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【PGA TOUR Report Vol.1】世界トッププロや最新クラブの情報などはいつもアメリカからやってくる!

©Getty Images

世界のトッププロや、最新クラブの情報などはいつもアメリカからやってくる!

世界最高峰のPGAツアー情報をお届けします。

今季2勝でフェデックスカップ1位に浮上の有言実行男

©Getty Images

ジャスティン・トーマス(米国)
今大会で今季2勝目。母のヤニと父のマイクの3人で記念写真。

セントリー・トーナメント・オブ・チャンピオンズ
2020年1月2日~5日(プランテーションコース・アット・カパルア)

今年最初の試合会場であるハワイ・マウイ島のカパルア・プランテーションコースは、昨年ビル・クーアとベン・クレンショーのコースデザインチームが改修を行なったが、このコースと過去、相性のいい選手はそれでも上位に名を連ねた。

最終日はジャスティン・トーマス、ザンダー・シャウフェレ、パトリック・リードというパストチャンピオンたちによる三つ巴のプレーオフで、トーマスの優勝。

彼は26歳にしてツアー12勝目を飾り、今期2勝目。

過去60年間の中でタイガー・ウッズ(34勝・26歳時点)、ジャック・ニクラス(20勝・26歳時点)に次ぐ3番目の優勝回数を誇る選手となった。

ライバルで親友のジョーダン・スピース(26歳)は世界で通算14勝を挙げているが、米ツアーでは11勝。

メジャーの優勝回数ではスピースがトーマスを上回るが、通算優勝回数ではジョーダンを抜いたことになる。

この優勝によりフェデックスカップランキングでは1位に浮上した。

トーマスは2017年、年間で5勝(うち1勝は全米プロ)を挙げ、世界ランク1位にも上り詰めたが、昨年はケガもあり、思い通りのプレーができていなかった。

ただ実際、プレー自体はさほど調子は悪くなかったそうで、「去年はただ結果が出なかっただけだ」と語っている。

毎年彼は、自分の目標を携帯に書き記しており、昨年は「自分のファンデーションを立ち上げる」を記して、成功したそうだ。

今年は「世界ランク1位になること」なのだという。そして今年はオリンピックもあり、「メジャーも金メダルも獲りたい」と貪欲だ。

祖国の危機を救うため好スコアで義援金を寄付

©Getty Images

キャメロン・スミス(豪州)
昨年末に豪州で開催されたプレジデンツカップでは、チームは敗北を喫したものの、大活躍したスミス。ツアー初優勝を飾った。

ソニー・オープン・イン・ハワイ
2020年1月9日~12日(ワイアラエCC)

ハワイ開催の2大会目、ソニーオープンでは豪州人のキャメロン・スミスと米国人のブレンダン・スティールがプレーオフで争い、スミスがツアー初優勝を遂げた。

「ボクがツアーに出てから4~5年経過しているが、こうしてやっと自分の力で試合に優勝することができて本当によかった」

スミスは2017年にヨナス・ブリクストとペアを組んで、チューリッヒクラシックで優勝したことがあったが、単独でのストロークプレー優勝はなし。

過去トップ10入りを何度も経験してきたが、ようやくこれで胸を張ってツアー1勝と言えるわけだ。

スミスは先月のプレジデンツカップで善戦し、シングルス戦では強豪ジャスティン・トーマスを撃破。

チームとして優勝することはできなかったものの、個人的にはあのマッチで相当自信をつけたようだ。

「あの週は、自分の人生の中でもベストと言えるくらいのゴルフができた。プレジデンツカップの好調ぶりが続いている」

そして彼にはこの週、達成すべき大きなタスクがあった。

彼の母国オーストラリアでは森林火災で甚大が被害が出ているが、バーディ1個につき500ドル、イーグル1個につき1000ドルの寄付をすることにしていた。

初日は連続でボギー、トリプルボギー発進となったが、4日間を通して21個のバーディを獲得。

1万500ドル(約115万円)を寄付することになった。

彼の叔父であるワレンは火災で自宅を焼失し、スミスの自宅に現在居候していたというが、この地球上最大級の災害は、スミスにとっても対岸の火事ではなかった。

オーストラリアの建国記念日に優勝したオージーの決意

マーク・リーシュマン(豪州)
米ツアー5勝。過去4回、プレジデンツカップメンバーとして出場。

ファーマーズインシュランスオープン
2020年1月23日~26日(トーリーパインズGC)

ファーマーズインシュランスオープンの最終日、首位のジョン・ラームと4打差でスタートした豪州のマーク・リーシュマンはショットとパットが冴え渡り、最終日は65の好スコアをマーク。ラームを1打差でかわし、逆転優勝を果たした。

今大会でツアー5勝目を挙げ、フェデックスカップランクでは49位から一気に7位に浮上。世界ランクも20位に上がってきた。

「すごく素晴らしい気分だ。特にオーストラリアは今、火事で大変なことになっており、多くの人たちが命を失い、本当にひどいことになっている。そんな時にこの優勝がちょっとでもみんなに希望を与えられればいいね」

ソニーオープン・イン・ハワイでツアー初優勝を果たしたキャメロン・スミスも祖国の大災害に心を痛めながら、なんとか力になりたいという気持ちで戦っていたというが、リーシュマンにとってもそれは同じこと。

たまたまソニーオープンの同週に行なわれていたアジアンツアーの香港オープンでは同じく豪州のウェイド・オームスビーが優勝、そしてファーマーズと同週に行なわれていたヨーロピアンツアーのオメガ・ドバイクラシックでは、豪州のルーカス・ハーバートが優勝している。

また2月にはジェネシスインビテーショナルでアダム・スコットが優勝。

アダム・スコット(豪州)
ホストのタイガー・ウッズから優勝トロフィを授与。ツアー14勝目を飾り、久しぶりに世界ランクでトップ10入り。

ジェネシスインビテーショナル
2020年2月13日〜16日(リビエラCC)

たった1ヶ月間で豪州のプロゴルファーたちが5勝も挙げているのも、祖国を想い、何か自分たちにできることはないか、少しでも希望を与えられれば、と強く想いながらプレーしている結果が現れているのだと思う。

さて、今やプレジデンツカップでは常連選手であり、メジャーでも上位に名を連ねているリーシュマンも、昔はツアーで5勝を挙げるような選手になれるとは思ってもみなかった。

「ツアーに出てきた頃は、ただシード権をキープしたい、仕事を失いたくない、という気持ちで戦っていた。1勝を挙げると、1勝で終わるような選手にはなりたくないと思った。2勝を挙げたら、もっと優勝できると思い始めたが、それでもまさかツアーで5勝を挙げるとは思ってもみなかったよ」

マークは17歳の時、初めてトーリーパインズを訪れた。

世界ジュニアに出場するため、初めて母国を離れアメリカにやってきたのがこの地だった。

両親が見送る中、一人飛行機に乗り、サンディエゴにやってきたのが彼にとって人生初のアメリカ上陸の日。

それから約20年、オーストラリアの建国記念日である1月26日のオーストラリアデーに、アメリカ初上陸の地でPGAツアー優勝を果たせたことは、彼もきっと何か運命のようなものを感じているかもしれない。

「キャメロン・スミスも数週間前に優勝し、ルーカス・ハーバートもヨーロピアンツアーで優勝した。まさにオーストラリアデ
ーだね」

今年の目標は、今年中にまた優勝し、オリンピックに出場すること。

「オーストラリアを代表し、国のためにメダルを取りたい」

母国の災害を機に心を一つに戦う彼らは、例年以上に強く、確実に結果を残している。

オリンピックもメジャーもオージーたちに注目が集まる1年になるかもしれない。

ISPSハンダVICオープン

ミンウー・リー(豪州)
ミンジー・リーの弟で欧州ツアー初優勝を母国で挙げた。

©Getty Images

赤々と燃え上がる山火事を目の前に馬も避難。多くのコアラやカンガルーなどの野生動物が焼死したという。

オメガ・ドバイデザートクラシック

ルーカス・ハーバート(豪州)
2018年から欧州ツアーを主戦場に戦う。今季ついに初優勝。

Text/Eiko Oizumi
Photo/Getty Images, Farmers Insurance Open, Genesis Invitational,Omega Dubai Desert Classic, Golf Australia

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