死産で娘を失った悲しみを
乗り越え、双子の娘を迎える夏。
ウッドランドには現在、2歳になった息子ジャクソンくんがいるが、彼は2017年に双子で生まれるはずだったうちの1人。もう1人の娘は死産した。娘を失った悲しみに包まれたウッドランド夫妻。ジャクソンくんもたった1360gの未熟児で生まれ、しばらくは新生児集中治療室で育てられた。
だが、その後すくすくと元気に育った。2018年WMフェニックスオープンで5年ぶりの優勝を果たした時、サブライズで妻ギャビーさんはジャクソン君を腕に抱きかかえて登場。初めて公の場に姿を現した。それまでは、いろいろなことがあっただけに、できるだけ彼を人目に晒したくなかったというが、優勝の瞬間をともに家族で分かち合えて喜んでいたウッドランドだった。優勝後の記者会見で、前年に体験した悲しい出来事について記者から問われると「今はあまりにも言葉にするのは難しいが、昨年は戦いの1年だった。早く乗り越えたいけど、長い1年だった。ジャクソンがこの場にいるのも奇跡的。こうして優勝の瞬間を彼と、そして家族で分かち合えて本当に嬉しい。これが何か特別なことの始まりだといいんだが……」。結果論ではあるが、今回の全米オープンでの優勝を予測していたかのような発言をしていたのが面白い。
そして実際、その何か特別なことが、特別な場所であるペブルビーチで起きた。そしてまもなく双子の娘が誕生することにもなっている。死産で失った娘のことを思うと今でも悲しいに違いないが、苦しかった日々から脱却して、新たな人生をスタートさせようという前向きな気持ちも見える。選手として父として頑張るウッドランドに、ペブルビーチがご褒美をプレゼントしてくれたのかもしれない。
ちなみに彼は一切、海の魚介類を食べないという。そんな彼が、ペブルビーチという世界有数のシーサイドコースで優勝できたのも、もしかしてペブルビーチの魚たちの恩返しだったりして?!(笑)
ゲーリー・ウッドランド、全米オープン(Photo by Andrew Redington / Getty Images)
ゲーリー・ウッドランド、全米オープン(Photo by Ross Kinnaird / Getty Images)