世界のゴルフフォトグラファーの第一人者として今も第一線で活躍するデビッド・キャノン。
彼のファインダーを通して切り取られた世界のゴルフコースの数々は、まるで宝石箱のジュエリーのように一つ一つが個性豊かに輝いている。
私の愛したゴルフコース第14回はスコットランドのミュアフィールドを紹介する。
Muirfield
ミュアフィールド
●設計:オールド・トム・モリス
●全長:7245ヤード・パー71(プライベート)
●備考:メンバーコースだが、火曜日と木曜日はビジターもプレーできる(ネット予約可能)。エジンバラ空港から車で約40分。
https://www.muirfield.org.uk
18番ホール・パー4のグリーン周り。奥にクラブハウスが見える。ジャック・ニクラスも憧れる名門プライベートコース。
ミュアフィールドの入り口に掲げられている、クラブの正式名称「オナラブル・カンパニー・オブ・エジンバラ・ゴルファーズ」の看板。意味は「エジンバラのゴルファーの神聖なる仲間たち」。(Photo/Jeff J Mitchell/Getty Images)
リースリンクスからミュアフィールドへ
1744年、リースリンクスでプレーしていたゴルファーたち(ザ・ジェントルメン・ゴルファーズ・オブ・リースというスコットランド最古のゴルフクラブを結成した者たち)は、13か条からなる最古のゴルフルールを制定。
1795年、彼らは「オナラブル・カンパニー・オブ・エジンバラ・ゴルファーズ(エジンバラのゴルファーの神聖なる仲間たち)」と名前を変えたが、ミュアフィールドクラブは、現在もこのタイトルをクラブ名に冠している。
もともと彼らが所有していたリースリンクスの競技場(現在のマッセルバラ)から、オナラブル・カンパニー・オブ・エジンバラ・ゴルファーズが約20キロ離れたガランに土地を購入したが、同クラブは現在もそこにある。
最初のリンクスはオールド・トム・モリスの設計によるもので、その1年後の1892年、彼らにとって初となる「全英オープン」が開催された。
1922年、同クラブはさらに50エーカーの土地を購入し、ハリー・コルトにコースを再設計するよう依頼した。
事実上、それが今日の我々が知るチャンピオンシップリンクスとなる。
ミュアフィールドは実にユニークで、前半9ホールは時計回りに、後半9ホールは反時計回りに広がっている。
そのため、同じ向きでプレーするのは3ホール連続が最大という、素晴らしく挑戦しがいのあるレイアウトになっている。
ミュアフィールドがあるのは、エジンバラの中心街から車で30分ほどの場所で、数多くの有名コースが集まるイーストロージアン海岸線の一角だ。
中でも「王冠にはめられた宝石」とは、まさにミュアフィールドのことだろう。
「全英オープン」を過去16回開催しており、優勝者たちはそうそうたる顔ぶれだ。
ジャック・ニクラスは、ミュアフィールドを「イギリスで最高のゴルフコース」だと語っているが、彼はこの偉大なリンクスに敬意を表して、故郷の米国オハイオ州コロンバスに所有するクラブにミュアフィールド・ビレッジという名前を付けた。
2022年「全英女子オープン」開催の世界最古のゴルフクラブ
1stPar4/450yard
1番ホールの風景。ミュアフィールドのバンカーは形状がユニークだ。一見平坦に見えるコースだが、非常に多くの起伏があり、フェアウェイは狭く難しい。
前回、この地で「全英オープン」が開かれたのは2013年。優勝者はフィル・ミケルソン。同大会初優勝だった。
ミュアフィールドでは、過去16回「全英オープン」を開催。優勝者はミケルソンの他、アーニー・エルス、ニック・ファルド、トム・ワトソン、ジャック・ニクラス、リー・トレビノ、ゲーリー・プレーヤーなど、偉大なレジェンドばかり。
Honourable
あっぱれ!
9番ホールは、短いパー5だが、2打目地点はフェアウェイは狭く、左に深いバンカー、右に深いラフがあり、ショットの精度が求められる。左にはOBゾーンもある。
格式と伝統のクラブハウスでの過ごし方
クラブハウスは由緒正しく、18番グリーンの後ろに誇らしげに建っている。
ラウンド後に腰を下ろし、他のゴルファーがプレーを終えるのを眺めながら過ごすには最高の場所だ。
ミュアフィールドは、ジャケットとネクタイの着用が必須であり、クラブハウスの料理は、伝統的なブリティッシュゴルフクラブスタイルだ。
その素晴らしいダイニングルームには、20人以上のゲストを一度に収容可能な重厚なダイニングテーブルが置かれている。
厳格なメンバーコースだが、ビジターもプレー可能
ミュアフィールドでは、年間を通じて、火曜日と木曜日にビジターを歓迎している。
2017年、女性会員が認められることとなり、今後も「全英オープン」を開催し続けることとなった。
また、今年「全英女子オープン」が初めて開催されることも大きな話題である。
ミュアフィールドでプレーする人には、バンカーショットをマスターしておくべきとアドバイスしたい。
このコースほど素晴らしく、挑みがいのあるバンカーを備えたリンクスは世界中を見渡してもなかなかない。
Text & Photo/ David Cannon (Getty Images)
David Cannon デビッド・キャノン(イギリス)
海外メジャー100大会以上を取材し、現在も第一線で活躍中のゴルフフォトグラファー界の巨匠。
自身もシングルハンデの腕前で、息子はプロゴルファー。
アメリカ、ヨーロッパ、中東、オーストラリア、アジアと世界各国を股にかけて撮影している。Getty Images所属。
Text & Photo/ David Cannon (Getty Images)