松山英樹も出席
LIVゴルファーも出席したチャンピオンズディナーの雰囲気は?
今年のチャンピオンズディナーのホストは、昨年の優勝者のスコッティ・シェフラー(中央)。ダスティン・ジョンソン(後列左から2番目)以外は、LIVゴルファーが右側にいるのが見てとれる。
松山の隣に座っていたというゲーリー・プレーヤー。ディナーは終始、いい雰囲気だったと証言。
大会前から、PGAツアーの選手とLIVゴルファーの入り混じる「チャンピオンズディナー」(火曜日の夜に行なわれる)が話題になっていた。
ディナーの間、両リーグの選手たちの間で諍いが起きるのか?
あるいは会話もない、シラけたムードが漂うのか……?
だが出席したレジェンド、ゲーリー・プレーヤーに翌日話を聞いてみると、終始、雰囲気は良好で、約2時間半のディナーは素晴らしかったそうだ。
「昨晩は、松山の隣に私が座っており、アダムは目の前の席に座っていた。フィルも私の隣にいたよ。タイガーとフィルが話していたかどうかはわからないがね。LIVゴルファーもそうでない人もミックスして座っていた。スコッティ・シェフラーをリスペクトしたいい雰囲気のディナーだったよ。テキサス・リブアイステーキやトルティーヤスープ、チーズバーガースライダーズなどがメニューだった。私は西洋料理よりも日本食の方が健康にいいし、好きだけどね」
「LIVでプレーしたい者はすればいい。だが皆が忘れてはいけないのは、PGAツアーがチャンスをくれたから、今があるということだ。かつて皆、PGAツアーやメジャーで勝ちたいという夢があったはず。それを忘れてはいけない。PGAツアーに対して戦いを挑んではいけないし、PGAツアーもLIVゴルファーと戦ってはいけないんだ」
一堂に会せば、皆かつてのライバルであり、仲間。内心、複雑な心境だった人もいるかもしれないが、表向きはとても平和で楽しいディナーだったようだ。
「全米アマ」チャンピオン馬場咲希も「マスターズ」を見学
松山英樹の練習ラウンドを食い入るように見ていた馬場。
「オーガスタ女子アマ」に出場し、5位タイに入った馬場咲希は、翌週の「マスターズ」まで残り、観戦した。
「攻め方を見たかった。やっぱり、難しいんだな、と思いました」
自分がラウンドしたオーガスタを、世界の男子トッププロたちがどのように攻略するのかに興味津々だった。
来年以降もLIVゴルファーは「マスターズ」に出場可能
大会前日に公式記者会見で、来年の招待規定を発表したオーガスタナショナルGCのフレッド・リドリー委員長。
オーガスタナショナルGCの委員長が会見を開き、2024年の「マスターズ」招待規定を発表。創始者で、生涯アマチュアゴルファーを貫いた球聖ボビー・ジョーンズの精神を尊重し、より多くのアマチュアゴルファーを招待することを決定。
NCAA(全米大学体育協会)の男子優勝者を「マスターズ」に、女子優勝者を「オーガスタ女子アマ」に招待することになった。
なお、今年もすでにNCAAで優勝したゴードン・サージェントは特別招待されていたが、来年からは自動的に招待を受け、出場できるようになる。
注目のLIVゴルファーについては、「毎年、出場資格を見直しているが、物事は変わっていくものなので、その点においては柔軟性を持たせないといけない。将来、変更点が出てくるだろうが、今朝発表した以上のものはない」と語った。
つまり、LIVゴルファーだからといって、排除されることはないということだ。
また、世界ランキングポイントの算出方法が昨年8月に変わったことで、PGAツアー偏重傾向にあり、その他のツアーの選手たちが「マスターズ」に出場しにくくなっている。
「世界ランキングは、試合への出場資格を測る上で素晴らしい方法だ。何か変更するとは言わないが、検討する。他のツアーのフィールドの強さも認識しなければいけない。より高いレベルの競技をするには何か重要な変化が必要になることがある。我々は常に前進しているんだ」
1930年、ボビー・ジョーンズも予言していた“ある問題”とは?
始球式でショットを打つゲーリー・プレーヤー。3人の中でも最年長の87歳で、元気いっぱいだが、先日、趣味の乗馬の最中に落馬して、手を数針縫う手術を受けたという。
今年もゲーリー・プレーヤー、ジャック・ニクラス、トム・ワトソンによる始球式が行なわれたが、毎年この儀式の後に記者会見があり、ボールの話題(道具の進化の話)が出るのが常である。
特に今年は直前にR&AとUSGAが共同で「プロなどの競技者が使用するボールに制限をかけて、飛距離を抑える」というローカルルールの草案を打ち出し、話題となったばかり。
3人のレジェンドは、これらのゴルフ団体が積極的にこの問題に取り組んでいることに賛成の意向だ。
ジャック・ニクラスは次のように語っていた。
「彼(ジョーンズ)が最後に書いた本の中で、将来最も大きな問題となるのは、ボールがどのくらい遠くに飛ぶか、だと書いていた。1930年の頃にだよ」
こんなところにもオーガスタ
トミー・フリートウッドが持っているボールを見せてもらうと、なんとかわいらしいツツジの花が描かれていた。オーガスタといえば、ツツジ。
今年は少し開花が早かった印象があるが、彼のボールに咲くツツジは満開だった。
2人のレジェンドが勇退
スコットランドのサンディ・ライル(左)とオーガスタ出身のラリー・マイズという2人の「マスターズ」チャンピオンが、今年限りで引退した。
地元のマイズは、「サンディは私の良い友人であり、素晴らしいチャンピオンだが、彼と終わることができて最高だ。今日はリーダーボードを眺めている時に、今から50年前のことを思い出していたよ。子供の頃、2年間、リーダーボードに数字を入れる係を務めてたんだ」と語った。
出場資格のないジョン・デーリーの1週間
飛ばし屋のジョン・デーリーは現在、シニアツアーでプレーしているが、彼には現役の時から「マスターズ」ウィークでの不変のルーティーンがある。
コース付近のフーターズ(レストラン)で、自らのグッズ販売を行なうのだ。
もともとフーターズと契約していたデーリーは、今も「マスターズ」の開催週になると、オーガスタを訪れ、自ら手売りし、サインや写真撮影などのファンサービスに応じている。
この収益の一部はチャリティに充てられるという。
ついにコース延長!13番ホールの詳細が明らかに!
隣接するオーガスタCCの敷地を、一部購入し、35ヤード延長された13番ホールのバックティー。
パトロンたちからは、13番ティーがこのように見える。以前は、左の12番グリーンから少し右上に上がったところ(白いツツジが咲いているあたり)にティーがあった。
以前から隣のオーガスタCCの敷地を購入して、13番ホール・パー5のティーグラウンドを後ろに延長するという計画が噂されていたが、ついにその噂が真実となった。
35ヤード、後ろに下げることで、マキロイが「今まではアイアンでティーショットを打っていたけど、今年はドライバーを使うこともあるかも」というように、選択する番手に影響が出そうではあったが、難易度的にはさほど変わりなく、数値をみると、昨年は平均スコアが4.852だったのに対して、今年は平均スコア4.736とやさしくなっていた。
道具の進化による飛距離アップが昨今、問題となっており、R&AとUSGAからボールに関するローカルルールの提案が出されたばかり。
今後、このルールが採用されることになった場合は、今回のような大掛かりな延長工事は、なくなるかもしれない。
強風のオーガスタで17番ホールの松の木が倒れる
2本は根こそぎ倒れ、1本は途中から折れたが、翌朝には何事もなかったかのように、きれいに整地されていた。
第2ラウンドプレー中に、松の大木(約30メートル以上)が3本、倒れる事件が発生した。
ちょうど今年で引退するラリー・マイズとミンウー・リー、ハリソン・クロウ(アマ)が16番グリーンプレー中、突如、17番ティー左前の松の大木が3本倒れ、周囲のプレーヤーやパトロンを驚かせた。
ラリー・マイズはバーディパットのラインを読もうと腰をかがめたところだったが、倒木の音と周辺の騒ぎに後ろを振り返り、プレーを中断してその事態を見守った。
2014年2月、歴史的な規模の氷雨の影響で、17番ホールのティーから210ヤード先のフェアウェイ左サイドにあった「アイゼンハワーの木」(高さ約20メートル・樹齢約100年)が倒れ、撤去されたことがあったが、今回もまた、同じ17番ティーのすぐ左前の30メートル超(推定)の松の大木が3本、強風の影響で倒れた。
幸い、ケガ人はおらず、ティーグラウンド上には選手もいなかった。
15番ホールをプレーしていた比嘉一貴は「僕がストレッチしている時にメキメキと筋繊維が切れるような音がしました(苦笑)」と語った。
Text/Eiko Oizumi
Photo/Augusta National Golf Club, Eiko Oizumi