勝し、なんとか世界ランク10位以内にカムバックを果たしているが、米国勢の層は厚く、まだオリンピックに行ける4人の中には入っていない。
トーナメントで何とか十分な成績を残して資格を得ることができるだろうか。
あり得ない話のようだが、彼は世界ランキング7位であり、それを実現できる位置につけている。
ザンダー・シャウフェレ、ブライソン・デシャンボーらの活躍も見ものだ。
13名の米国人が世界ランキング25位以内に入っているので、いろいろな可能性が考えられる。
リッキー・ファウラー、パトリック・リード、そしてリオ五輪の銅メダリストであるマット・クーチャーなどもいて、活躍次第では全員が候補になる可能性があるのだ。
全米オープン覇者であるゲーリー・ウッドランドや、優勝争いにはよく絡むものの、まだツアー1勝のトニー・フィナウにも可能性がある。
プレジデンツカップでも大活躍のシャウフェレも オリンピック選手候補になる可能性が十分ある。
前回のリオ五輪で出場を果たしたパトリック・リード。彼の勝負強さは折り紙つき。
リッキー・ファウラーもリオ五輪経験者。腕には五輪のマークのタトゥがある。
マシュー・ウルフやコリン・モリカワのような若手が活躍する可能性も
2020年が始まるにあたり、確かなことが一つある。
それは米国人ゴルファーたちが試合の上位にどんどん姿を現すだろうということだ。
ケプカは次のように話している。
「今は環境が大きく違う。このような若者たちが出てきて、大学を卒業した頃にはプレーする準備が整っている。10年前、12年前は必ずしもそうではなかった。だが、それを見るのも喜ばしいことだ。彼らと勝負するために、私たちは試合のレベルを引き上げなければならない。彼らがツアーに登場し、ボールをさらに遠くまで飛ばし、ますます強くなり、ショートゲームがうまくなっていく。すばらしいことだよね」
昨年もプロ転向したばかりのマシュー・ウルフ、コリン・モリカワらが早速ツアー優勝を果たしているように、アマチュアのレベルも上がってきており、最強アマチュアがすぐにツアーでも活躍できるようになっている。
経験豊富な選手たちもうかうかしてはいられない。長年上位で戦ってきた彼らもその位置をキープするのは簡単なことではないのだ。