男女同地開催、同額賞金をかけて戦う、男女平等トーナメント
ISPS HANDAワールドインビテーショナル
選手の人生を大きく変える夢や希望に向かう分岐点
2022年8月11日〜14日
北アイルランド/ガルゴルムキャッスル&マセリーン
女子の部・優勝
マヤ・スターク
(スウェーデン)
2021年8月にプロ転向。アマチュア時代、スウェーデンのナショナルチームメンバーで2020〜2021年に「全米女子オープン」に出場。欧州女子ツアー5勝、米LPGAツアー1勝。
男子の部・優勝
イワン・ファーガソン
(スコットランド)
今季、DPワールドツアーの「コマーシャルバンク・カタールマスターズ」で初優勝を遂げ、今大会で2勝目を挙げた。
大会アンバサダーはワンダイレクションのナイル・ホーラン
自らもプロアマ戦に参加。多くの女性ファンが会場に集まり、大会を盛り上げた。
ホーランは、セルフィ(自撮り)が得意で、「セルフィキング」と呼ばれているそうだ。中には日本から現地に向かった熱心なファンも。
ISPS総裁で、元アイルランド首相のエンダ・ケニー氏(左)も表彰式でスピーチ。右はISPSアンバサダーで元ラグビーイングランド代表のマイク・ティンダル氏。
男子はイワン・ファーガソンが、欧州ツアー2勝目
女子はマヤ・スタークが、米女子ツアー初優勝
身長175センチと長身のスターク。昨年8月にプロ転向したばかりだが、2020年「全米女子オープン」で13位タイ、2021年同大会で16位タイに入るなど、アマチュア時代からその実力は証明されていた。
大会前のプロアマ戦で、大会ホストのナイル・ホーラン(手前)と一緒に回ったファーガソン。
米LPGAツアー5勝、欧州女子ツアー16勝のソフィ・グスタフソン(スウェーデン・右から2番目)がスタークのキャディを務めた。
優勝したイワン・ファーガソン(左)と同郷の親友、コナー・サイムは最終日、最終組でともに戦った。
3日目を終えて、首位に立っていたアマンダ・ドハティ(米国)。米下部ツアーを経験し、今季からレギュラーツアーを主戦場に戦っている米ツアールーキー。
2018年「AIG全英女子オープン」チャンピオンのジョージア・ホール(イングランド)も出場。
北アイルランド出身で、現在LPGAツアーメンバーのステファニー・メドウ。2019年大会の女子の部で優勝した。
DPワールドツアー(欧州男子ツアー。以下DPWT)、LPGAツアー(米女子ツアー。以下LPGA)、欧州女子ツアー(以下LET)の3ツアーが共催の、「ISPS HANDAワールドインビテーショナル」が8月14日に閉幕し、男子の部はスコットランド出身のイワン・ファーガソンが優勝。女子の部はスウェーデンのマヤ・スタークが優勝した。
ファーガソンは今年の3月、DPWT「コマーシャル・カタールマスターズ」でツアー初優勝を飾り、今大会で2勝目。
初日から首位を譲らず、完全優勝を果たした。一方スタークは、3日目を終えて首位のアマンダ・ドハティに2打差の4位タイで最終日を迎えたが、自己最高スコアの63をマーク。
2位のアリセン・コープスに5打差をつけ、通算20アンダーで優勝した。
なお、スタークは今大会でLET5勝目を達成。LPGA初優勝を飾った。
「私がこの試合に来たのは、LPGAのシード権が欲しかったから。(LPGAの)予選会に行くのは嫌だし、もう行かなくていいのは素晴らしいわ。超ハッピーよ!私が長年行きたかったLPGAでやっとプレーできるんですからね。この優勝で全てが変わる!」
アマチュア時代から、スウェーデンのナショナルチームメンバーとして、米国オクラホマ州立大・ゴルフ部の部員として活躍し、世界女子アマランキング6位まで上り詰めた彼女は、昨年8月にプロ転向し、すでに欧州ツアーで5勝(ISPS HANDAワールド招待を含む)を飾っている。
彼女の目標は、女子ゴルフの世界最高峰・米LPGAツアーのメンバーとして戦うことだが、昨年の予選会で失敗し、メンバー資格を得ることができなかった。
だが、LPGAとLETの共催試合で優勝できたことで、念願のLPGAメンバーになることができたのだった。
スウェーデンの大先輩、ソフィ・グスタフソンをキャディに従え、アドバイスを受けながら逆転優勝に成功したスターク。
今後はアメリカに主戦場を移し、メジャー優勝を目指す。
一方、男子の部で優勝したファーガソンも、DPWTで2勝目を挙げたことで、今シーズン最終戦「DPワールドツアー選手権(UAE・ドバイ開催)」への出場を確定的にした。
彼はドバイが大好きで、最終戦に出ることを目標にしていたが、今大会で優勝したことにより、DPWTランキングは34位まで浮上した。
男子の部・上位最終成績
① | イワン・ファーガソン | −12 |
② | コナー・サイム ボルヤ・ビルト | −9 |
④ | マーカス・ヘリグキルデ リチャード・マンセル レナート・パラトーレ | −8 |
⑦ | マシュー・ボールドウィン フィリッポ・チェリ(アマ) ジョーダン・スミス | −7 |
⑩ | トム・マッキビン ロビン・ペターソン ジェイミー・ラサフォード | −6 |
女子の部・上位最終成績
① | マヤ・スターク | −20 |
② | アリセン・コープス | −15 |
③ | ジョージア・ホール | −14 |
④ | リン・グラント エミリー・ペデルセン ペイユン・チエン | −13 |
⑦ | リズ・ヤング | −12 |
⑧ | ローレン・ステフェンソン アマンダ・ドハティ | −11 |
⑩ | レオナ・マグワイヤ | −10 |
Text/Eiko Oizumi
Photo/Getty Images(DP World Tour)
ISPSは障害者ゴルフを支援しています
トマソ・ペリーニョ
G4Dツアー初優勝!
大会ホストのナイル・ホーラン(右)から優勝トロフィーを受け取るペリーニョ。
イタリア出身で38歳のペリーニョ。世界ランク1位のブレンダン・ローラーを5打差で抑えて、G4Dツアー初優勝を遂げた。スクーターによる事故で、片足に障害が残った。
世界ランク1位で、ISPSアンバサダーのブレンダン・ローラー(左・アイルランド出身)は、2位タイに終わった。
イタリアのトマソ・ペリーニョは、 AVIVクリニックが主催する「G4D@ISPSハンダ・ワールド招待」で、5打差をつけてG4D(障害者ゴルフ)ツアーで初優勝を飾った。
彼は、初日を終えて障害者ゴルファー・世界ランク1位のブレンダン・ローラーに1打リードし、最終日(2日目)は、2アンダーの70で回って、優勝したのだ。
「夢でこの(優勝の)瞬間について考えていた。夢は実現するもの。ここガルゴルムは好きなコースのひとつだが、ここはブレンダンのホームでもある。彼は最高のプレーヤーだが、今日は、私が完璧なプレーをすることができた」
世界ランキング7位の彼は、障害者ツアーで多くの勝利を収めている。
「ブレンダンは、どの大会でも常に競争心が強く、彼と互角に戦うにはハードワークが必要だとわかっていた。だが、スタートダッシュして、最後まで主導権を握ることができた。途中、スコアを2打落とすなどプレッシャーもあったけど、最後は、自分にしては完璧だった」
イタリア人のペリーニョは、17歳のときにスクーターの事故で片足が不自由になったが、その後、ヨーロッパ障害者ゴルフ協会(EDGA)を代表する選手の一人にまで成長した。
昨年はセルティックマナーリゾートで開催された第1回「EDGA Cazooオープン」で2位。
DPワールドツアーの招待選手として、2020年、2021年には「イタリアンオープン」に出場した。
38歳でイタリア人チャンピオンとなったペリーニョは現在、トスカーナのコスモポリタンゴルフ&カントリークラブでヘッドコーチを務め、「ライダーカップ2023プロジェクト」の一員となっている。
また、イタリアゴルフ連盟の障害者ゴルファー部門のナショナルチームの技術ディレクターも務めており、その役割は単にゴルフをプレーするだけにとどまらない。
「初めから問題を抱えている人は、自分の世界は終わったと思ってしまう。だが、ゴルフはそういう人の人生に、笑顔を持つきっかけを与えてくれる」
人気者のペリーニョは、G4Dツアー初優勝を果たした際、18番グリーン上で同伴競技者から祝福された。
「一緒にプレーしている選手たちとは、みんな友達だ。毎日、一瞬一瞬を友達と楽しんでいる。私たちの間では、誰一人悪口を言う人はいない」という。
彼は、シーズンを締めくくる「G4D@DPワールドツアー選手権」への出場権を獲得した3人のうちの1人だ(キップ・ポパート、マイク・ブラウン、トマソ・ペリーニョの3人)。
G4Dツアーは、ドバイ(11月18日~19日)で最終戦が開催されるが、その前に、イギリスのウェントワース(9月5日~6日)とスペインのバルデラマ(10月10日~11日)の2大会が残っている。
G4Dツアーは2022年の試合数が増え、欧州障害者ゴルフ協会に対する財政、商業、メディア支援のパッケージが組み込まれている。
DPワールドツアーは、欧州ツアーグループの「ゴルフ・フォー・グッド」イニシアチブを通じて、欧州障害者ゴルフ協会がボランティア組織から、セミプロの組織に移行するための資金援助も約束した。
最終成績
① | トマソ・ペリーニョ | −6 |
② | ブレンダン・ローラー キップ・ポパート | −1 |
④ | クリス・ビギンズ | +1 |
⑤ | コナー・ストーン | +8 |
⑥ | ヨハン・カメルスタッド アルチェ・ポスティーゴ | +9 |
⑧ | ブラッドリー・スミス | +11 |
⑨ | ラスマス・リア | +13 |
⑩ | デビッド・ワッツ | +17 |
Text/Paul Kelly
Photo/Getty Images(DP World Tour)