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【PGAツアーレポート】25歳のビクトル・ホブランがフェデラックスカップ総合優勝

2022~2023年フェデックスカップチャンピオン

今季3勝を挙げPGAツアー通算6勝目!
25歳のビクト ル・ホブランがフェデックスカップ総合優勝

©Getty Images

総合優勝

Viktor Hovland
ビクトル・ホブラン(ノルウェー)
1997年9月18日生まれ。ノルウェー・オスロ出身。11歳でゴルフを始め、オクラホマ州立大ゴルフ部在籍時代にノルウェー人で初めて「全米アマ」優勝。「マスターズ」「全米オープン」でローアマを獲得。2019年プロ転向。今季は「メモリアルトーナメント」「BMW選手権」「ツアー選手権」で3勝。昨年末はツアー非公式戦「ヒーロー・ワールドチャレンジ」で2連覇を果たした。

「負けたけど、最も楽しかった。ビクトルは信じられないほど素晴らしいプレーをしていた」ザンダー・シャウフェレ

©Getty Images

最終日は途中、3打差まで詰め寄ったザンダー・シャウフェレ(左)。結果的には5打差の2位に終わった。

©Getty Images

最終日、2位のザンダー・シャウフェレに6打差の20アンダーからスタートしたホブラン。シャウフェレとの一騎討ちの様相を呈した。

©Getty Images

世界ランク4位のホブランは、9月29日からの「ライダーカップ」に欧州チームメンバーとして出場する。

©Getty Images

「ショートゲームの改善」と「自信」がホブランの成功のカギ

タイガーのように感情を出さずにプレーしたい

今年PGAツアーで2勝を挙げていたノルウェーのビクトル・ホブラン(25歳=当時)が、フェデックスカップ・プレーオフ最終戦「ツアー選手権」も制し、今季通算3勝目。フェデックスカップの年間王者に輝いた。

「ツアー選手権」前週の「BMW選手権」で優勝し、最終戦を前にフェデックスカップランク2位で開催地のイーストレイクGCに乗り込んだホブラン。
ランキングの順位によって与えられる、独特のハンディキャップシステム(スターティングストローク。
1位の選手は10アンダーから)のもと、8アンダーからスタートした彼は、初日から1位をキープ。
最終日は、2位のザンダー・シャウフェレに6打差の首位でスタートしたが、途中、3打差まで詰め寄られる場面があったものの、7バーディ、ノーボギーの63で回り、通算27アンダーで終了。
2位のシャウフェレは22アンダーに終わった。

「トロフィーに刻まれている優勝者の名前に、自分の名前を連ねることができて本当に素晴らしい。こんなに大差で優勝したのは、過去記憶にないほどだ。また、これほどいいプレーが続いていることも過去にはなかった。ショートゲームが改善し、いろんなことがうまくかみ合った」

「今日は、できるだけ平静を装い、タイガーのようにプレーすることを目標にしていた。かつて彼がメジャーで69や70で回って、優勝を勝ち取るようなプレーを目指していたんだ」

一皮むけたホブランの3つの変化

昨年の「全英オープン」4位タイを皮切りに、今年に入っても「マスターズ」7位タイ、「全米プロ」2位タイなど、メジャーでリーダーボードの上位に名前を連ねることも多かったホブランは、「メモリアルトーナメント」「BMW選手権」とビッグイベントでも優勝しており、「今までのように自分を卑下することはなくなった。自信がついた」とコメント。
昨年までと何が変わったのかを問われると、ショートゲームの改善、コースマネージメント、プレー中の姿勢の3つを挙げた。

「ショートゲームがとても上達し、やっとすべてのショットを自分のものにしたと思えるようになった。今まではショートゲームで失敗して、何度も優勝争いから脱落し、非常にストレスを感じることが多かったからね。それとコースマネージメントもうまくできるようになってきたのは大きい。ボギーやミスショットに対しても、うまく対処できるようになってきた。こうした3つの要素がかみ合ってうまくいくようになってきたんだ。もしミスショットを打っても、世界の終わりではない、と考えられるようになったし、逆境にも対応できるようになった」

そして、以前は良いプレーをするには、どんなショットも諦めてはいけないと思ったが、今では、ミスショットはやり過ごし、頭を切り替えることができるようになったという。
そのおかげで、ボギーを叩いても、3連続バーディを奪取する、というようなプレーが可能になってきたそうだ。

また、メジャーで優勝争いをしてきた経験も、彼の成長を後押しした。メジャーのように毎回グリーンオンするのが難しいと、アプローチショットの必要が出てくるが、そのことにより、ショートゲームを磨かなければいけない、と自覚。
そして、ブルックス・ケプカやローリー・マキロイのような選手を相手に優勝争いをする場合は、毎ショットピンを狙っていたそうだが、「毎回そんなことをする必要はない。賢くプレーして、グリーンセンターを狙い、それでパットが決まれば、自然と優勝争いのできる位置にいることができる」とわかったという。

エドワルド・モリナリらチームのおかげ

ホブランにはコーチ陣の他に、スタッツ(部門別ランキング)などの数字を分析する担当者もいる。
エドワルド・モリナリだ。
そう、彼は欧州ツアーのプレーヤーであり、フランチェスコ・モリナリの兄である。
彼は9月の「ライダーカップ」で分析担当として、副キャプテンに任命されているが、彼の数字を分析する能力は、欧州ツアー出身のプレーヤーたちの間で高く認められているようだ。

「今から1年半ほど前から、彼とは一緒に取り組んでいる。彼は、僕のプレーを見て、〝一見、すごく良い感じに見えるけど、あちこちでダブルボギーも打っており、これが原因で優勝争いから脱落している。何かが足りない。何かが正しくないんだ〟と語っていた。そして、僕が他のツアープレーヤーよりも足りない部分を指摘してくれた。そのおかげでこうして改善できているんだ。彼は天才だ。それに彼にはプロゴルファーとしての経験もあるし、知的だ。『ライダーカップ』にも出たことがあるし、ビッグイベントでも勝っている。素晴らしい人だよ」

ホブランは、アマチュア時代から次々にノルウェー男子ゴルフの歴史を塗り替えてきたが、ツアーの中でも大きな試合で優勝し、こうして世界最高峰のPGAツアーで年間王者にも輝いた。
チームのスタッフにも恵まれ、日々研鑽を積んでいる彼だが、来年こそメジャー優勝、と本人だけでなく、全世界のゴルフファンが期待している。

フェデックスカップ最終ランキング

1位ビクトル・ホブラン-27
2位ザンダー・シャウフェレ-22
3位ウィンダム・クラーク-16
4位ローリー・マキロイ-14
5位パトリック・キャントレー-13
6位コリン・モリカワ
トミー・フリートウッド
スコッティ・シェフラー
-11
9位サム・バーンズ
アダム・シェンク
キーガン・ブラッドリー
マシュー・フィッツパトリック
マックス・ホーマ
-10
18位ジョン・ラーム-7
50位松山英樹(BMW選手権まで出場)

Photo/Yoshitaka Watanabe, Eiko Oizumi,Getty Images

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