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今、メジャーに最も近くて勝てない男・ザラトリスの悲劇&日本人の「全米 オープン」

今、メジャーに最も近くて勝てない男「ザラトリスの悲劇」

©USGA

ウィル・ザラトリス(米国)
1996年8月16日生まれ。188cm、75kg。ウェイクフォレスト大ゴルフ部出身。2014年「全米ジュニア」優勝。2021年PGAツアー・ルーキー・オブ・ザ・イヤーを獲得。2021年「マスターズ」2位、2022年「全米プロ」2位など、メジャーで大活躍中。

©USGA

最終日の最終ホール、2メートル弱のバーディパットを決めきれず、プレーオフに進めなかったザラトリス。

松山英樹が優勝した2021年の「マスターズ」で優勝争いをしていた彼を、ご記憶の方も多いかもしれない。

この3年間、2020年「全米オープン」6位タイ、2021年「マスターズ」2位、「全米プロ」8位タイ、2022年「マスターズ」6位タイ、「全米プロ」2位と、メジャーの舞台で圧倒的な強さを誇るウィル・ザラトリスが、今回の「全米オープン」でも2位タイに入る大健闘を見せた。
いや、ここまできたら、大健闘という言い方よりも、またもや負けてしまった、という方がピンと来るかもしれない。
彼は2018年にプロ入りし、ここまでコーンフェリーツアー(PGAツアーの下部ツアー)で1勝を挙げるに留まっているが、メジャーとなると異常なまでの強さを発揮している。
フェデックスカップランキングを見ても、未勝利でトップ10入りを果たしているのは、ザラトリス1人だ(8位)。

「7か月前にはコーンフェリーツアーに出ていた自分が、マスターズで優勝争いをしている。メジャーで2位が3回だから、やっていることは間違いないと思うし、これからも今やっていることをやり続けて挑戦し続けるよ」

最初はメジャーで優勝争いをするのも、緊張していたという彼だが、だんだん場数を踏み、慣れてきたと語る。
「あとは自分が勝てる番になるのを待つだけ。何も失うものはないし、恐れるものもない」という心境にもなっているという。

この号が出る頃には今年最後の男子海外メジャー「全英オープン」も終わっているが、彼はそこで優勝争いに加わり、勝利を掴んでいるだろうか。

最終成績

優勝マシュー・フィッツパトリック−6
2位スコッティ・シェフラー
ウィル・ザラトリス
−5
4位松山英樹−3
5位コリン・モリカワ
ローリー・マキロイ
−2
7位デニー・マッカーシー
アダム・ハドウィン
キーガン・ブラドリー
−1
10位ゲーリー・ウッドランド
ジョエル・ダーメン
E
12位ジョン・ラーム+1
14位ザンダー・シャウフェレ
アダム・スコット
+2
24位ダスティン・ジョンソン+4
17位ジャスティン・トーマス
ジョーダン・スピース
+7
56位ブライソン・デシャンボー+13

【予選落ち】セルヒオ・ガルシア、フィル・ミケルソン、小平智、中島啓太(アマ)、星野陸也、出水田大二郎、杉山知靖、香妻陣一朗

日本人の全米オープン

松坂大輔も観に来てた!

松山英樹、最終日ベストスコア65
“30ホール連続ボギーなし”に本人もビックリ!!

©Eiko Oizumi

最終日のプレーを終え、この笑顔。

©Eiko Oizumi

最終日は、ダスティン・ジョンソンと同組でプレー。フェアウェイを2人で話しながら闊歩する姿も見られた。

平均気温が15度前後と、肌寒さを感じる「全米オープン」の最終日に、ベストスコアの65を叩き出し、一気に4位に浮上した松山。
「アンダーパーで終われば、何か起きるかもしれない」と思いながらプレーしていたという。
ショットの調子は自分の思い通りではなかったものの、要所要所でパットが決まり、好スコアにつながった。
また、30ホール、ボギーなしの記録に本人もビックリ。

「初日からもう少しだけいいプレーをしていれば、(優勝争いもできていたと思うんで)、そこが課題だと思います」と語った。

出水田大二郎
次は憧れのタイガーに会いたい!

©Eiko Oizumi

「今のままでは全然歯が立たない」と、自分のレベルと世界のレベルの差(飛距離やショートゲーム)を思い知らされた出水田。
それでも、通用する部分もあると感じ、「可能性はゼロではない」と思ったという。
練習日にはツアー屈指の飛ばし屋のデシャンボーと一緒にラウンド。
飛距離の差を痛感した。

「デシャンボーは感動しました。次は、タイガーが出るメジャーに出たいですね。写真も撮りたいし、サインも欲しいです(笑)」。

杉山知靖
日本では到底経験できないセッティングで気付けたこと

©Eiko Oizumi

「難しかったけど、収穫もあった。このお客さんの雰囲気も最高!」と語るのは、海外メジャー初挑戦の杉山。
練習日にはF・モリナリやT・フリートウッドら世界のトッププロの組に交じり、彼らの技術を見て学んだ。
「ここまで下が固いと、全然アイアンが入っていかない。もっとソール幅の薄いタイプを用意しないと」と道具面での調整も改めて考えさせられたようだ。

中島啓太(アマ)
挑戦はまだ始まったばかり!もっと頑張りたい!

©Eiko Oizumi

9月のプロ転向があと3ヶ月程に迫っている中島啓太。
アマチュア最後の「全米オープン」挑戦は予選落ちに終わった。

「細かいところでミスをしてしまった。メジャーでは細かいミスも許されないので、もっと修正して準備できたらと思う。ショートゲームがまだまだ不十分なので、もっと経験を積んでいきたいですね。挑戦は始まったばかり。プロ転向は楽しみだし、そこに向けてもっと頑張りたい」

星野陸也
いいショットが打てなくてスコアを伸ばせなかった

©Eiko Oizumi

「全米プロ」直後のテキサスでの最終予選会を勝ち抜いて出場した星野は、終始ショットの調子の悪さを修正できず、予選落ちを喫した。

「久々にショットが全くうまくいかない感じで終わっちゃいました」とコメント。だが、今回の出場中に次につながるひらめきもあったそうで、「帰国してからそれをやるのが、少し楽しみ」と語っていた。

Text & Photo/Eiko Oizumi Photo/USGA, Getty Images

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