ゴルファーのバイブル『禅ゴルフ』のジョー・ペアレントが『ゴルフ・グローバル』の読者のために特別寄稿!
自分の「心」を味方につければミスは激減する!
2打目、あるいは3打目でうまくグリーンをとらえることができると、ショットに対して自信が高まることだろう。
だが、実際はグリーンを外し、寄せなければならない状況が多く、ショートゲームを磨かなければ自信を持てず、スコアアップも望めない。
Joe Parent
(ジョー・ペアレント)
過去、ビジェイ・シン、デビッド・トムズ、クリスティ・カーら男女有名米ツアー選手のメンタル面をコーチ。著作にベストセラー『禅ゴルフーメンタル・ゲームをマスターする法』などがある。米国『ゴルフ・ダイジェスト』誌で世界のトップ10に入るメンタルゲーム専門家に選ばれ、何千人ものあらゆるレベルのゴルファーを指導。公式HPは、drjoeparent.com
短期間でゴルフを上達させるには?
短期間でスコアをよくしたいのであれば、ショートゲーム、つまりグリーン周りのアプローチの練習に取り組むことである。
ドライバーやアイアンショットなど長い距離を打つショットが上手くなっても、アプローチショットはゴルフにつきものだ。
また、アプローチがうまくなっても、ツアープロでさえ、グリーンを外してしまうこともある。
パッティングを上達することはできるが、ホールから遠ければ遠いほど、ボールがカップに入る可能性は低い。
このため、ショートゲームを上達させることが大事なのだ。
ショートゲームがうまくなるとゴルフに自信がつく
ショートゲームがうまくなると、他のショットにも自信が持てるようになる。
グリーンを外しても不安に思わなければ、自由にスイングでき、恐る恐るショットすることもなくなる。
そしてそれがロングショットにも役に立つ。なぜなら、グリーンまで無理して、できるだけ遠くに飛ばそうとは思わなくなるからだ。
ナイスショットを打つと、自信が高まり、まるで正しい方向に向かっているように感じる。
しかし、グリーンを外してしまうと、自信を失うと同時に最高のスイングが求められてしまう。
グリーン周りでのリカバリーショットがうまければ、いろいろな攻め方で寄せられる自信を抱くことだろう。
したがって、望んでいない結果への恐れを減らすための一つの方法として、ショートゲームとリカバリーショットの能力を向上させることだ。
プレーが始まったら、あまり高い期待を抱いてはいけない。
常にグリーンをとらえようと期待してはいけないのだ。
そうではなく、すべてのホールにおいて、寄せワン(つまり、2打でグリーンの外からカップイン)するための準備を始めよう。
グリーンを逃したとしても、ガッカリするのではなく、自分のショートゲームがどれだけ素晴らしいのかを披露しよう、という態度を取るべきである。
ライの見極めと素振りの意味
ナイスショットを打つ上で最も重要なものは「自信」だが、まずはボールのライをしっかりと見極めることが大事だ。
ボールのライによって、できることとできないことがはっきりする。
深いラフにあるボールは、フェアウェイあるいは、グリーンのフリンジにあるボールとは異なるショットを必要とする。
ほとんどのプレーヤーは、素振りでボールのすぐ隣の芝を数回掃くような動きをするが、これは実は、ほとんど意味がない。
正しいショット(そして正しいクラブ)を選択するには、ボールのある場所の芝ととてもよく似た芝(ボールのすぐ隣ではない)を見つけることである。
2~3回素振りしてヘッドが芝の中を通過する際、芝がヘッドにどう影響するか、そしてどれくらいしっかりとスイングする必要があるのかを感じる。
フェースの開きを調整するか、または必要であれば、別のクラブを選ぼう。
ボールがどのように飛ぶのか、どこに着地してほしいのか、どう落下するのか、そしてカップに向かってどのようにコロがっていくのかをイメージするために、メンタルゲームの技を使ってみよう。
より完全で詳細な映像をイメージできればできるほど、より良い。
アプローチショットのための、とても特別な秘訣を2つご紹介しよう。
❶そこにボールがあるとイメージしながら、素振りする。その際、ヘッドで芝を通過させる。
❷そこにボールはないとイメージしながら、実際のスイングをする。ヘッドで芝を通過させること。
混乱してしまった方もいるかもしれないので説明しておこう。
ショートゲームで最も大切な精神的要因は、ボールを打つことではなく、芝の中を通過するヘッドの動きの向きに集中することである。
これは素振りと実際のスイングの両方に言えることだ。
だが、素振りでボールのあるライにヘッドの動きを順応させておくことが必要不可欠である。
ボールが芝の根元に落ちていれば、最も低い位置で素振りしなければならないし、ボールが芝の上にちょこんと乗っているのであれば、芝の上の部分を掃くような感じで素振りする必要がある。
その際、実際にボールが芝の中にあるかのようにイメージしよう。
実際のショットを打つのと同様、芝を通過させて素振りし、フィニッシュでクラブを止める。
ヘッドがどこで止まったか、どのくらいの力感でスイングしたかに注目すること。
それからグリーンとピンを見ながら「あれが、自分がイメージするショットを生み出すスイングになるのか?」と自問する。
その答えが「そう」であれば、あなたはショットを打つ準備ができているということになる。
そのイメージが、自分が望んだものではない場合、つまり大きすぎるとか、小さすぎる、あるいは芝の深さに対してヘッドの入りが弱すぎるとか、強すぎるなどといった直感、ないしは「第六感」が働くだろう。
「そうだ! このスイングでいいんだ!」という答えが出るまで、何回かスイングし、毎回少しずつそのスイングイメージを変えるのだ。
素振りの時はボールが「ある」とイメージし実際のショットでは「ない」とイメージしながら打ってみよう
目標を見ながら、どのような弾道でピンを攻めるかをイメージするパトリック・キャントレー。
実際のショットをする時の心構えとは?
ショットを打つ心構えができたら、スタンスを取り、ボールの下とその周りの芝に集中して、できるだけ「そこにボールはない」とイメージする。
「もう一度、素振りをした時のように、芝の中をヘッドを通過させてスイングしよう」と自分に言い聞かせ、同じ力感でヘッドが芝を通過するようにし、同じようなフィニッシュのポジションまで、最善を尽くして素振りを再現する。
フィニッシュをホールドし、その時に初めて球がどのように飛んでいったのかを確認する。
おもしろいことに、そこにボールはないと言い聞かせ、もう1回素振り感覚でヘッドが芝を通過するように思い込ませることができれば、ボールが空を切って飛んでいくのを見るという驚きの瞬間を経験する!
自分が思った通りにスイングを再現できたら、自分の思い通りのショットを可能にするチャンスが生まれる。
期待どおりにならなかったとしても、もっと大きく、あるいは小さくとか、強く、あるいはソフトなスイングが必要であったと知り、そこから学ぶことができる。
そのように、毎回のショットから学び、経験を積んでいくと、さまざまなショートゲームのバリエーションの中から、よりよく判断できるようになっていく。
それから、アプローチで期待通りに寄せられるようになり、スコアもすぐに良くなっていくのだ。
Illustration/Masaya Yasugahira Photo/Eiko Oizumi