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【世界のゴルフ通信】From Australia 世界が欧州に注目!男女メジャーVでオーストラリアのゴルフが活性化

男女メジャーの優勝でオーストラリアのゴルフが活性化

全米女子オープン優勝

©USGA

ミンジー・リー
豪州・パース出身。1996年5月27日生まれ。米ツアー8勝、メジャー2勝。弟のミンウー・リーもプロゴルファーで、「ISPS HANDAヴィックオープン」など、欧州ツアー2勝。

全英オープン優勝

©Dan Imai

キャメロン・スミス
豪州・ブリスベン出身。1993年8月18日生まれ。米ツアー6勝、その他2勝、メジャー1勝。2022年は「全英オープン」「プレーヤーズ選手権」など3勝を挙げ、世界ランク2位。

©Getty Images

「全英オープン」直後の7月19日、オーストラリアゴルフセンター(メルボルン)で行なわれた「マイゴルフキッズクリニック」にて。

©Getty Images

「全英オープン」チャンピオンのキャメロン・スミスの長髪を真似て、カツラをかぶってスイングするジュニアゴルファー。

2人の豪州人メジャーチャンピオン誕生に沸く豪州ジュニア

6月にミンジー・リー、7月にキャメロン・スミス、と2人のオーストラリア人が海外メジャーで優勝した。
このことにより、リーとスミスの2人は憧れの選手として強い影響力を及ぼし、オーストラリア(以下、豪州)ではジュニアゴルファーが急増している。

男女2人の豪州人チャンピオンが誕生した結果、母国を誇らしく思う気持ちが生まれ、主要メディアで取り上げられることも多くなり、一般の人々のゴルフへの興味や理解も深まった。

スミス(29歳)もリー(26歳)も若く、礼儀正しく、カッコいいこともゴルフブームの一助となっている。
スミスの「マレットヘア」として知られる長髪は、誰もが好む髪型ではないが、子供たちからは気に入られているようだ。

スミスの「全英オープン」での見事な勝利の翌日、ゴルフ・オーストラリアは、本拠地でレッスン会を実施し、スミスの独特のスタイルを祝して、参加者にウィッグをプレゼント。
しかし、その楽しい雰囲気の裏には、彼のフレンドリーな性格と人気、そしてコロナパンデミック後の世界におけるゴルフへの関心の高まりを利用して、ゴルフの活性化を図ろうという真剣な動機があった。

その目論見は成功し、スミスの優勝後4日間で、ゴルフ・オーストラリアの「マイゴルフプログラム」にさらに500人の子供たちが登録した。
2人が優勝した6月から7月にかけて、4000人を超える豪州人が「マイゴルフ」に登録。
ティーチングプロやインストラクターの指導の下でプレーを学ぶ5歳から12歳の若者の数は、これまでの2倍に増加した。

「今までに前例のないほど多くの子供たちがゴルフに参加しているのを目の当たりにしている。間違いなくキャメロンとミンジーの功績だろう。2人の存在が、豪州国民にとってゴルフを非常に人気のあるものとし、ゴルフブームを今後もずっと後押ししてくれることだろう」とゴルフ・オーストラリアのデビッド・ガリキオ氏は述べている。

スミスは最終ラウンドで64をマークし、ローリー・マキロイを追い詰めて第150回「全英オープン」を制したことは、この上なく素晴らしいことだった。
ゴルフ・オーストラリアのメディアマネージャー、マーティン・ブレイク氏は、スミスが「全英オープン」の150回記念大会で、しかもセントアンドリュースで優勝したことは、少なくとも2013年にアダム・スコットが「マスターズ」で優勝したことで、豪州人で初めてグリーンジャケットを獲得した時と同じであったと述べている。

スミスの優勝は、あらゆる主要なニュース速報で取り上げられ、すべての日刊新聞の一面を飾った。
スミスはまた、クラレットジャグを披露するために豪州に戻りたいこと、12月に豪州で開催されるビッグイベントでプレーしたいことを、続報で認めた。

ミンジー・リー優勝の1か月後にキャメロン・スミスが優勝したが、豪州が同年に男女のメジャー優勝者を輩出したのは、今回で3度目だ。
2006年には、ジェフ・オギルビーが「全米オープン」を、カリー・ウェブが「クラフト・ナビスコ選手権」を制し、1981年にはデビッド・グラハムが「全米オープン」を、ジャン・スティーブンソンが「デュ・モーリエクラシック」を制している。

2022年を通して、リーの調子は最高の状態だった。
「全米女子オープン」で優勝した直後に、メルボルンで開催された主要なゴルフ会議で、彼女は豪州のゴルフの新しい顔として歓迎され、「マイゴルフ」や国内の他のジュニアクリニックで男女間の不均衡の是正を支援する役割を担っている。 

豪州のゴルフクラブ会員のうち、女性はわずか18%だが、「マイゴルフ」に参加する女子の割合は現在30%に達している。
しかし今年、ゴルフを始めるよう若者たちに影響を与えたのはリーだけではない。
ハナ・グリーンが、男女ミックス試合で、女性として初めて男性を破り、今年の幕開けを飾った時から、スコットランドのミュアフィールドで開催された「AIG全英女子オープン」に至るまで、豪州の女子プロの活躍が目覚ましい。
これらはゴルフの活性化に大きく役立っている。

カリー・ウェブが女子シニアメジャーで優勝

「AIG全英女子オープン」では、トップ10に2人の豪州人選手が入っていた。
最終的にリーは4位タイ、ステファニー・キリアコウは7位タイ、グリーンは35位タイだった。

全国の女性達に影響を与えているのは、若い選手だけではない。
豪州で最も偉大なメジャーチャンピオンのカリー・ウェブが、47歳で7月の「シニアLPGA選手権」を制し、彼女にはまだ素晴らしいプレーができることを証明した。
シニアゴルフなど、ほとんど取り上げない豪州の日刊紙の関心さえも引き付けたのである。

ウェブは、今年の「ISPSハンダ・オーストラリアンオープン」に出場することが発表されており、今大会での優勝の可能性まで取り沙汰されている。

Text/Karen Harding

カレン・ハーディング

(オーストラリア)

メルボルン出身のゴルフジャーナリストで、数々の賞を受賞。女子ゴルフやゴルフ場の環境問題、大衆ゴルフなどに関する執筆に注力。

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