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【私の愛したゴルフコース】第17回ル・ゴルフ・ナショナル(フランス)

世界のゴルフフォトグラファーの第一人者として今も第一線で活躍するデビッド・キャノン。

彼のファインダーを通して切り取られた世界のゴルフコースの数々は、まるで宝石箱のジュエリーのように一つ一つが個性豊かに輝いている。

私の愛したゴルフコース第17回はフランスのル・ゴルフ・ナショナルを紹介する。

Le Golf National

©Getty Images

池に絡むホールが多く、特に上がり4ホールは全て池に面しているアルバトロスコース。2018年の「ライダーカップ」開催コースであり、2024年のパリ五輪の会場に決定している。

ル・ゴルフ・ナショナル
●設計:ハバート・チェスニュー、ロバート・ボン・ヘギー、ピエール・テバニン
●コース:7331ヤード・パー72(アルバトロスコース)
●備考:パリ近郊、ヴェルサイユ宮殿付近のコース。1990年に完成。アルバトロスコースの他、イーグルコースとバーディコースがある。DPワールドツアーの「フランスオープン」開催コースであり、2018年には「ライダーカップ」を開催。今年の8~9月には「世界アマ」が行なわれた。
https://www.golf-national.com/en/

1つのボールでプレーするのは、困難なコース

ル・ゴルフ・ナショナルのアルバトロスコースは、1980年代後半に建設され、1990年にオープンした。
フランスゴルフ連盟の本拠地にある3つのコースの一つで、2018年に「ライダーカップ」が開催されたことで有名。
ヨーロッパ大陸で最も古いナショナルオープンである「フランスオープン」の本拠地でもある。
パリ中心部から南西のベルサイユ宮殿にほど近いギュイヤンクール郊外に位置する。
この素晴らしいスタジアムコースは、全長7331ヤードの巨大なコースで、8万人のギャラリーを収容できる。

このコース、実は、気の弱い人には向かない。
恐怖と爽快感を味わえる、チャレンジングなコースだからだ。
1つのボールで18ホールをプレーするのは至難の業。
コース内には、広々とした池が横たわる巧妙なホールが点在し、短いパー4の1番ホールと、大きな池沿いにある長いパー3の2番ホールから始まる。
スタート時点で使っていたのと同じボールで2番を終え、2つのパーを取れたら驚異的なスタートだ。
最後の4ホールは、背筋がゾクゾクするような、世界でも類稀な、怖いレイアウトになっている。
このコースは大規模な大会を開催するために造られたが、ゴルフ界最高のチームイベントである2018年の「ライダーカップ」開催という名誉をもって実を結んだ。
2018年の「ライダーカップ」の初日、朝日を浴びた巨大な円形劇場型の1番ティーのグランドスタンドの頂上に立ったことは、私の人生において決して忘れることのない瞬間だ。

うねるフェアウェイと無数のバンカー
美しい池が戦略性を高めるフランスの宝石

©Getty Images

5th Par4/404yard

秋には紅葉が美しい、ル・ゴルフ・ナショナル。5番ホールは左サイドに7つのバンカーが連なる。

©Getty Images

2018年にこの地で開催された「ライダーカップ」。トーマス・ビヨーンがキャプテンを務めた欧州チームが、17.5 対10.5で米国チームに勝利した。

©Getty Images

14番ホール・パー5(603ヤード)のグリーン周り。まるで足の裏のような巨大なバンカーがグリーン手前で口を開けるホール。

C’est Magnifique!
素晴らしい!

©Getty Images

15番ホール・パー4(404ヤード)の2打目地点からグリーンを望む。右サイドには18番ホールのグリーンも見える。奥の建物はクラブハウスとホテル。

難関コースだがいいショットへのご褒美も

コースの難易度の高さは一目瞭然。
方向性の良いティーショット、熟考を重ねた上で放たれる精度の高いアイアンショット、そして見事なショートゲームは、この難関を攻略するには絶対不可欠な要素だ。
多くのホールを囲むマウンドのラフは、初夏の成長期には特に過酷。
熾烈な挑戦だが、いいショットには大きなご褒美もある。
グリーンのコンディションはとても素晴らしく、グリーンを外すと、起伏が多いグリーンで、斜面を考慮した複雑で難しいリカバリーショットが待っている。

フロント9をうまく切り抜けて、15番ホールのティーに到着すると、いよいよ本当のワクワクがはじまる。
ややドッグレッグの短いパー4で正確な2打目が要求されるため、確実にグリーンに乗せるには、ティーショットを正確に打つしかない。
このホールは美しいだけでなく、全てのショットにおいて試練を与えている。

178ヤード・パー3の16番ホールでも池越えの難しいショットに直面するが、ショットを左に外すと、深いバンカーかグリーンを囲む急斜面につかまり、奥に池を控えたグリーンへの寄せが非常に難しくなる。
また、グリーンはトリッキーで、グリーンの中央は盛り上がっており、難しいパッティングが残るので3パットに注意しよう。

18番ホールのティーの左には池があり、右にある高いマウンドと深いフェアウェイバンカー群も避けなければならない。
2打目は、土手に囲まれたアイランドグリーンへのショットとなるが、グリーンに向かう景色は最高だ。
このホールで一日に何個のボールが池ポチャするのか想像もつかないが、TPCソーグラスの17番ホール(アイランドグリーンのパー3)に匹敵するほど、ゴルフボールの大きな「墓場」となっている。

ル・ゴルフ・ナショナルのアルバトロスコースは、パリでゴルフをするのであれば、必ず訪れるべきコース。
チャンピオンが歩いた道、チャンピオンやチームが祝った道、プロが欧州ツアーの試合や「ライダーカップ」の試合に勝つためにプレーしたコースを是非体験してほしい!

Text & Photo/ David Cannon (Getty Images)

David Cannon デビッド・キャノン(イギリス)

海外メジャー100大会以上を取材し、現在も第一線で活躍中のゴルフフォトグラファー界の巨匠。自身もシングルハンデの腕前で、息子はプロゴルファー。アメリカ、ヨーロッパ、中東、オーストラリア、アジアと世界各国を股にかけて撮影している。2022年、PGAオブ・アメリカ生涯功労賞を受賞。Getty Images所属。

Text & Photo/ David Cannon (Getty Images)

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