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笹生優花「全米女子オープ ン」制覇!松山英樹に続く日本人メジャー優勝の波が来た!

笹生優花VS畑岡奈紗の史上初の日本人プレーオフ対決!

世界一になりたい!
笹生優花「全米女子オープン」制覇

日本人がまた偉業達成!
19歳11ヶ月17日で史上最年少優勝タイ記録で笹生優花が全米女子オープンを制覇!
松山英樹に続く日本人メジャー優勝の波が来た!

優勝
Yuka Saso
笹生優花(フィリピン)

©Getty Images

父・笹生正和さん(左)とキャディのライオネル・マティチュックさん(右)

2001年6月20日生まれ。166cm、63kg。日本人の父とフィリピン人の母を持ち、8歳からゴルフを始めた。アマチュアの大会で数々の優勝を遂げ、第1回「オーガスタ女子アマ」3位タイ。2020年にプロ転向し、国内2勝、海外メジャー1勝。

©USGA

プレーオフ3ホール目で、約1.5メートルのバーディパットを決め、ガッツポーズした笹生。

4月の松山英樹「マスターズ」優勝から2ヶ月。
海外女子メジャーで、またもや日本人の快挙達成のニュースが飛び込んできた
世界最高峰の「全米女子オープン」で日本人初の優勝、しかも朴仁妃と並ぶ史上最年少優勝をプロ入り2年目の笹生優花が成し遂げた。

「世界の舞台で戦いたい」
笹生の夢を全て叶えてくれるメジャー優勝の副産物

©USGA

3日目までのショットと比較すると、最終日は球が曲がって2連続ダブルボギーを叩くこともあった。

©Getty Images

憧れのレキシー・トンプソン(右)と最終日、最終組で優勝争いを展開した笹生。

©USGA

試合が開催されたカリフォルニア州は、昨年新型コロナウイルス感染者が爆発的に増えたエリアだが、今ではワクチン接種が進み、マスクを着けずに観戦している人も多かった。(下写真)

日本人女子3人目のメジャーチャンピオン誕生

世界一女子ゴルファー決定戦「全米女子オープン」は、有観客で米国・サンフランシスコのオリンピッククラブ・レイクコース(6457ヤード)で行なわれ、笹生優花が樋口久子(全米女子プロ)、渋野日向子(全英女子オープン)に続く、日本人女子3人目となる海外メジャー制覇を果たした。
なお、笹生は今大会をフィリピン国籍で出場しており、フィリピン人としては男女初の海外メジャー制覇。
19歳11ヶ月17日での優勝は、朴仁妃の持つ史上最年少優勝に並ぶ記録となった。

「勝てるとは思わなかった。すごく嬉しいです!こうして今まで自分を支援してくれた人たちに感謝したい」

「優勝トロフィーに過去の素晴らしい歴代チャンピオンの名前が刻まれているのを見たけど、ここに私の名前が刻まれているなんて信じられない」

笹生は2020年にプロ入りし、今年で2年目の若手選手だが、アマチュア時代から国際試合慣れしており、優勝経験も豊富。
2018年「アジア大会」では金メダルを獲得し、今回のプレーオフで戦った畑岡奈紗とも「全米女子アマ」で対戦したことがあった(その際も笹生がそのマッチを勝利)。
また、2019年から始まった「オーガスタ女子アマ」では3位タイに入り、Yuka Sasoの名前を世界に知らしめたことは記憶に新しいだろう。

8歳から本気で世界一になりたいと願った笹生

笹生優花が、プロゴルファーを目指し始めた時からずっと抱いていた夢。
それは「世界で一番になりたい」ということだ。
父・正和さんに「アニカのようになりたい、世界一になりたい」と本気で語り、父が考案した早朝からのきついトレーニング(両足に重りをつけてランニング&プレー)にもへこたれず、世界で活躍するために英会話の勉強も10歳から始めた(フィリピンではタガログ語が公用語である)。
父と二人三脚でこれまで培ってきた体力とスイングは、260ヤード超の飛距離と爆発的なスコアを叩き出す能力に現れ、それが「全米女子オープン」という世界最高峰のメジャーで証明された。
以前から、「私はアメリカでプレーしたい」と常々語っていた笹生だが、今回の優勝によって、1億1000万円という女子ツアーで最高額の優勝賞金を手に入れただけでなく、彼女のゴルフ人生が一気に開けた。
それは以下の権利を同時に手に入れたからである。

①「全米女子オープン」の10年間の出場権
②その他のメジャーの5年間の出場権(ANAインスピレーション、KPMG全米女子プロ、AIG全英女子オープン、アムンディ・エビアン選手権)
③米ツアーシード権

中でも2019年に米ツアーのQTに失敗した笹生にとっては、③のシード権は何よりも嬉しいかもしれない。
今までは推薦をもらえないと出場できなかった米ツアーの試合に、自分のペースで好きなように出られるからだ。
その上、世界一を目指す者なら出場必須のメジャー大会全てに5年、「全米女子オープン」だけでも10年間出場できるのだ。予選会に出たり、世界ランキングを上げないと出場できない、という心配は一切なくなり、じっくりメジャーと向き合い、準備することが可能になった。

「全米女子オープン」の1勝は、「世界一のゴルファー」への第一歩。自信と経験を積みながら、笹生はもっと強くなっていく。

憧れのマキロイも祝福!

自分に憧れ、スイングを真似しているという笹生の存在を知り、SNSを通じて「優勝トロフィーを取りに行け!」と激励したローリー・マキロイ。

全米女子オープン
2021年6月3日~6日
オリンピッククラブ・レイクコース(米国・カリフォルニア州)
6457ヤード・パー71

最終成績

優勝−4笹生優花100万ドル
2位−4畑岡奈紗59万4000ドル
3位−3レキシー・トンプソン38万572ドル
4位タイ−2メーガン・カン
フォン・シャンシャン
24万5394ドル
6位Eエンジェル・イン19万7751ドル
7位タイ+1コ・ジンヨン
ブルック・ヘンダーソン
朴仁妃
アリヤ・ジュタヌガーン
林シユ
14万7265ドル
41位+11上原彩子2万3089ドル

予選落ち:渋野日向子、勝みなみ、三宅百佳、川満陽香理、梶谷翼(アマ)、小暮千広(アマ)、仲西菜摘、長野未祈(アマ)

Text/Eiko Oizumi
Photo/USGA、Getty Images

「全米オープン」の会場で
憧れのマキロイと対面!!

©USGA

「全米オープン」の開催地トーリーパインズを訪れ、憧れのローリー・マキロイに初対面した笹生優花(右)。

「ローリーはすごく優しくて話しやすかった。今度時間があったらアドバイスを聞きたい」笹生優花

©USGA

「一緒に歩いてもいい?」と積極的に笹生からマキロイにアプローチ。
マキロイの練習ラウンドの3ホールに同伴し、マキロイのスイングをビデオに収め、「迷惑にならない程度に」と気を遣いながらコミュニケーションを図った。

©USGA

5月の「全米プロ」で、50歳にしてメジャー史上最年長優勝を飾ったフィル・ミケルソン(左)とグータッチする、「全米女子オープン」史上最年少タイ記録優勝者の笹生。

優勝カップを片手に「全米オープン」の会場へ

©USGA

マキロイの練習ラウンドを見学しようとラウンド中の彼を訪れた笹生(左)。マキロイと対面し、ハグで迎えてくれた。周囲の関係者も思わずニッコリ。

「全米女子オープン」で優勝した笹生優花が、その2週後の同じくUSGA(全米ゴルフ協会)が主催する「全米オープン」の会場を訪れ、憧れのローリー・マキロイと初対面。
「ロープ内に入れてくれ、すごく楽しかった」と語った。

「ローリーに会う方が、全米女子オープンで優勝パットを決めた時よりも緊張しました」と、憧れのスターに会ってときめく乙女の心情を吐露。
緊張のあまり、どうやって挨拶したらいいかもわからなかったそうだが、マキロイはそんな19歳の笹生を優しく迎えてくれた。
そして、彼女が質問すると親切に真摯に答えてくれたという。

「私のスイングはいいと言ってくれました。でもいつかスイングについて何かアドバイスをもらえると思います。邪魔したくなかったので、3ホールだけ彼について歩きましたが、いつか彼に時間があるとき、もっと話ができるようだったら質問してみたいですね」

「世界のトップで居続けるためには退屈で平凡なことをやり続けることが大切」ローリー・マキロイ

©USGA

「全米女子オープン」のトロフィ一とともに記念撮影する二人。

毎日同じことを繰り返し、日々気づいたことを書き留める

一方、マキロイの笹生に対する印象はどうだったのだろうか? 
彼は、昨年の12月に開催された「全米女子オープン」で笹生のスイングを初めて見、記事を読んだというが、先日の「全米女子オープン」の中継もかなり観ていたそうで、彼女のプレーは最高だったと語った。

「彼女はどうやったら長い間安定したゴルフができるか、どうやったら今後もこのスイングをキープしていけるか?とボクに聞いた。
だから彼女にこう言ったんだ。〝ボクは自分がやろうとしていることをいつもメモに全て書き残している〟と。
練習の後でどんなことでもいいから感じたことを書くようにね。
たとえスイング動画を撮って同じように見えても、その時々でスイングやスイングに対する考え方は微妙に違うから。
こうした感覚や考え方は日々変わってしまうが、それがゴルフなんだ」

マキロイは「長年トッププロで居続けることは毎日同じことの繰り返しだから、退屈なことだ」と笹生に語ったという。
同じ練習を繰り返し、同じことを繰り返すという〝ありふれた、退屈な作業〟こそ、自分が長年トップで居続けるためには必要なことであり、これを20年続ければ笹生もきっと素晴らしいプロゴルファー人生を送れるだろうとエールを送ったのだった。

世界のメジャーを制すれば、こうして世界の憧れのトッププロとも知り合うことができ、認めてもらうことができる。
「全米女子オープン」を制したことで、笹生の世界は大きく広がり、高いステージへと押し上げられた。
マキロイからも「オリンピックで会えるといいね」と言われているが、二人の次の再会は霞ヶ関CCで、となりそうだ。

Text/Eiko Oizumi   Photo/USGA

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