●1回できたことを自信に変える
タイガーは昨年、「ツアー選手権」に勝つことで「自分はまだ勝てる」と大きな自信を持つことができ、今回マスターズでも優勝することができたという。彼自身「ツアー選手権での勝利」を「ビッグ・コンフィデンス・ブースター(大きな自信の増幅器)」と語っているが、こうした成功体験を大きな自信に変え、迷うことなく次の目標に向けて取り組む、ということがいかに大事な成功の秘訣となっているか。一度は優勝できても、「まぐれだったのかも……」とか「また勝てるとは限らないし、自信なんて持てない」と弱い気持ちでいたのでは、次の成功もないということだ。おごりや油断は禁物だが、タイガーのように、「一度成功したことは、自分にできること」と認識し、次のゴールに向かって自信を持って迷いなく突き進むことが、成功への道だと教えてくれている。
●大きなことを成し遂げる前に、目の前の小さなことを積み重ねる
世界のトッププロたちも、マスターズで優勝したいからといって、特別なことをするわけではない。タイガーの場合は6ヶ月前にマスターズに向けて準備を開始し、マスターズの週にピークが来るように調整していたという。なかなかその「ピーク」をマスターズの週に合わせることができないから難しいのだが、タイガーは見事にそれをやってのけた。まるでこれはマスターズが、つづじの花がマスターズ週に満開になるよう調整するのと似ているかもしれない。早く咲き過ぎてもいけないし、咲くのが遅くてもダメ。ゴルファーにも調子の波があり、好調と不調が交互にやってくるものだが、その波をドンピシャにマスターズに当ててこないと優勝は難しいのだ。
だが、好調の波を当て損じないようにするために必要なことは、「すべての小さなことを正しくやり続けること」。ミスしたとしても、大ケガのない正しい場所になんども運び続け、ボギーを叩いても、そのことに引きられずにやり過ごす。そして目の前の1打1打を大事に積み重ねていくことが大事だと語っている。つい大きな夢を見がちだが、その前に地味にコツコツと正しいことを積み上げていかなければミラクルも起きない。彼がメジャー15勝、ツアー81勝を挙げてこれたのも、この小さな積み重ねから始まっているのだ。