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【私の愛したゴルフコース】第15回ロイヤルウエストノーフォークゴルフクラブ (イングランド)

世界のゴルフフォトグラファーの第一人者として今も第一線で活躍するデビッド・キャノン。

彼のファインダーを通して切り取られた世界のゴルフコースの数々は、まるで宝石箱のジュエリーのように一つ一つが個性豊かに輝いている。

私の愛したゴルフコース第15回はイングランドのロイヤルウエ ストノーフォークゴルフクラブを紹介する。

Royal West Norfolk Golf Club

ロイヤルウエスト・ノーフォークGC
設計:ホルコム・イングルビー、ホレイス・ハチンソン
1892年にオープンしたイングランドのブランカスター湾に面するリンクスコース。
当時の皇太子(後の英国王エドワード7世)がコース設立時のパトロンであったことから、「ロイヤル」の称号を得た。全長6457ヤード・パー71。
海の潮の満ち引きにより、満潮の時はクラブハウスに車での接近が不可能となるので、潮の満ち引きの時間を確認することが必要。
https://www.rwngc.org

©David Cannon (Getty Images)

8~9番ホールにかけては、潮の満ち引きの影響を受けやすく、満潮時には海に浮かぶ島のようになってしまうこともあるという。写真は9番ホール・パー4。

130年前と変わらぬ風景が広がるコース

ロイヤルウエスト・ノーフォークGC(通称ブランカスター)でゴルフをすると、昔にタイムスリップしたかのように思える。
このコースは、1892年にオープンした当時とほとんど変わっておらず、当時の枕木を敷き詰めたバンカーは今でも残っていて、美しいコースの風景の特徴になっている。

来場の際は、潮見表を確認し準備することが必要不可欠だ。
なぜなら、果てしなく続く非常に美しい砂浜と塩性湿地の間に挟まれたコースとクラブハウスは、満潮になると立ち入りできなくなることがあるからだ。
それを知らないビジターは満潮時に、クラブハウスに何時間も足止めされることもある。
しかしこれも、この素晴らしいゴルフ体験の最も魅力的な特徴の一つなのだ。

ロンドンから車で約3時間、ノーフォーク州の北東角に位置するブランカスターは、王室の別荘であるサンドリンガムから15マイル(約24キロメートル)ほど離れたところにあり、1892年には、後に国王エドワード7世となったプリンス・オブ・ウェールズから王室の庇護を受けている。

高潮や洪水などの多くの危機を乗り越え、当時のクラブハウスが現在も残っているが、素晴らしいオーク材のパネル張りの部屋は、クラブハウスが建てられた当時と同じものだ。
朝のラウンド後、ここの2階で海を眺めながらランチをしたり、他のゴルファーがラウンドを終えてコースを去るのを眺めるのは最高のひとときだ。

また、ブランカスターでのゴルフは、あっという間に終わる!
2サムでプレーするのが原則で、ビジターはこのルールに注意しなければならない。
とても古風で、時代遅れな印象を受けるかもしれないが、正直なところ、このルールこそが、この素晴らしいリンクスコースでプレーする大きな魅力の一つなのだ。
18ホールで3時間、が平均的な所要時間である。

さらにこの辺りの塩性湿地は、鳥類の特別保護地域に指定されている。
何千マイルも離れたところからこの地に鳥がやってくる季節には、バードウオッチャーたちが大勢訪れる。

ニューヨークの名門「ナショナル・ゴルフ・リンクス・オブ・アメリカ」のモデルになっているパー3ホール

©David Cannon (Getty Images)

4th Par3/130yard

海沿いの4番ホール・パー3のグリーン(手前)と、14番ホール・パー4のグリーン。4番は小さな砲台グリーンになっており、枕木で補強されたバンカーで囲まれている。距離は短いが、風が吹くと難しい。

©David Cannon (Getty Images)

9番ホール・パー4(405ヤード)。右ドッグレッグホールで、ティーショットは川と湿地帯越え。満潮時にはフェアウェイが水没してプレーできない。

©David Cannon (Getty Images)

ブランカスターの村から見た、クラブハウスとゴルフ場。その先にはブランカスター湾が広がっている。

Birdies and/or Birds
あなたはバーディを取りたい? それとも鳥を観察したい?

©David Cannon (Getty Images)

18番ホール・パー4(381ヤード)。フェアウェイは1番ホールと共有で広い。グリーン手前には細長いバンカーが横たわっている。
*コースの隣は鳥類保護区となっており、世界中からバードウォッチャーたちが集まってくる。

潮の満ち引きがスコアに影響

前半9ホールの右側には、塩性湿地が広がり、後半9ホールは、右手に砂丘越しにビーチを見ながらクラブハウスに戻るというレイアウトになっている。
もし「お気に入りホール」を一つ選ばなければならないとしたら、パー4の9番ホールだろう。
湿地帯を横切るティーショットは、満潮時には砂州の一番奥にあるアイランドグリーンに向かって打つことになる。
河口、帆船、村の景色が見える美しいロケーションだ。
リンクスコースの難しさは、その日の風の強さと向きに左右されることが多い。
しかし、ブランカスターには、潮の流れ、という別の要素も存在する。
特に満潮時のパー5の7番ホールと8番ホールは、干潮時とは全く違ったものとなる。
数時間前には水深2フィート(約0・6メートル)だった場所にボールが 「ちょこんと」鎮座しているのを発見することもある。
ロイヤルウエスト・ノーフォークGCは、このようにユニークで楽しいコースなのだ。

Text & Photo/ David Cannon (Getty Images)

David Cannon デビッド・キャノン(イギリス)

海外メジャー100大会以上を取材し、現在も第一線で活躍中のゴルフフォトグラファー界の巨匠。自身もシングルハンデの腕前で、息子はプロゴルファー。アメリカ、ヨーロッパ、中東、オーストラリア、アジアと世界各国を股にかけて撮影している。2022年、PGAオブ・アメリカ生涯功労賞を受賞。Getty Images所属。

Text & Photo/ David Cannon (Getty Images)

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