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世界のゴルフ旅スコットランド 編 ゴルフの原点を巡る旅

Scotland

ゴルフの聖地・セントアンドリュースを有するスコットランド。
セントアンドリュース以外にも世界有数のコースが多く、ゴルファーたちを魅了している。
海外旅行が通常に戻りつつある今、改めてゴルフの原点を巡る旅を楽しんでみるのもオススメだ。

©Eiko Oizumi

青地に白のセントアンドリュースクロスでおなじみのスコットランドの国旗は、現在使用されている最古の国旗。イギリスを構成する1カントリーだ。

©Eiko Oizumi

エジンバラの街中にあるエジンバラ城は、古代からの要塞で、エジンバラのシンボル。多くの観光客が訪れる。

©Eiko Oizumi

スコットランドの街角では、バグパイプ演奏者をよく見かける。

スコットランドゴルフMAP

聖地・セントアンドリュースを歩く

セントアンドリュース・リンクス キャッスルコース
St.Andrews Links The Castle Course

©St.Andrews Links The Castle Course

晴天であれば、紺碧のセントアンドリュース湾とグリーンの緑、青空のコントラストが美しいキャッスルコース。

MAP A
●コース/6749ヤード・パー71
●住所/A91,St.Andrews,GB KY16 8PL
●HP/https://standrews.com/golf/courses/the-castle-course
●備考/エジンバラ国際空港から車で約1時間10分。ゴルフをしなくてもセントアンドリュース湾の絶景を楽しめるレストランやパブもあり。ゴルフアカデミーでレッスンも受けられる。デビッド・マクレイ・キッド設計。

セントアンドリュース湾と北海を望むドラマチックな絶景コース

©Eiko Oizumi

セントアンドリュースといえば、「全英オープン」開催でおなじみのオールドコース。パブリックコースなので、抽選、あるいは当日キャンセル待ちでプレーすることができる。

©St.Andrews Links The Castle Course

キャッスルコースのクラブハウス内のプロショップ。ロゴ入りのウェアやキャップ、ボールマーカーなどのアクセサリーも販売されており、お土産に最適。

海越えホールもある難コース

セントアンドリュースといえば、ゴルフの聖地と言われるオールドコースが非常に有名だが、セントアンドリュースリンクスにはオールドコースも含め、全部で7コースが広がっている。
中でもキャッスルコースは、セントアンドリュース湾、北海沿いの崖の上に造られた絶景コースとして知られ、2008年にオープン。
海からの風も強く、自然の起伏を生かした難コースといえる。
17番ホールは海越えのショートホール。
続く18番ホール・パー5も崖沿いにレイアウトされたスコットランドでも最もワクワクするフィニッシングホールとなっている。

オールドコースとは全く異なるタイプのゴルフを楽しむにはうってつけのコースだ。

キングスバーンズ・ゴルフリンクス
Kingsbarns Golf Links

©Getty Images

DPワールドツアー(欧州ツアー)の「アルフレッド・ダンヒルリンクス選手権」開催コース。北海をすべてのホールから見渡せる。

MAP B
●コース/7226ヤード・パー72
●住所/Kingsbarns St.Andrews, Fife KY16 8QD Scotland
●HP/https://www.kingsbarns.com
●備考/セントアンドリュースの南東約10キロの場所(車で約20分)に位置し、エジンバラ空港から約1時間20分。
コースから300メートルのところに「カンポハウス」という18ベッドルームを有する宿泊施設がある。

欧州ツアー、全英女子オープンを開催
カイル・フィリップス設計のモダンリンクス

©Getty Images

北海沿いの約2.5キロに広がるモダンリンクス。

©Kingsbarns Golf Links

ポットバンカーが点在し、アンジュレーションのあるフェアウェイやグリーンが難易度を高めている。

かつては農場だった場所に造られた
スコットランドゴルファーの楽園

1793年からゴルフが楽しまれ、ゴルフ同好会ができていたというキングスバーンズ。
なだらかな丘の中腹に位置し、どのホールからでも北海が見渡せるという美しいコースだ。
一度は農地に戻されたが、2000年にはモダンリンクスとして生まれ変わり、現在は地元の人だけでなく、世界中のゴルファーが訪れ、プレーを楽しんでいる。

自然を残しつつ、人の手も入れて造られたこのコースは、広々としたフェアウェイやポットバンカー、海に突き出たグリーン、数か所ある海越えホールなどが特徴的。
非常に戦略的なコースで、9ホールは「全英オープン」チャンピオンのウィル・オクタロニーが設計。
毎年「アルフレッド・ダンヒルリンクス選手権」を共同開催しているが、2017年には「全英女子オープン」も開催されている。

キャッスル・スチュアート・ゴルフリンクス
Castle Stuart Golf Links

©Castle Stuart Golf Links

スコットランド北部、ハイランド地方の都市インバネス郊外に2009年にオープンした、海沿いの美しいコース。

MAP C
●コース/7007ヤード・パー72
●住所/Dalcross, Inverness, IV2 7JL
●HP/https://cabothighlands.com
●備考/2009年にオープン。ギル・ハンス&マーク・パーシネン設計。かつては「バークレイズ・スコティッシュオープン」が開催されていた。

フィル・ミケルソンも優勝経験あり
ギル・ハンスの傑作の一つ

©Castle Stuart Golf Links

1620年前後に建てられたとみられる、キャッスル・スチュアート城。現在は改修され、ホテルとして使用されている。

©Castle Stuart Golf Links

白を基調とした落ち着いた雰囲気のインテリア。家族やゴルフ仲間らと複数人で宿泊できる。

©Castle Stuart Golf Links

ゴルフロッジ(写真)やキャッスルコテージなどもあり、快適に宿泊できる。

ネッシーで知られるインバネスの新規名門コース

スコットランドの北部、ハイランド地方にあるインバネス。
ネッシーで知られるこの地の郊外にキャッスル・スチュアートGLがある。
インバネス空港から車で5分の、海に面したコースで、かつては「スコティッシュオープン」を何度も開催していた。

ギル・ハンスとマーク・パーシネンによる設計で、2009年にオープンした比較的新しいコースだが、瞬く間に名声を手にし、世界有数のコースの一つであると称賛されている。

フェアウェイは広いが、グリーンは砲台であることが多く、グリーンを外すと大叩きの元。
景色もアールデコ調のクラブハウスも美しいが、海沿いのため風も強く、じっくりとコース攻略を考えないと、いいスコアは望めない。

ダンドナルド・リンクス
Dundonald Links

©Dundonald Links

砲台グリーンの周りには、ポットバンカーが待ち受ける11番ホール。深いラフやゴースが広がる難コース。

MAP D
●コース/7272ヤード・パー72
●住所/Ayr Road, Gailes, Ayrshire KA11 5BF Scotland UK
●HP/https://dundonaldlinks.com
●備考/グラスゴー国際空港から、車で約40分。クライド湾に面したリンクスコースで、設計はカイル・フィリップス。2021年にゴルフリゾートがオープン。

古江彩佳が2022年に優勝した「スコットランド女子オープン」開催コース

©Getty Images

2022年「スコットランド女子オープン」で米ツアー初優勝を飾った古江彩佳。

©Dundonald Links

パッティンググリーンの周りに立ち並ぶラグジュアリーなゴルフロッジ。朝から晩までゴルフが身近にある日々を過ごすことができる。

©Dundonald Links

シンプルでモダン、清潔な室内。宿泊とラウンドのパッケージなども販売している。

©Dundonald Links

クラブハウス内にある「キャニークロウ」。レストランからはコースやパッティンググリーン、アラン島を望むことができる。

©Dundonald Links

地元の食材を活かしたステーキ、ハンバーガー、パスタなどのメインディッシュや軽食(サンドウィッチなど)、デザートも楽しめる。

電車が走っているのが見えるモダンリンクス

海からの強い風と深いラフ、バンカーなどがハザードとなり、難易度を上げているスコットランド南西部のモダンリンクスがダンドナルド・リンクスだ。
モダンリンクスの巨匠、カイル・フィリップスが設計し、これまで「全英女子オープン」や「スコットランドオープン」「スコットランド女子オープン」が開催され、昨年は古江彩佳が優勝した。
コースの脇を電車が走り、海も見える。
「ダンドナルド」とはドナルド要塞の意味で、紀元前にあった要塞から名付けられているという。
クラブハウスでは食事もでき、ゴルフロッジも完備しているので、宿泊してじっくり、ゆっくりゴルフを楽しみたい。

ダンバーニー・リンクス
Dumbarnie Links

©Dumbarnie Links

フォース湾の美しい景色を16ホールで見渡すことができるダンバーニー・リンクス。2020年にオープンしたばかりだが、すでにキングスバーンズと並ぶ存在になっている。

MAP E
●コース/7620ヤード・パー72
●住所/A917,Leven KY8 6JQ Scotland UK
●HP/https://dumbarnielinks.com
●備考/ゴルフの聖地セントアンドリュースから、車で約20分の場所に位置するクラシックなリンクスコース。30打席ある練習場も完備し、ショートゲーム練習場もある。練習場のボールは無料で使用可。

2020年にオープンしたばかり
聖地セントアンドリュースから20分の本格リンクスコース

©Dumbarnie Links

元「ライダーカップ」プレーヤーのクライブ・クラークが設計。うねるフェアウェイ、美しい海の向こうには、ミュアフィールドやエジンバラの街が見える。

©Dumbarnie Links

クラブハウス内のレストラン「オールドバーン」では、プレー前後にダンバーニーの地ビールやセントアンドリュースのビール会社のラガービールを楽しむことができる。クラブハウスは海抜30メ―トルの場所にあり、コースと湾の壮大な景色を堪能できる。

©Dumbarnie Links

スコットランドに来たら、ビールと一緒にフィッシュ&チップスも味わいたい。

ゴルフの聖地から20分の本格チャンピオンシップコース

セントアンドリュースから車で約20分の海沿いの場所にダンバーニー・リンクスはある。
ここは海岸線が2・5キロにわたって広がり、フォース湾の美しい海を堪能できるコース。
1・4㎢もの広大な敷地に2020年、リンクスコースがオープンし、16ホールから海を眺めることができる。
ドライバーを使えるパー4が3つあり、全体のヤード数は5300ヤードから、将来的にプロのトーナメントを開催する場合に備えて、7600ヤードまで拡張することができるようになっている。

世界で本物のリンクスは246コースあるが、その中でも5つ星リンクスコース・40コースの中に入るほどの本格的リンクスであるダンバーニー。
元「ライダーカップ」選手のクライブ・クラークによって設計されたこのコースは、リスクと報酬をテーマとした、チャレンジングで楽しいプレーを約束している。

プレストウィックゴルフクラブ
Prestwick Golf Club

©Getty Images

プレストウィックGCの歴史は、170年以上前まで遡るが、クラブハウスもまた、ユニークで歴史的だ。
初期の「全英オープン」を物語る貴重な品々や、クラブの歴史、トム・モリス家との深い関係などをクラブハウスで見ることができる。

MAP F
●コース/6908ヤード・パー71
●住所/2-4 Links Rd. Prestwick Ayrshire KA9 1QH Scotland,UK
●HP/https://www.prestwickgc.co.uk
●備考/グラスゴー国際空港から、車で約45分。メンバーコースだが、ビジターもプレー可。ダイニングルームを使用する場合は、ゴルフウェアを着替え、ゴルフシューズを脱がなければならない。右利き・左利きとも貸しクラブあり。

鉄道の駅のすぐ横にクラブハウスがある第1回「全英オープン」開催コース

©Eiko Oizumi
©Eiko Oizumi

クラブハウス内に掲示されているプレストウィックでの「全英オープン」の歴史。写真は1925年にこの地で最後に行なわれた大会の紹介記事。

©Eiko Oizumi

1851~1882年まで使われていた、オリジナルのコースレイアウト。第1回「全英オープン」は1860年にこのレイアウトで開催された。当時は全12ホールだった。

オールド・トム・モリス設計の「全英オープン」誕生の地

1851年に開場し、1860年に第1回目の「全英オープン」を開催した、ゴルフ史上最も重要なコースの一つがプレストウィックGCだ。
ここは12回連続で「全英オープン」が開催され、これまで通算24回にわたり戦いが繰り広げられた場所である。
1995年にセントアンドリュースに抜かれるまでは、この地が最多記録を保持していた。

スコットランド鉄道の駅「プレストウィック・タウン」のすぐ横にクラブハウスがあり、線路と並行して1番ホールが広がっている。
周囲には駅や鉄道だけでなく、住宅地が広がっているため、何十万人という観客が訪れる「全英オープン」を開催することは不可能となっているが、今もコース戦略の楽しさや奥深さを教えてくれている。

コースを設計したのは、「全英オープン」で4勝を挙げているオールド・トム・モリス。
彼はこの地に12ホールのコースを造り上げたが、17番パー4は「ブラインドホール」(グリーンにたどり着いて初めてショットの結果がわかるというデザイン)となっており、これが現代のコース設計にも取り入れられている。

ダンバーゴルフクラブ
Dunbar Golf Club

©Dunbar Golf Club

美しい海と波の音を堪能しつつ、海からの風を警戒しながらプレーするのが、ダンバーGCの楽しみ方だ。

MAP G
●コース/6597ヤード・パー71
●住所/East Links Dunbar East Lothian EH42 1LL Scotland,UK
●HP/https://dunbargolfclub.com
●備考/エジンバラ国際空港から、車で約50分。マッセルバラ、ガラン、ミュアフィールド、ノース・バーウィックなどの「スコットランド・ゴルフコースト」
一帯を通り過ぎ、東に進むと到着する。メンバーコースだが、ビジターもプレー可。緊急の場合以外、携帯電話での会話は厳禁。

欧州ツアーのフラッグシップイベント「PGAチャンピオンシップ」を初開催した風光明媚なリンクスコース

©Dunbar Golf Club

クラブハウス方向に打っていく難易度の高いパー3(173ヤード)。グリーン周りはバンカーで囲まれ、グリーンは奥に向かって下っているので、ピン位置がどこであれ、グリーンセンターを狙うのが賢明。

©Dunbar Golf Club

パーで回れれば御の字の12番ホール・パー4(457ヤード)。右サイドはずっと海がハザードになっており、スライス厳禁。左から右に傾斜があり、海からの風も強いので、風と傾斜の計算が必要。灯台が見える風光明媚なホール。

©Dunbar Golf Club

1856年、6人の紳士が「ダンバーGC」を結成したことが記録に残っている。ダンバーは当時、主要な軍事基地の街であり、6人は皆大尉や中尉など、軍人だった。

すべてのゴルファーを温かく迎えてくれる伝統的リンクスコース

フォース湾の入口に位置する伝統的リンクスコース・ダンバーGCは、どんなゴルファーでも温かく友好的に迎えてくれるクラブハウスのスタッフや、息を呑むような美しい景色、チャレンジングなコースレイアウトと、「求めるものはほぼすべて」を持ち合わせているリンクスだと言われている。

オールド・トム・モリスが最初の15ホールを設計したことでも知られ、海がハザードとなっているホールがいくつかあり、美しい大自然の中でプレーしていることを実感させてくれる。

伝説のゴルファーが造り上げた、素朴で本格的なリンクスはそのままに、今後はイアン・ウーズナム設計のパー3コースや、新しいクラブハウス&ゴルフアカデミーの建設の話もある。
進化するダンバーGCも、是非訪れたい。

現存する世界最古のゴルフコースの一つ
マッセルバラ・オールドコースを訪問!

©Dan Imai

競馬場と隣り合わせ!
「全英オープン」を6回開催

現在も競馬が行なわれている「マッセルバラ競馬場」。そのトラックのすぐ横はゴルフ場になっている。

©Dan Imai

左手前が競馬場で、柵の右がゴルフ場。双方同じ種類の芝が生えており、粘りのある青々とした芝だった。

女性初のトーナメント開催コース

エジンバラの市街地から、東に向かい、車で約30分の場所に、現存する世界最古のゴルフコースの一つ「マッセルバラ・リンクス」がある。
スコットランドに来たら、一度は訪れたい「ゴルフの原点」だ。

メアリー女王が1567年にプレーしたマッセルバラ

マッセルバラ・リンクス・オールドコースは、エジンバラ市街から車で約30分の場所に位置する、現存する世界最古のゴルフコースの一つと言われている。
かつてギネス世界記録で「最古」と認定されていたが、最近ではセントアンドリュースが最古だと言われているそうだ。
記録によれば、メアリー女王が1567年にこの地でプレーしたと言われており、「全英オープン」が1874~1889年の間に6回開催されている。
いずれにせよ、ゴルフの創成期のコースであることは間違いない。
また、女性にもオープンなコースで、世界初の女子の試合が、マッセルバラで行なわれたと言われている。

今もレースが行なわれている競馬場と隣り合わせで、手引きカートを引きながらゴルファーたちがプレーを楽しんでいるが、創成期のゴルフを楽しみたいなら、ヒッコリークラブを事前に予約してプレーすることをオススメする。

マッセルバラ・リンクス・オールドコース
Musselburgh Links The Old Golf Course

©Dan Imai

コースの入り口に立っている看板。スコットランドのイースト・ロジアンに位置している。元々このコースは7ホールしかなく、その後、2ホールが追加された。

MAP H
●コース/2874ヤード・パー34
●住所/Stables Pavilion Balcarres Rd. Musselburgh EH21 7SR Scotland,UK
●HP/http://www.musselburgholdlinks.co.uk
●備考/エジンバラ国際空港から、車で約30分。エジンバラ市街からバスで行くことも可能。パブリックコースで、ヒッコリークラブをレンタルしてプレーすることもできる。

©Dan Imai

ヒッコリークラブをレンタルしてプレーしているゴルファー。レンタル料金は42ポンド(約7700円)。

©Dan Imai

「現存する最古のゴルフコース」であることが書かれた看板。1874~1889年の間に「全英オープン」が6回開催されていることも記されている。

©Dan Imai

人間の背丈以上の高さがあるポットバンカー。

©Dan Imai

世界最古のクラブ工房跡。現在は使用されていない。

ラウンドしながらここで一杯!

©Dan Imai

4番ホールのグリーン奥に位置する、「ミセス・フォーマンズ」では、このように窓越しにゴルファーに酒を提供していた。球聖ボビー・ジョーンズも1930年にここを訪れ、一杯やったと言われている。

©Dan Imai

かつて約200年にわたってゴルファーに食事と酒を提供してきた世界的に有名な「ミセス・フォーマンズ」。現在は閉店し、古いパブの一部は解体されてしまった。

クラブハウスも必見!
世界の基準となる、あの原型も……

©Dan Imai

マッセルバラ・リンクスのクラブハウス。「ビジターも歓迎」と書かれている。

©Dan Imai

マッセルバラのクラブハウスの排水管がカップの大きさを決める基準となった(注:排水管は当時のものではない)。

©Dan Imai

マッセルバラ出身の「全英オープン」チャンピオンたち。左からボブ・ファーガソン、マンゴー・パーク、ウィリー・パーク・シニア、ウィリー・パーク・ジュニア、デビッド・ブラウン。

©Dan Imai

クラブハウス内では、メンバーもビジターも気軽に食事やお酒を楽しめる。

カップの大きさは、直径4.25インチ(約108ミリ)と決まっているが、実はマッセルバラのクラブハウスの排水管の直径が、この基準になったとクラブの担当者は説明してくれた。

1700~1800年頃のゴルフ場では、標準サイズがなく、適当に穴を掘ってカップにしていたため、コースによってサイズはまちまちだった。
そこでカップのサイズを統一しようと、マッセルバラの排水管を使ってカップを切るようになり、後にR&Aがこのサイズで定めたと言われている。
写真の排水管は当時のものではなく、新しいものに交換されているが、こんなところにもゴルフの原点を見ることができる。

写真でたどるセントアンドリュースの歴史散歩

©Eiko Oizumi

セントアンドリュースの18番ホールにある、世界的に有名な「スウィルカンブリッジ」。アーノルド・パーマーやジャック・ニクラス、トム・ワトソンら、ゴルフ界のレジェンドたちが「全英オープン」を引退する際、記念撮影が行なわれた場所として有名だ。

©Eiko Oizumi

次の聖地での「全英オープン」開催年は未定!

2022年の「全英オープン」は、聖地セントアンドリュースで開催された。
コロナ禍ですっかり活気を失っていたセントアンドリュースの街も観客が殺到し、活気を取り戻していた。
来年は「全英女子オープン」が開催されるが、現地観戦に行くなら是非ここを訪れてみて欲しい。

セントアンドリュース・オールドコースは公園
犬の散歩で訪れる市民も多い

セントアンドリュースといえば、ゴルフの聖地であり、ゴルフのルールを決める総本山R&Aがある場所としても有名だが、オールドコースだけでなく、ゴルフの歴史を垣間見られるスポットがたくさんある。

18番グリーンの目の前には、世界最古のゴルフクラブである「セントアンドリュース・ゴルフクラブ(ゴルフ場ではなく、メンバー制のクラブの建物)」があり、徒歩1分圏内に「全英オープン」チャンピオンのウィリー・オクタロニーが1895年にオープンさせた老舗のゴルフショップ「オクタロニス」もある。

また、少し街を歩くと伝説のゴルファー、オールド・トム・モリスと息子のトム・モリス・ジュニアの墓があり、ゴルフ上達を祈願する人も多く訪れている。

街の中にはパブや土産物店も多く立ち並び、バグパイプの音色も聞こえてくるが、ゴルファーなら一度は訪れたい場所だ。

SHOP

オールドコースから徒歩1分
「全英オープン」チャンピオンの店
Auchterlonies(オクタロニス)

©Dan Imai

オクタロニスの店先で。ウィリー・オクタロニーの肖像画が飾られている。

©Dan Imai

オクタロニスが以前は所有していたクラブの工房。ウィリー(父)と息子のローリーはクラブメーカーでもあった。

©Dan Imai

現在も店ではヒッコリークラブを製作し、販売している。

セントアンドリュースゴルフカンパニー

©Dan Imai
©Dan Imai

オクタロニスの隣にある1881年に創業のゴルフショップ。スコットランドに残る、世界最古のクラブメーカーで、今でもヒッコリークラブを手作りで製作し、販売している。ボビー・ジョーンズやフランシス・ウィメット、ハリー・バードンらレジェンドゴルファーもこの会社のトム・スチュワートが製作したクラブを使用していた。アンティークでおしゃれなゴルフアイテムが販売されている。

Museum

R&Aの建物の裏手にある「世界ゴルフ博物館」

©Eiko Oizumi

ゴルフの歴史と偉人たちの活躍を、貴重な資料や展示物で学ぶことができる。奥に立っているのはオールド・トム・モリスの銅像。

©Eiko Oizumi

「全英女子オープン」で優勝した渋野日向子の優勝時のウェアやシューズなども飾られている。

©Eiko Oizumi

以前は「全英ゴルフ博物館」だったが、現在は「世界ゴルフ博物館」に名称変更している。

©Eiko Oizumi

1860~1870年の間、「全英オープン」チャンピオンに贈られていたチャンピオンベルト。1872年から現在の「クラレットジャグ(優勝トロフィー)」が贈られるようになった。

GOLF CLUB

1843年設立の世界最古のゴルフクラブ
St. Andrews Golf Club

©Eiko Oizumi

1815年にセントアンドリュースで生まれた、プロゴルファー第1号の一人と言われているアラン・ロバートソン。ボールやクラブ作りの職人で、賭けゴルフでは一度も負けたことがないという。彼もこのクラブのメンバーであり、今もクラブを収納する箱が残されている。

©Eiko Oizumi

クラブの建物の窓からオールドコースを眺めるとこんな感じ。「全英オープン」の優勝者が決まる瞬間を見ることができる、特等席だ。

©Eiko Oizumi

ボビー・ジョーンズやジャック・ニクラスらは、クラブの名誉会員になっている。

©Eiko Oizumi

オールドコースの18番グリーンの前にあるセントアンドリュース・ゴルフクラブ。

OTHER

世界殿堂入り選手の自宅やお墓も見学できる!

©Eiko Oizumi
©Eiko Oizumi

「全英オープン」チャンピオンの父、オールド・トム・モリスと息子のトム・モリス・ジュニアの墓は必見。

©Eiko Oizumi

「全米プロ」「全英オープン」「全米プロシニア」チャンピオンのジョック・ハッチンソンは1884年にセントアンドリュースで生まれ、この家で育った。のちに米国市民に帰化。

©Eiko Oizumi

街にはゴルフ関連の書籍を扱う書店も多く、ゴルフの歴史や偉大なプロゴルファーたちを取り上げた本が数多く販売されている。

Text & Photo/Eiko Oizumi
Photo/Dan Imai、Getty Images、Kingsbarns Golf Links、Castle Stuart Golf Links、Dundonald Links、Dumbarnie Links、Dunbar Golf Club

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