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自分のゴルフだけで優勝した人
他人の技を参考にしながら優勝した人

Text & Photo/Eiko Oizumi
Photo/©︎PGA、ISPS

「ISPSハンダ グレートに楽しく面白いシニアトーナメント」のシニアの部に優勝した篠崎紀夫(左)とスーパーシニアの部に優勝した海老原清治(右)。中央はISPS半田晴久会長。©︎Eiko Oizumi

  10月22日〜24日、福島県いわき市の五浦庭園カントリークラブで「ISPSハンダ グレートに楽しく面白いシニアトーナメント」が開催され、シニアの部は月に一度は練習場でアマチュアを教えているという篠崎紀夫、スーパーシニアの部は、青木功ファミリーの一員で番頭格の海老原清治が優勝した。篠崎は逆転優勝、海老原は完全優勝だった(スーパーシニアの部は2日間競技)。

「勝てるとは思ってなかった。マークセンと丸山大輔くんの優勝争いを間近で見れるな、という感じだった。しかも出だしからボギー(笑)。後半に入ってみんなバーディ合戦のような感じで、11番ホール辺りまでは、油断したらあっという間に置いていかれるぞという気持ちでやっていた」

もともと優勝できると思っていなかったという篠崎。無欲で勝利を掴み取り、賞金ランク1位に躍り出た。©️PGA

 2日目を終え、首位の丸山大輔、プラヤド・マークセンに1打差の3位で最終日を迎えた篠崎。最終組でのプレーとはいえ、最初は自分が優勝争いの輪の中にいる雰囲気ではなかったようだ。だが、前半で1イーグル、3バーディ、1ボギーとスコアを4つ伸ばすと、バック9に入ってもその好調ぶりは持続し、11番から3連属バーディを奪取。13番ホールを終了した時点で、2位に2打差をつけて首位に立っていた。その後は、ティショットを曲げたり、アプローチで寄らず入らずでバタバタしていたが、バック9は4バーディ、ノーボギーでスコアを落とさないように耐え抜き、なんとか2打差をキープして優勝することができたようだった。

 ちなみに10月24日は、篠崎の52歳の誕生日。「誕生日に勝つとか、そんなドラマみたいなことは起きないと思ってた」というが、生まれて初めて誕生日Vを飾ることができたのだ。

72歳の海老原は2日間連続でエージシュートを達成し、スーパーシニアの部で優勝を遂げた。©️PGA

 一方、海老原は初日をベストスコアの69で回り、2日目も70とアンダーパーをマークして、2日間ともにエージシュートを達成(海老原は72歳)。2位の福沢孝秋に1打差で優勝した。

「ここ2年、福沢にやられっぱなしだったので……。でも今日はラッキーに恵まれて勝てた」

 普段は、所属先の我孫子GCで若いプロたちと一緒にラウンドしながら、練習しているという。若者とプレーすることで、気持ちに張り合いが出、飛距離が落ちないように努力しなければ、という気持ちにもなるらしい。ホウキを使って体の回転で振る練習をしているそうだが、この練習は風の抵抗を受けるため、速く振るのは難しく、打ち急ぎを防ぐことができるのだという。また重いものを体を使って回すことで、ヘッドスピードアップにもつながっているそうだ。

 さて、篠崎と海老原という2人の優勝者のコメントで決定的に異なる点があった。
 篠崎は、「この歳で誰のゴルフを真似することもない。自分のゴルフをいつも心がけているだけ。自分のゴルフでどこまで戦えるか、それしかゴルフはないと思っている」と語っていたのに対し、海老原は 同組でラウンドしている福沢孝秋のショートゲームを参考にしたところ、奏功して優勝できたという。

 

「意地を張って難しいことをするよりも、簡単な方法を見つけたり、聞いたりしてやった方がいいんじゃないかな、と思っている。昨日、今日と福沢と回ったら、結構彼はうまくコロがしていくの。アプローチがうまい。それを見て研究してやってみたらうまくいった」

 長年ゴルフをやっていれば、シニア層のプロならなおさら、自分のスタイルが確立しているはず。それでうまくいっているならそれを貫き通すもよし、あるいは他の選手の技術を研究して取り入れてみようとするのもよしなのが、ゴルフなのだ。

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