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ナイスリカバリーでパーセーブ! バンカー&アプローチ上達の基本を木下稜介、岡本絃希、宮里優作がレッスン!

木下稜介、岡田絃希、宮里優作がレッスン!

©Yoshitaka Watanabe

ナイスリカバリーで「パーセーブ」!バンカー&アプローチ上達の基本

グリーンを外した時に、いかにワンピン以内に寄せて「ナイスパー!」をもぎ取るか? 
その基本となる打ち方を、男子ツアーきっての“寄せ上手”が教える。
パーキープ率上位の木下、サンドセーブ率上位の岡田、そして元・賞金王の宮里が授ける初心者から上級者まですぐに役立つヒントで、ナイスリカバリーだ!

木下稜介のバンカーの基本

©Yoshitaka Watanabe

1991年7月16日生まれ、174cm、75kg。奈良県出身。大阪学院大学4年時の2013年に「朝日杯日本学生」で優勝。13年にプロ入り。21年の「日本ゴルフツアー選手権」で初優勝。次戦の「ダンロップ・スリクソン福島オープン」でも優勝。日本人選手初となる初優勝からの連勝を飾る。22年はパーキープ率19位。賞金ランク21位。ハートランド所属。

オープンに構え、ボールをやや左に

バンカーから1回で脱出するには、まず構えが大切だと言う木下。正しく構えれば、トップやホームランは出ないし、ダフらない。

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6:4の左足体重にして、フェースのリーディングエッジが目標を向くくらい開き、垂直なスイング軸をイメージする。

©Yoshitaka Watanabe

左足を引いてオープンに構え、アウトサイド・インのカット軌道で打とう。スピンが効いて、ふわっと上がる。

©Yoshitaka Watanabe
©Yoshitaka Watanabe

スイング軸が右に傾くと、すくい打ちになりやすく、ボール手前にヘッドが落ちるとダフリ、ボールを直接ヒットするとホームランに。

©Yoshitaka Watanabe

構える時に「出るかなぁ?」という不安や「絶対に出すぞ!」という気負いがあると、右肩が下がった構えになり、軸が右に傾く。

左足体重にして、軸をまっすぐに!

バンカーから確実に1回で脱出し、ベタピンにつけるには、アウトサイド・インの軌道でボールをふわっと上げて、スピンを効かせて、ビシッと止めたい。

そのためには右足より少し左足を引いて、オープンスタンスで構えます。
ボールはスタンスの真ん中より1個分左にセット。
フェースをリーディングエッジがピンを向くくらい開き、両肩のラインを、飛球線と平行にしましょう。

体重配分は左足6:右足4と、左足に多く体重を乗せ、垂直のスイング軸をイメージしたら打ち終わるまで変えないこと。
この時、右肩が下がると右足体重になり、スイング軸が右に傾き、ホームランが出たり、ダフるので要注意です。

木下稜介のバンカーから ”ナイスパー” の技

テークバックの始動で手首をコックする

バンカー脱出の基本は「上から打つ」ことだと言う木下。さらにベタピンにつけたいなら、手首のコックは欠かせない。

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両手が右腰を過ぎた辺りで、ヘッドがグリップより少し高い位置にあるくらいだと上から打てないし、ヘッドスピードが出ない。

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テークバックを始めると同時に左手の親指を真上に向け、手首を折って(コックして)ヘッドを頭より高く上げる。

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クラブを指2本分余すくらい短く握ると、ヘッドを上からストンと直線的に落としやすい。

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テークバックの早い段階で作った左腕とシャフトの直角を保ったまま、トップから一気に振り抜くと、スピンの効いたボールで脱出できる。

左腕とシャフトの角度を直角に保って打つ

バンカーショットはボールを直接打たず、手前の砂を爆発させ、砂ごとボールを目標に運ぶように打つショット。
確実に1回で脱出し、ベタピンにつけるためには、砂の抵抗に打ち勝つパワーが必要です。

そのためにはヘッドを高く上げ、上から勢いよく振り下ろしましょう。
テークバックを始めたら、すぐに左手の親指を真上に向けるようにして手首を折り曲げて(コックして)ください。
スイングの早い段階で、左腕とシャフトが直角になるようにすること。
両手が右腰を過ぎる辺りでこの形が完成したらOKです。
あとは、この直角を維持したまま振り抜けば、必ず1回で出ます。
ボールがふわっと上がり、スピンが効いてビシッと止まるようになるでしょう。

ヘッドをボール1個分後ろに入れる

木下流のバンカー脱出の基本の仕上げは、インパクトでヘッドを入れる場所。何回打っても同じ場所に入れられる、とっておきの練習法を教わった。

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ヘッドをボール1個分後ろに落とすと、砂の爆発の勢いでボールを前に飛ばせる。手前過ぎると砂を取る量が多過ぎてボールは飛ばないし、ボールの直前だとホームランになりやすい。

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ボールの1個分手前に長く線を引いて、連続素振りでその線上にヘッドを落とし、後ろに下がりながら線を消していく練習をしよう。

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ボールを飛ばす距離は、10ヤードで左腰、30ヤードで左肩、50ヤードで左耳と、あくまでこれは木下の目安だが、フォローの大きさで調節する。バックスイングの大きさは同じで良い。

ボールの後ろに引いた線を消す素振りを

バンカーショットでボールを出すだけでなく、ベタピンにつけるためには、とりわけインパクトでヘッドを落とす場所が大切。
手前過ぎると、取る砂の量が多過ぎてボールが前に飛ばないし、ボール直前ではホームランになりやすいので、ボール1個分手前が正解!
何回打ってもこの場所にヘッドを落とせるように、この位置に線を長く引いて、この線を目がけてクラブヘッドを落とし、線から先の砂を爆発させて前に運ぶ練習をしましょう。

リズミカルに連続素振りで後ろに下がりながら線を消していくように振って、線から先の砂を取れるようになれば、バンカーからでもナイスパーを取れます。

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真っすぐなスイング軸をイメージして左足体重のまま、コックもインパクトまで解かず、支点をブラさずによどみなく最後まで振り抜く。

岡田絃希のアゴの高いバンカー攻略

©Yoshitaka Watanabe

1997年9月22日生まれ、178cm、85kg。千葉県出身。中学3年時の2012年に「中国ジュニア」で優勝。16年からプロ活動をスタート。20年にプロテスト合格。21年はレギュラーツアー2試合、ABEMAツアー5試合に出場して全て予選通過。22年はサンドセーブ率9位タイ。賞金ランク85位。今年は初優勝の期待がかかる。日本植生所属。

傾斜に逆らって、軸をまっすぐに

難度が高く、大叩きしやすい「アゴが近い、左足上がり」からの簡単脱出を、サンドセーブ率9位の岡田が教えてくれた。

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砂を多く取り過ぎてしまいがちなライなので、フェースを開かない。普通のショットと同じようにフェースをセットしてもボールは上がる。

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左足上がりの傾斜どおりに構えるとダフりやすく、ボールを前に飛ばせない。斜面に逆らって、垂直なスイング軸をイメージしよう。

傾斜どおりに立つと、ボールを前に飛ばせない

ナイスショットしたのに、わずかにグリーンに届かずバンカーに。
そうなると、たいていアゴに近い左足上がりのライに着弾します。
このライは、足場が平らではなく、砂を多く取りやすく、脱出するのがちょっと厄介です。

こんな時は、斜面に逆らうように、垂直なスイング軸をイメージして構えましょう。
両肩のラインが水平というよりは、左肩を少し下げて構える感じです。
斜面なりに構えると、右足が左足より低い位置にあるため、右肩が下がり、ダフりやすく、上手く打てたとしても砂を多く取り過ぎてボールを遠くまで運べません。

フェースを開くと同じ現象になるので、この場合は普通のショットと同じようにセットします。

ヘッドが高く上がったトップを作ろう

高難度のライでも、狙った所に脱出できる構えができたら、しめたもの。あとはインパクトで一点にヘッドを入れれば、ワンピン以内につけられる。

©Yoshitaka Watanabe

ノーコックで、ヘッドが両手と同じ高さまでしか上がらないと(右)、ヘッドを鋭角に落とせないので、砂が爆発せずボールを前に飛ばせない。
左手首のコック(折り曲げ)を使って、ヘッドを高い位置に上げる。

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左ヒザは伸びても深く曲げ過ぎてもダメ。構えた時の角度をキープして打ち抜こう。
小さなトップから、ボールの直前の砂、その一点を目がけて鋭角にヘッドを落とす。ボールの下の砂ごと運ぶイメージだ。

構えた時の左ヒザの高さを変えずに打つ

左足が上がったライでも、砂を多く取り過ぎない構えができたら、あとは、インパクトである一点にヘッドを入れるだけ。
これで一発で脱出できるどころか、ワンピン以内につけることも可能です。

まず、バックスイングを大きく取らず、グリップが右肩と同じ高さまで上がったら切り返す感じです。
小さなトップが正確なインパクトを生みます。

テークバックでは、ヘッドは高く上げ、ダウンスイングで鋭角にヘッドを落とします。
ボールの直前の砂にヘッドを入れましょう。
ボールの下の砂ごと半円に切り取るイメージが出ればOK。
ボールを狙った場所に運べるだけでなく、ベタピンにつけられるチャンスも生まれます。

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打ち急ぐと左ヒザが伸びやすく、インパクトでヘッドが一点に落 とせない。上半身の力を抜いて、リズミカルに最後まで振り抜こう。

宮里優作の ”ベタピン” アプローチの基本!

©Yoshitaka Watanabe

1980年6月19日生まれ、170cm、70kg。沖縄県出身。ジュニア時代から数々のタイトルを獲得するも、プロ入り後の初優勝は33歳、2013年の「日本シリーズ」。以後は着実に優勝を重ね、16年、17年と選手会長を務めた。17年の賞金ランク2位で迎えた「日本シリーズ」では2位に6打差をつけて優勝し、賞金王の座に。ツアー通算7勝。所属フリー。

両足を揃えて構え、ハンドファーストに

絶対にベタピンにつけて是が非でもパーを死守したい“花道”からの絶品の寄せ技を、元・賞金王の宮里に聞いた。

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普通のショットのように足を広げると、体がスエーしやすく、スイング軌道もバラつくので、ダフリやすくなる。

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ボールを右足の前に置いてハンドファーストで構えれば、右腕とシャフトで作る「逆くの字」ができる。
「逆くの字」をキープしたままクラブを振り上げ振り抜く。これがダフらずに距離感を出せる打ち方だ。

ボールは右足の前、両手は左太モモの内側

ナイスショットしたのに、わずかにグリーンに届かず〝花道〟に。
平らで絶好のライです。
ここからは打ち損じることなく、ピッタリ距離感を合わせベタピンにつけ、何としてでもパーを死守したい!

こんな時に絶対してはいけないミスはダフリ。
これを防ぐには、両足を揃え、ボールを右足の前に置き、両手は左足の太モモの内側にセットしてハンドファースト(両手がボールより目標寄り)に構えます。
そして、構えた時に右腕とシャフトで作る「逆くの字」を崩さずに打つのがコツです。
これで上からヘッドを鋭角に打ち込めるのでダフリません。
ボールを低く打ち出せるので、距離感を自由自在に出せ、スピンも効いてグリーンでもピピッと止まります。

グリップエンドが、常にヘソを指す感じ

「右腰から左腰までのスイング」にベタピンに寄せる基本の全てが内包されているという宮里家の奥義を教わった。

©Yoshitaka Watanabe

左ワキが開くと左腕が上半身から離れ、フェースは開き、振り遅れてしまう。下半身の動きも止まるので、距離感が出ず、ダフリの原因にもなる。

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下半身と上半身が連動して一体化して動くと、スイング中グリップエンドは常にヘソを向く。全てのショットに通じる基本だ。

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右ワキが開くと右腕が上半身から離れ、フェースは閉じ、スイングが速くなってしまう。強過ぎるボールが出やすく、ヒッカケの原因にもなる。

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インパクトを意識せずに、右腰から左腰までリズミカルに左右対称に振ると、距離感も合うし、ボールにスピンもかかる。

上半身と一緒に両腕が動くように

宮里家には、「宮里道場30ヤードスイングを究める」という教えがあります。
これは30ヤードのスイングにゴルフの全てのショットの基本があるということです。

「ゴルフでは腰から下のスイングは全て共通」です。
グリーン手前の〝花道〟からのアプローチは「30ヤードスイング」のまさに実践の場。
スイング幅は右腰から左腰まで。
トップでシャフトは地面や飛球線と平行になり、フェースは正面を向き、トゥは真上を向きます。
インパクトを意識せずにボディターンし、フィニッシュではシャフトは地面や飛球線と平行に。
バックフェースが正面を向くのが正解です。
グリップエンドが常にヘソを向き、上半身と両腕が一体となって動くスイングが、全てのショットの基本です。

©Yoshitaka Watanabe

宮里家の「宮里道場30ヤードスイング」のお手本。アプローチだけでなく、全てのショットの基本がこのスイングにある。

Text/Eiko Oizumi
Photo/Yoshitaka Watanabe
Tournament/2022 ISPS HANDA Championship in Japan

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