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【特別レッスン】ツアー屈指のショットメー カー今平周吾&出水田大二郎が教えるアイアンの「基本」

©Yoshitaka Watanabe

スコアアップするカギは、使用頻度の高いアイアンショットの精度。
どうすればフェースの芯で正確に球を打てるのか?
その基本を元・賞金王の今平周吾と今後のさらなる飛躍が期待される出水田大二郎が徹底的にレクチャー。

今平周吾の“番手通りの飛距離を出す”

©Yoshitaka Watanabe

今平周吾
1992年10月2日生まれ。165㎝、67kg。2008年の「日本ジュニア」で優勝。翌09年に高校を中退して渡米。帰国後19歳でプロ転向。14年はチャレンジで2勝して賞金王。翌15年からレギュラーツアーで活躍。18年、19年と2年連続で賞金王。ツアー通算8勝。ダイヤゴルフ所属。

ダウンスイングで 腰を水平に回すと
ロフト通りに球は飛ぶ

アイアン上達の第一歩は、番手ごとに距離をきちっと打ち分けること。
〝9番で打っても、8番で打っても飛距離が変わらない!〟を解決するポイントを教える。

©Yoshitaka Watanabe

グリップは指1本分余して握る。クラブをコントロールしやすく、芯に当たる確率が増す。

©Yoshitaka Watanabe

球の位置は、番手に関係なくスタンスの真ん中。球をすくうことなく、“上から下に”クラブを振り下ろせる。

©Yoshitaka Watanabe

ダウンスイングで左腰を水平に回すようにすると、クラブを“上から下に”振り下ろせるので、番手通りの飛距離が出る。

飛ばそうとして、トップから切り返す時に右腕に力が入ると……ダウンスイングで右肩が下がり、ヘッドが球の手前の地面に落ちて、ダフリ・トップになる。

球の位置は真ん中で、クラブを短く握る

アイアンで球を番手通りに飛ばすためには、フェースの芯で正確に球を打つことが何より大事です。
そのためには、まずクラブを指1本分くらい短く握り、球をスタンスの真ん中にセット。
これで球をすくうことなく上から鋭角に打てます。
アイアン上達の基本は、〝下から上〟ではなく、〝上から下に〟クラブを下ろすこと。
これをまず覚えてください。

これで打つ前の準備は完了。
フェースの芯で正確に打つためには、トップからダウンスイングで腰を水平に回しましょう。
右肩が下がると、ダフリ・トップが出やすくなるので注意。芯に当たらず、番手通りに飛びません。

トップからの切り返しでは、体のどこにも力を入れない

“番手通りの飛距離を出す”ためには、トップからの切り返しが大事だと今平は言う。ダウンスイングの正しい体の使い方を覚えると、ダフリ、トップを防げる。

トップからの切り返しで正解は?

右のA,B,Cのうち、正しい切り返しの動きはどれでしょう

©Yoshitaka Watanabe

トップからは絶対に打ち急がない。
ここから下半身をどう使うかで、ショットの精度が決まる。
まさにスイングの良否の分岐点だ。

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A:トップからは左腰を後ろに回す。

©Yoshitaka Watanabe

B:トップからは右腰を前に出す。

©Yoshitaka Watanabe

C:トップからは左腰を横にズラす。

Aが正解!
トップから切り返す時は体重移動を考えない

©Yoshitaka Watanabe

トップからは、左腰を左に水平に回す意識を持つと、パワーが溜まった状態でクラブが遅れて下りてくるので、番手通りの飛距離を出せる。

前ページでダウンスイングでは腰を水平に回すことをお話ししましたが、ここでは体のどこをどのように意識して動かすのか? をより具体的に説明しましょう。

Aのようにトップからは打ち急がずに、左腰を左に回すこと。
腰が水平に回り、クラブがインサイドから下りてきます。
左足の上で体が回転するイメージです。左足に体重を乗せようとすると、Cのように左腰が目標方向にスエーし、フェースが開いて戻ってくるので、スライスが出て飛距離をロスしてしまいます。
Bのようにトップから右腰を回そうとすると、右肩も前に出てカット打ちになり、飛ばなくなるので注意しましょう。

体の正面でクラブを振る。
クラブは常に体の幅の中に

ダウンスイングでの体の使い方を覚えたら、次のステップはクラブの握り方だ。これがわかれば、番手通りの飛距離を出すことができる。

体の正面でクラブを振る3 STEP!

©Yoshitaka Watanabe

1.手首を返す
体を正面に向けたまま、腕は動かさずに手首だけを左右に回す。体の正面でフェースが開いて閉じる動きを覚えよう。

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2.腕を振る
体を正面に向けたまま、腕を大きく左右に振って、体の正面で球を打つ感覚を覚えよう。

©Yoshitaka Watanabe

3.体を回す
体を左右に回しながら、その中でクラブを体から外さない。両腕と体が一体化して動く感覚を覚えよう。

体の正面でクラブを振る動きを段階的に覚えよう

〝番手通りの飛距離を出す〟ためには体の正面でクラブを振らなければなりません。
スイング中は、常にクラブが体の幅に収まるように、体の幅からはみ出ないようにしましょう。
手先だけでクラブを振ると、腕が両ワキから離れ、クラブは体からはみ出てしまいます。

体の正面で打つのは簡単なようで実は難しいので、まずは体を正面に向けたまま手首を返す(1)、次に体は正面に向けたまま腕を振る(2)、さらに体を左右に回しながら両腕とクラブを一緒に動かす(3)というように、難易度を上げてクラブを振る練習をしましょう。

フォローでグリップエンドがヘソを向くように振り抜く

“番手通りの飛距離を出す”ための総仕上げは、インパクト前後からフォローにかけてのクラブの振り抜き方。最後まで気を抜かずに思い切って振り抜こう。

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ダウンスイングで両手が右腰辺りに下りてきたら、グリップエンドをヘソに向ける。
クラブヘッドは“上から下に”加速しながら下りてくる。

インパクト後の正しいフォローはどれ?

下のA,B,Cのうち、正しいフォローの動きはどれでしょう

©Yoshitaka Watanabe

A:左ワキが空き、グリップエンドは上を向く。

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B:右ワキが空き、グリップエンドは右を向く。

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C:両ワキが締まり、グリップエンドはヘソを指す。

Cが正解!
インパクト前後では両ワキの締めを意識しよう

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フォローで両ワキが締まれば、最後まで体とクラブが一体となって動くので、ヘッドは大きな円弧を描き、さらに加速する。

〝番手通りの飛距離が出ない〟人は必ずと言っていいほど、インパクトからフォローにかけて、クラブを目標方向に出そうとしたり、右手で強打しようとします。
前者の場合は左ワキが、後者の場合は右ワキが空き、インパクトでヘッドが大きく開いたり、極端に閉じたりします。

ダウンスイングで腰を水平に回しても、インパクトからフォローにかけての腕の振り方を間違えるとフェースの芯で球を打てません。

ダウンスイングで両手が右腰辺りまで下りてきたら、グリップエンドをヘソに向けましょう。これで両ワキが締まり、クラブのロフト通りにインパクトできます。

今平周吾のアイアンスイング

©Yoshitaka Watanabe
©Yoshitaka Watanabe

スイング中は常に腰を水平に回す意識を持つと、インサイド・インの軌道でヘッドが動き、ヘッドスピードもアップして飛ばせる。

出水田大二郎の“絶好のライでダフらない”

出水田大二郎

出水田大二郎
1993年2月5日生まれ。183㎝、90kg。 「九州ジュニア(15〜17歳の部)」で3連覇。高校卒業直後にプロ宣言。2012年に「きみさらずGL・GMAチャレンジ」で初優勝。18年に「RIZAP KBCオーガスタ」でツアー初優勝。今季は7月2日時点でパーオン率21位と好調。ツアー通算1勝。TOSS所属。

左ワキを締めて左腕を伸ばし大きく振り上げる

出水田は、どんなライからでも芯で球をとらえるためのテークバックの基本をレクチャー!

©Yoshitaka Watanabe

球の位置は、番手に関係なくスタンス中央より球1個分左。これは極端に上から打ち込まないようにするため。

©Yoshitaka Watanabe

スタンス幅は、肩幅より少し広めにすること。どんなライでもバランスよく打ちやすい。

©Yoshitaka Watanabe

左腕を伸ばし、左ワキを締めて上半身と一体化。左胸を右に回すようにクラブを振り上げると、ヘッドが大きな円弧を描き、飛ばせるトップになる。

©Yoshitaka Watanabe

左ワキを締めても、左腕が曲がると上半身と左腕の動きが一体化しない。手先だけでクラブを上げ、体が回らない、飛ばないトップになる。

手先でクラブを振り上げるとトップが小さくなる

球も足場も平らな絶好のライなのにダフってしまうのは、手先だけでクラブを振り上げるから。
左肩も十分に回らないので、体が正面を向いたままになり、ダウンスイングでは早くクラブが下りてしまいます。
ヒョイとクラブを担ぎ上げ、サッとすくうような動きになってしまい、球を打つリズムがバラバラになるからダフるのです。

テークバックでは左ワキを締め、左腕と左胸を一緒に動かすようにして左肩を右に回しましょう。
ヘッドが大きな円弧を描く大きなトップを作れるので、ダウンスイングでも左腕と上半身が一体となって動きます。
スイングリズムが速くならず、いつも一定のタイミングで球を打てるので、ダフリにくくなるでしょう。

ダフらないスイング軌道はU字。極端なV字はNG

アイアンは“上から下に”クラブを振り下ろすのがスイングの基本だが、
それを極端にやり過ぎると、ダフる原因になると出水田は言う。

©Yoshitaka Watanabe

体と腕を一体化させ、U字を描くように大きなスイングアークを心がけると、リズムが速くならず、テンポも一定になるのでダフらない。

©Yoshitaka Watanabe

手先だけで上げると左肩が回らない小さなトップになり、そこからクラブを振り下ろすと上から急激に下りてくる。極端なV字スイングはダメ。

©Yoshitaka Watanabe

背中が狙い所を向くような大きなトップを作ると、スイングリズムが速くならず、テンポも一定になる。

クラブを大きく振り上げ、大きく振り抜くのが基本

〝絶好のライでダフらない〟ためのポイントは、「スイングアーク」です。
前ページでお話ししたように、まずはテークバックで左ワキを締めて左腕を伸ばし、左胸と一体化させ大きく振り上げることが大切。
これならテンポが速くなりません。
トップからも打ち急ぐことなく、体と腕を一体化させ、大きく振り抜けます。
緩かな「U字スイング」を心がけましょう。
手先だけでクラブを上げると体が回らないので、ヘッドが急角度で早く下りてしまいます。
この極端なV字スイングが、ダフリの元凶なのです。

上達ヒント

方向性が良くなる練習法

ニコラス・コルサーツ
Nicolas Colsaerts
1982年11月14日生まれ。188㎝、78kg。18歳でプロ転向。欧州ツアーを中心に世界的に活躍。2011年「ボルボ中国オープン」、12年「ボルボ・ワールドマッチプレー」で優勝。欧州随一の飛ばし屋。ベルギー出身。

トップから右ワキを締めてクラブを振り下ろす

どうすればアイアンのダフリのミスがなくなるか?
欧州ツアーで活躍する2人に聞いた!

©Yoshitaka Watanabe

トップからの切り返しで、右ワキを締めて振り下ろす練習が効果的。

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右ワキを締めないで振り下ろすと、クラブの重さと加速に負けて腕が体から離れてしまう。

右ワキを締めると、クラブをコントロールできる

ダフらないようにするためには、フェースの芯で球をとらえなくてはなりません。
そのためには「トップを作ったら切り返す」動きを何度も繰り返し練習しましょう。
この時に右ワキを締める意識を強く持つこと。
これができれば、正しい軌道でインパクトまで加速しながらヘッドが下りてきます。

右ワキが空くと、クラブの重さと加速に負けて腕が体から離れ、トップから一気に加速するので、コントロールが効かなくなります。
右ワキの締めが重要です。

上達ヒント

ラフからでも飛ばせる技

©Yoshitaka Watanabe

パブロ・ララサバル
Pablo Larrazabal
1983年5月15日生まれ。178㎝、75kg。 08年「オープン・ド・フランス」で欧州ツアー初優勝し、新人賞を受賞。11年、15年の「BMWインターナショナルオープン」2勝を含めツアー9勝。今年は「韓国選手権」(DPワールドツアー)などで優勝。スペイン出身。

ハンドファーストに構えて上からストンとヘッドを落とす

深いラフからでもダフらないようにするためにはどう打つのか?
今季「韓国選手権」で優勝し、絶好調のララサバルが教えてくれた。

©Yoshitaka Watanabe

アドレス
左足体重で、両手の位置は球より少し左に。ハンドファーストに構える。

インパクト
アドレス時の左足体重を変えない。頭の位置は、球の右にキープしよう!

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アドレスで作ったハンドファーストの形を維持しながら、トップからは球を目がけて鋭角にヘッドを落とす。

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トップから右足体重で“下から上に”すくう打ち方になると、ラフの強い抵抗に負けて脱出できない。

一貫して左足体重をキープ
球を決してすくわない

ラフからは球を上げて脱出したいという気持ちが強く働くため、球をすくうような打ち方になりがち。
これでは絶対にうまく脱出することはできません。

左足体重にして、球の位置より両手を少し目標方向に出すように(ハンドファースト)に構えます。
この形をキープしながらトップを作り、上からヘッドをストンと落としましょう。

この時、球を目がけて鋭角に打ち込むイメージを持つことが大切。
少しでも球の手前にヘッドが落ちると、深いラフの抵抗に負け飛距離をロスしてしまいます。

Text/ Eiko Oizumi
Photo/ Yoshitaka Watanabe
Tournament/ ISPS HANDA 欧州・日本どっちが勝つかトーナメント!

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