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【私の愛したゴルフコース】第19回ケネマーゴルフ&カントリークラブ(オランダ)

世界のゴルフフォトグラファーの第一人者として今も第一線で活躍するデビッド・キャノン。

彼のファインダーを通して切り取られた世界のゴルフコースの数々は、まるで宝石箱のジュエリーのように一つ一つが個性豊かに輝いている。

私の愛したゴルフコース第19回はケネマーゴルフ&カントリークラブを紹介する。

Kennemer Golf & Country Club

©David Cannon(Getty Images)

1910年にオープンし、1928年に現在の場所に移転されたケネマーゴルフ&CC。写真はコルトコース(コースC)の150ヤード・パー3の17番ホールと378ヤード・パー4の18番ホール。

ケネマーゴルフ&カントリークラブ
●設計:ハリー・コルト、フランク・ペニンク 
●コース:ファン・ヘンゲル(コースA・全長3236ヤード・パー36)、ペニンク(コースB・全長3006ヤード・パー36)、コルト(コースC・全長3052ヤード・パー36)の3コースがある。欧州ツアー「オランダオープン」を開催。アムステルダム・スキポール空港から車で約30分。

「オランダオープン」開催の本格チャンピオンシップコース

1910年にオープンしたオランダ最古のリンクスコース、ケネマーゴルフ&カントリークラブは、アムステルダムとスキポール空港から車で1時間弱。
F1グランプリが数多く開催されてきたザントフォールト・モーター・レーシング・サーキットで有名な、海辺の町ザントフォールトの近くに位置している。

1927年に有名なイギリス人設計家ハリー・コルトによってデザインされた、この素晴らしいリンクスでは、欧州ツアーの「オランダオープン」を複数回開催。
ケネマーの27ホールは、ヨーロッパおよび世界のコースランキングで常に上位にランクされ、ハリー・コルトによって造られたオリジナルの18ホールは、ほぼ第二次世界大戦前に造られたままの状態で残っている。

今も残る第二次世界大戦の爪痕

オランダは、第二次世界大戦の戦禍で壊滅的な打撃を受けた。
ケネマーもその影響を受け、ドイツ軍の進撃にさらされた。
海岸線の非常に近くに位置するこのコースは、重要な戦略地点であり、ドイツ軍は、120のコンクリートバンカーといくつかの対戦車壁をゴルフコースの至る所に建設した。
1950年代初頭、コルトのオリジナルのレイアウトを保ちながら、大切に修復されたが、「コンクリートバンカー」は、メンテナンス施設の一部として、シェルターとして、今もわずかに残っている。

1985年に、フランク・ペニンクが、第3の9ホールの設計を依頼され、コルトのオリジナルの設計図の一部を使用した。

ケネマーのコースは、3つの9ホールのループの組み合わせが素晴らしいのだが、3つの「9ホール」の名前が紛らわしいかもしれない。
オランダゴルフ界における重要人物、ステフェン・ファン・ヘンゲルにちなんで名付けられた、「ザ・ファン・ヘンゲル(コースA)」と「ザ・ペニンク(コースB)」、「ザ・コルト(コースC)」だ。「オランダオープン」では、コースAの9ホールとコースBの1番、2番、3番、そしてコースCの4~9番ホールを使用する。

イギリスの奇才ハリー・コルトが設計のオランダ最古のシーサイドコース

©David Cannon(Getty Images)

1st Par4/452yard

クラブハウス前のティーイングエリアから、真っすぐに伸びるペニンクコース(コースB)の1番ホール、452ヤード・パー4。「オランダオープン」では10番ホールとして使用していた。

©David Cannon(Getty Images)

時折左サイドを電車が走る「ファン・ヘンゲルAコース」の6番ホール(366ヤード・パー4)。「オランダオープン」でも6番ホールとして使用されている。

©David Cannon(Getty Images)

「オランダオープン」を過去23回、開催しているケネマー。直近ではベルギーのトーマス・ピータースが2015年にこのコースで優勝している。

A Dutch Masterpiece

オランダの最高傑作

©David Cannon(Getty Images)

グリーンまで真っすぐに伸びるコルトCコースの14番(386ヤード・パー4・手前のグリーン)と、極端な砲台グリーンになっている15番(150ヤード・パー3・奥に続くホール)。

1日36ホールも可能なケネマーの回り方

クラブハウスは茅葺屋根の建物で、コルトコースの最終グリーンの上に堂々と建っている。
クラブからの歓迎はいつもフレンドリーで、プロショップはとても便利だ。ケネマーでのゴルフで最もよく使われるルートは、コースA(9ホール)とコースC(9ホール)の組み合わせだ。
「オランダオープン」のレイアウトではないが、私ならまず、この18ホールをプレーする。その後、クラブハウスでおいしい昼食をとり、コースB(9ホール)と、午前中にプレーした2つの9ホールの中からどちらか好きな方を選ぶ。
ケネマーでの36ホールは、高低差が少ないので、プレー可能だ。
今回は、ファン・ヘンゲル(コースA)、ペニンク(コースB)、コルト(コースC)から、私が〝DCナイン〟と名付けた選り抜き9ホールを紹介しよう。

まずは、コースBの3ホールをチョイス。1番は452ヤードの難易度の高い打ち下ろしのパー4だ。
特に、グリーン奥からクラブハウスを振り返る景色がお気に入りである。
2番は、非常に難しい打ち上げのホールで、短く、バンカーが効いている。
158ヤードのパー3で、素晴らしいが難易度の高いホールだ。
続く3番は、オランダの海岸線にそびえ立つ砂丘に向かってやや打ち下ろしの522ヤードのパー5。
バーディあるいはイーグルのチャンスも十分にある!

その後、コースAの6番、7番、8番へと続く。
これらは、「オランダオープン」と同じルーティング。まず、短くてトリッキーな366ヤードの6番ホールは、右ドッグレッグのパー4だが、私が言えることは、危険を覚悟でチャンスを掴め、ということだけだ。
そして、この3ホールの中で本当に秀逸なのは、224ヤードの8番・パー3。
ティーグラウンドからの眺めはとても素晴らしく、気がつけば、次々にショットを打ちたくなってしまう。

コースCの14番ホールは、386ヤードのパー4で、魅力的で複雑なグリーンを持つホールだ。
その次は、17番ホール(パー3)。
難易度の高い169ヤードのショートホールの素晴らしい景色を望むことができる場所だ。
その奥には402ヤード・パー4の18番ホールがあり、クラブハウスの下にある砲台グリーンに向かって上っている。

ここは、世界中のどこよりも素晴らしいコースに仕上がっていると思う。
そして、3コース・27ホールでのプレーは究極のボーナス。 オランダの最高傑作である!

Text & Photo/ David Cannon (Getty Images)

David Cannon デビッド・キャノン(イギリス)

海外メジャー100大会以上を取材し、現在も第一線で活躍中のゴルフフォトグラファー界の巨匠。自身もシングルハンデの腕前で、息子はプロゴルファー。アメリカ、ヨーロッパ、中東、オーストラリア、アジアと世界各国を股にかけて撮影している。2022年、PGAオブ・アメリカ生涯功労賞を受賞。Getty Images所属。

Text & Photo/ David Cannon (Getty Images)

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