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今年こそベストスコア更新!男子ツアーきっての名手が教えるアイアン上達の基本と実践

©Yoshitaka Watanabe

どんなライからでもグリーンオンさせる基本は、驚異のイーグル率を誇る上井邦裕が、実践編では、4つの傾斜からのミスの対処法を元賞金王の藤田寛之が、「左足下がり」から急に出るミスの対処法を、ショットの精度ではピカイチの稲森佑貴が教える。
初心者から上級者まですぐに役立つヒントで、ベストスコア更新だ!

上井邦裕が教えるこれだけ守って欲しい「基本」!

©Yoshitaka Watanabe

Kunihiro Kamii
1982年10月28日生まれ、180cm、78kg。大阪府出身。アマチュア時代は池田勇太らとともに「世界アマ」の代表に選出される。2010年の「VanaH杯KBCオーガスタ」では世界初の“同一大会同一ホールでのホールインワン達成”としてギネス認定。今年は19年目のツアー初優勝に期待。三好CC所属。

トップで右ワキが開いても
ヒジが下を向いていれば大きなミスにならない

スライスもトップもダフリも、ミスの原因は同じだと言う上井。中でもスライスを直すには、「しっかり肩を回す」ことだ。

©Yoshitaka Watanabe
©Yoshitaka Watanabe

トップで右ヒジを下に向けておけばフェースは開かない。

©Yoshitaka Watanabe

右ヒジが外を向くとフェースが開いてスライスする。

肩が十分に回ったトップを作ると、振り遅れず、スライスしない

まずアドレスした時にヘッドの重さを感じるくらい肩と両腕の力を抜きましょう。
テークバック時は手先だけでクラブを振り上げずに、左肩、左腕とクラブを一体化させる。
この動きに連動するように下半身も動くので左肩がよく回ったトップになります。

この形ができたら、あとは何も考えずにクラブを振り下ろせば、ナイスショットできます。
トップで右ワキが開いてもヒジが下を向いていれば問題ありません。
右ワキを体に付けたままだと、スイングが窮屈になり、インパクトでフェースが開き、スライスが出やすいので要注意です。
振り遅れるとスライスになるので、体全体を使って一気にフィニッシュまで振り抜きましょう。

ダフる時はボールを1個分左に置いて
体を使って打つ素振りをしよう

スライスもトップもダフリも、ミスの原因は同じだが、ダフリを直すには、「ボール位置を左足寄りにする」ことが大切だ。

©Yoshitaka Watanabe

ボールを1個分左に置くと、腕が詰まることなく、クラブと体を一体化させ、全身を使ってスイングできる。

©Yoshitaka Watanabe

ダフる時は大抵ボール位置が右足寄りになっているので、クラブを上からボールにぶつけて終わりのスイングになる。

ボール位置が右足寄りになるとダフりやすい

スライスもダフリもトップも、その原因は同じ。
クラブが上から急激な角度で下りてきて、インパクトが点になるとミスが出ます。
ダフリが直らない時は、ボールを1個分通常よりも左に置いて、前ページでお伝えしたように左肩を十分に回したトップを作り、全身を使って振る素振りを何度も繰り返しましょう。

ダフる時は打つ前にボール位置を確認してください。
通常より右足寄りになっていませんか?
それではボールに対して鋭角にヘッドが下りやすく、インパクトを点でとらえることになり、目標方向に振り抜けません。
ダフらないためにはインパクト前後でヘッドが低く長く動くようにすること。
ボールを1個分左に置くことでクラブをスムーズに振れるようになります。

テークバックでは右足の付け根を意識してスエーしないように上半身をヒネる

トップを直すには、「テークバック時のスエーをなくす」ことがポイントだ、と上井は言う。

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テークバック時に右腰が回らずにスライドするスエーになると、左肩が十分に回らず手打ちになる。

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テークバック時に体がスエーすると、手打ちになり体が十分に回らない。クラブがボールの外側から下りて、トップになりやすい。

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右足の付け根を支点に上半身をヒネると左肩が十分に回ったトップになる。

©Yoshitaka Watanabe

テークバック時に体がスエーしなければ、ダウンスイングでクラブがボールの内側から下りてくるので、ジャストミートできる。

体が右にスエーすると手打ちになり、トップが出やすい

トップが出るのはテークバック時やダウンスイング時に腰が左右に動く(スエーする)から。
テークバックで腰が右にスエーすると手先だけでクラブを振り上げることになり、左肩が回りません。
ダウンスイングで腰が左にスエーすると、トップで左肩が十分に回ってない状態からクラブを切り返すことになり、振り遅れて、トップが出やすいのです。

テークバックの時、右足の付け根を支点にして左腰を回すと、その動きに連動して左肩が回り、上半身を十分にヒネることができます。
トップからの切り返しでも「間」を取れるので、打ち急ぎも防ぐことができます。
そうすれば、厚いインパクトで、ジャストミートできます。

©Yoshitaka Watanabe
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腕の振りと体の動きを一体化させ、手だけで打つのではなく体を回しながら打てば、スライスも、ダフリも、トップもなく、ボールを狙った所に真っすぐ運べる。

実践編

藤田寛之の「4つの傾斜」克服法!

©Yoshitaka Watanabe

Hiroyuki Fujita
1969年6月16日生まれ、168cm、70kg。福岡県出身。2012年に年間4勝を挙げ43歳で賞金王になる。同年の「日本シリーズ」では史上初の3連覇を達成。2019年には史上6人目の生涯獲得賞金15億円も達成。2020年にシニアツアーデビュー。昨年2勝。レギュラーツアー通算18勝。葛城GC所属。

①ツマ先上がり

目標より少し右を向いて、
クラブを短く握り
スイング幅を小さくして振り抜く

4つの傾斜の中でもツマ先上がりの難度は「中」。このライでは、ボールが足場より高い位置にあることに注意しよう。

©Yoshitaka Watanabe
©Yoshitaka Watanabe

ボールを少し右足寄りに置くことで、極端にフックすることはない。スイング幅を右肩から左肩くらい小さくすることで、軸ブレを防ぐ。

ボールを右足寄りに置くと、フック軌道で狙いどおり打てる

ツマ先上がりは、ボールがフックしやすいということを、まず頭に入れてください。

そして、スタンスを目標より少し右に取りましょう。
グリーンセンターのピンを狙うとしたら、スタンスの向きはグリーン右端方向です。ボールが足場より高い位置にあるので、クラブも短く握りましょう。

ツマ先上がりのライでの「軸ブレ」は厳禁です。体重移動を意識せず、下半身をどっしりさせ、スイング幅を小さくしてコンパクトに振り抜きましょう。
トップは右肩、フィニッシュは左肩くらいの振り幅にして、両ワキが体から離れないようにして、ボールと目の位置を変えずに振れば、ツマ先上がりからスライスもダフリもトップも出ません。
少し左に曲がるフック軌道を描いて、狙った所にナイスオンできるようになるでしょう。

②ツマ先下がり

目標より少し左を向いて、
ボール位置はスタンス中央
お腹に力を入れて、絶対に軸をブラさない

4つの傾斜の中でもツマ先下がりの難度は「高」。このライでは、ボールが足場より低い位置にある点に注意しよう。

©Yoshitaka Watanabe
©Yoshitaka Watanabe

体の正面で打てるようにボールをスタンス中央に置いて、丹田(お腹)に力を入れると、軸ブレせずにクリーンヒットできる。

ヒザを深く曲げて、体重移動せずに小さく振り抜く

ツマ先下がりはボールがスライスしやすく、かつ4つの傾斜の中でも最高難度です。
とりわけ慎重に打つことを心がけてください。

まず、スタンスは目標より少し左に取りましょう。
グリーンセンターのピンを狙うとしたら、スタンスの向きはグリーン左端方向です。
ボールが足場より低い位置にあるので、ボールをスタンス中央に置いて、体の正面で打てるようにします。

ツマ先下がりのライではどんな傾斜よりも「軸ブレ」に注意を払います。
体重移動をせずに下半身をどっしりさせ、スイング幅を小さくしてコンパクトに振り抜きましょう。
トップは右肩、フィニッシュは左肩くらいの振り幅にして、ワキが体から離れないようにして、ボールと目の位置を変えずに振れば、ツマ先下がりからミスを防ぐことができます。
少し右に曲がるスライス軌道を描いて、狙った所にナイスオンできるでしょう。

③左足上がり

両肩を斜面と平行に回すイメージで
斜面なりにクラブを振る

4つの傾斜の中でも左足上がりの難易度は「低」。最も打ちやすい傾斜だ。このライではボールが高く上がりやすく、ショートする恐れがあることに注意!

©Yoshitaka Watanabe
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斜面に対して水平に、つまり斜面なりに両肩を回せば、ダフリやすくい打ちすることなく、斜面なりに打てるので飛距離をロスしない。

ダウンスイングで右肩に力が入ると右肩が下がりやすく(左)、打ち急ぐと体が突っ込むのでダフリやすい。

ボールを無理に上げようとしたり、上から打ち込んだりしない

左足上がりは4つの傾斜の中では最も打ちやすいライですが、ボールが上がりやすく、ショートする恐れが高いことを知っておいてください。
ボールが高く上がる分、風の影響も受けやすいので、1〜2番手、大き目のクラブを選ぶことです。

左足より右足が低い位置にあるので、右足体重のまま体重移動せずに、体の右半身に軸を感じながら、軸ブレしないように斜面に沿ってクラブを振ります。
ボールを無理に上げにいったり、上から打ち込んだりせずに、両肩を斜面と平行に動かすイメージを持つとダフリもトップも出ません。
風に強い高弾道で狙い通りに打てるでしょう。

④左足下がり

クローズに構え、右足カカトを上げたまま打ち
フォローで右足を一歩前に!

4つの傾斜の中でも左足下がりの難易度は「高」。ツマ先下がりの次に難しいこのライでは、ボールが上がらなくてもOKとしよう。

©Yoshitaka Watanabe
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頭をアドレス時の位置にキープしたまま打つと厚いインパクトとなり、飛距離とランが出るが、頭が突っ込むとダフリやトップが出やすくなる。

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クローズに構え右足カカトを上げることで左にカベができ、より左足に加重できるので、軸ブレしない。フォローで右足を一歩前に出すことで力強く低弾道で飛ばせる。

左足体重のまま、頭の位置をボールの右にキープして打つ

左足下がりは、4つの傾斜の中ではツマ先下がりの次に打ちにくいライです。
ボールがクラブのロフト通りに上がりにくく低いボールになり、ランが多く出るので、1〜2番手、小さいクラブを選びましょう。

右足より左足が低い位置にあるので、左足体重にして体重移動せずに、体の左半身に軸を感じながら、軸ブレしないように斜面に沿ってクラブを振ります。

クローズスタンスにして、右足のカカトを上げたまま打ってみましょう。
フォローで右足を一歩前に出し、歩き出せるくらいでOK。
ぶ厚いインパクトになり、力強い低弾道で狙い通りに打てるでしょう。

稲森佑貴の苦手な「左足下がり」から上手く打つ集中レッスン!

©Yoshitaka Watanabe

Yuki Inamori
1994年10月2日生まれ、169cm、68kg。鹿児島県出身。フェアウェイキープ率7季連続第1位で“日本一ドライバーを曲げない男”の異名をとるほど、ドライバーの正確性はツアー随一を誇る。2011年プロ入り。2018年と2020年の「日本オープン」優勝などツアー通算4勝。国際スポーツ振興協会所属。

ボール位置を足幅の真ん中にして
ハンドファーストでインパクト

4つの傾斜の中でも特に難しい「左足下がり」のライ。日本一、ショットの精度の高い稲森が「体が早く起き上がらないように注意すればいい」と教えてくれた。

©Yoshitaka Watanabe

ボールは足幅の真ん中に置き、ハンドファーストでインパクトすれば、ボールをすくい打つことなく、低く打ち出せる。

©Yoshitaka Watanabe

クラブは少し長めに握る。

©Yoshitaka Watanabe

ヘッドの重さを利用して上から下に「トン」と振り下ろす。上げようという意識が強くなると下から上にすくう動きになる。

©Yoshitaka Watanabe

打つ前に顔が上がると、右肩が下がりダフリやすく、体も起き上がりやすくなり、トップも出やすい。

クラブを少し長く握り
ヘッドの重さで「トン」と打つ

左足下がりのライからはボールが高く上がりません。
その分飛距離も落ちますし、ランも多く出ます。
打ち出しから低いボールになることを、まずイメージし、ボールは上がらなくてもいい、と考えましょう。
ボールを無理に上げようとすると、すくい打ちになり、クラブの最下点がボールの手前にきて、ダフリます。

ボール位置はスタンス幅の真ん中。
クラブをちょっと長めに持って、ヘッドの重さを使って「トン」と振り下ろしましょう。
この時にボールより手が目標方向に出るハンドファーストの形になっていれば、ボールをすくい打つことなく、ボールに対して鋭角にヘッドを入れられるのでダフりにくくなります。

ちょっとオープンに構え
斜面に沿ってフォローを低く出す

左足下がりのライでは、無理にボールを上げにいくと、大きなミスになると稲森は言う。

©Yoshitaka Watanabe

オープンスタンスで構えると、、腰も右にスエーせずにコンパクトなトップが作れる。フォローで斜面に沿ってヘッドを低く出しやすい。

©Yoshitaka Watanabe

フォローからフィニッシュでは右腕を伸ばして低く出していくイメージでクラブを振るとジャストミートできる。

すくい上げは×
むしろ、「刺す」イメージで!

左足下がりからまともに当たらない時は、スタンスをオープンにして構えるのがオススメです。
下半身をどっしり構え、腰を右にスエーさせることなく、体重移動を考えずにコンパクトなトップを作りましょう。

オープンスタンスなら、インパクトからフォローでは斜面に沿って低くヘッドを出しやすく、ナイスショットの確率が高まります。
ダウンスイングからインパクト、フォローにかけて右腕を低く長く出していくイメージでスイングすると、傾斜なりにうまく打てるようになるでしょう。
それでもうまく打てない場合は、フィニッシュも低い位置でいいので、無理に通常通りのスイングをしなくてもよい、と考えましょう。

©Yoshitaka Watanabe
©Yoshitaka Watanabe

左足下がりでは体重移動をせず、トップはできるだけコンパクトに。インパクトからフォローにかけて、斜面に沿ってヘッドを出していくイメージで振ると大きなミスにならない。

Text/Eiko Oizumi
Photo/Yoshitaka Watanabe
Tournament/ISPS HANDA Championship in Japan

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