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【LIVゴルフニュース】2024年LIVゴルフはどうなる?

2024年も全14試合で開催決定!
2025年以降の開催コースの交渉やチーム追加について検討中

PGAツアーとDPワールドツアー、そしてLIVゴルフを支援するサウジアラビア政府系ファンド(PIF)との統合発表から半年が経とうとしているが、依然明確な方針や先行きが見えてこない状態だ。
だが、少しずつ変化も見え始めている。
LIVゴルフに詳しいボブ・ハリグ記者が近況や来年の見通しをレポート!

10月に行なわれた、プロアマ戦形式のDPワールドツアー「アルフレッド・ダンヒルリンクス選手権」に出場したアル・ルマイヤン氏(左)。R&Aの最高責任者マーティン・スランバーズ氏(右)と同組でプレーした。
ルマイヤン氏は、LIVゴルフ・4エイシズメンバーのピーター・ユーライン(左)とタッグを組み、「アルフレッド・ダンヒルリンクス選手権」に出場した。
ヒーローコーポレーションCEOのパワン・ムンジャル氏(左)は、欧米両ツアーの大会のスポンサーを務めているが、7月には「LIVゴルフ・ロンドン」のプロアマ戦に参加したという。
ヨハン・ルパート氏(左)がアル・ルマイヤン氏およびLIVゴルファーを今大会に招待したという。右は今年の大会で優勝したマシュー・フィッツパトリック。

LIVゴルフとの垣根がなくなった今……

まだ氷は残っているが、溶け始めている。いつ完全に崩れ落ちて消えるかはわからないが、軟化の兆候はある……激しい対立が続いた約2年後、LIVゴルフ、PGAツアー、DPワールドツアーは連携の瀬戸際にいる。
全ての詳細について合意するにはかなりの作業が必要だが、いくつかの障壁は解消されているようだ。

一例を挙げると、ヒーローコーポレーションCEOであるパワン・ムンジャル氏は7月に「LIVゴルフ・ロンドン」のプロアマに出場した。
億万長者の彼は熱心なゴルファーだが、メジャー15勝のタイガー・ウッズがホストを務める「ヒーロー・ワールドチャレンジ」の記者会見で彼の隣に座ることもあるため、ある程度認識されていることだろう。
フィル・ミケルソンと彼は同じ組で回ったが、ミケルソンらはヒーローのスポンサーシップ、または協力を得て、将来、インドでLIVゴルフを開催することについてムンジャル氏と話し合ったという。
これもPGAツアー、DPワールドツアー、およびLIVゴルフの資金提供を行なっているサウジアラビアの公共投資基金(PIF)が「枠組み合意」に達したと発表された、2023年6月6日以前には実現しなかったことだ。
この合意が発表されたことで、全ゴルフ関係者が協力し合えるようになったからだ。
ムンジャル氏は、この合意は「ゴルフのために良いものだ」と述べた。
そして、インド人プロゴルファーのアニルバン・ラヒリもムンジャル氏の意見に同意した。
ラヒリは、「ムンジャル氏がLIVゴルフに参入することは、将来的に実現可能なことであり、私はインドでLIVゴルフが開催されるのを見たい」と語った。
彼はLIVゴルフ入りした後、ヒーローからのスポンサー契約が解消されているが、ムンジャル氏は「ラヒリはゴルフを愛する人物であり、長年にわたりゴルフに貢献してきた。そして、LIVに対して開かれる可能性を見るのは素晴らしいことだと思う。LIVゴルフに好意的であろうとなかろうと、特に米国外では多くの利益が得られることは確かだ。北米以外の地域では、これほど質の高い出場選手層のイベントを見たことがない。インドでもそうだ。だからこそ、ゴルフを愛する大手企業の人物が参入することは、我々にとってプラスだ」と語る。

また一方、PIFのトップであるヤシール・アル・ルマイヤン氏は、LIVゴルフリーグのメンバーのピーター・ユーラインをパートナーとしてDPワールドツアー「ダンヒルリンクス選手権」に出場した。
「スコッツマン」紙によれば、彼は大会初日にR&Aの最高責任者であるマーティン・スランバーズ氏と同組でプレーしたが、アル・ルマイヤン氏はニューカッスル・ユナイテッド・フットボールクラブの会長でもあり、本大会のホストを務める南アフリカの億万長者、ヨハン・ルパート氏から招待されて出場したのだという。

「スポーツは人々を結ぶためのものであり、分断するためのものではない」と、ダンヒルの親会社であるリシュモンの会長であり、大会委員長でもあるルパート氏は、「スコッツマン」紙に語った。

「私たちは平和を築く必要がある」

欧米ツアーだけでなく、R&Aなど世界のゴルフ機関とも接触を持ち始めているサウジアラビア

PIF(サウジ政府系ファンド)最高責任者のヤシール・アル・ルマイヤン氏(左)とPGAツアーコミッショナーのジェイ・モナハン氏。2人がテレビに一緒に出演していたシーンは、世界のゴルフ界に衝撃を与えた。

LIVゴルフは2024年も存続

アル・ルマイヤン氏はLIVゴルフの主要な推進力であり、PGAツアーのコミッショナー、ジェイ・モナハン氏と2人の著名な取締役と秘密裏に「枠組み合意」について交渉。
提案された連携について衝撃的な発表につながった。
交渉の期限は12月31日で、最初の枠組みから明らかになった詳細はほとんどない状態だが、PGAツアー、DPワールドツアー、およびPIFの間に「PGAツアーエンタープライズ」という新しい会社が設立され、アル・ルマイヤン氏が会長を務め、モナハン氏がCEOを務めることが決まっている。
そして2024年にはPGAツアーとLIVゴルフの両方がそのまま存続する予定だ。

「以前からアル・ルマイヤン氏に招待状を送るべきだという提案があったが、彼が出場することが確認されたのは先週だった」とルパート氏は語った。

「もし誰かが、私と彼がどんなことを話し合うのかを尋ねたら、私は世界中のアマチュアゴルフへのサポートだと答えるだろう。今、ゴルフ界で起きていることは、ゴルフを成長させるものではない。トップ100の選手たちを非常に裕福にしているだけだ。例えば、我々は『アフリカアマチュア選手権』を立ち上げたばかりだが、その信頼性を高めるための支援が必要なのだ」

世界ランキングポイント獲得申請を却下されたLIVゴルフ

元R&Aの最高責任者であり、現在、オフィシャル世界ゴルフランキング会長の、ピーター・ドーソン氏(右)ともプレーしたルマイヤン氏。結局、LIVには世界ランキングポイントは付与しないことが10月初旬に決定した。

1年で激変したゴルフ界
合意が実現できない可能性も?!

スランバーズ氏は7月の「全英オープン」で、「PIFの世界的なスポーツへの影響力の増大を認識している。ますます増大する要求に対処する難しさを考える必要がある」と述べ、「サウジの富裕層からの投資のアイデアを検討しなければならない」と加えた。
そして彼は「全英オープン」の会場、ロイヤル・リバプールでアル・ルマイヤン氏と会談した。

「我々はさまざまな潜在的なスポンサーと話し合っており、今後も話し続けるだろう。この1年で世界は変わった。それは単にゴルフだけではなく、サッカーでもF1でも、クリケットでも見られる。テニスも遠くない将来に変わることだろう」

「スポーツの世界は過去12か月で劇的に変わり、R&Aやゴルフが世界規模での社会変化を無視することは現実的ではない。我々はあらゆる分野で、すべての選択肢を検討していくつもりだ」

これらは心強い兆候だったが、秋口の時点では、PGAツアー、DPワールドツアー、PIFの間の「枠組み合意」に関する決定的な情報は事実上出ていない。
交渉期限が延長される可能性もあるだろう。
発表された詳細によれば、PGAツアーの通常の非営利法人から独立した、「PGAツアーエンタープライズ」と呼ばれる別の営利企業の設立が求められているとのことだ。

LIVゴルフが今後どのように組み込まれるか、あるいは将来的に存続するかは、大きな疑問の一つであり、PIFが新しい事業にどれだけ投資するか、PGAツアーへのスポンサーシップ資金の形で投資するのかどうかも重要な問題である。

一方、「ブルームバーグニュース」は、著名な投資家たちが、この取引に対する政治的な反対を和らげるためにPGAツアーから協力を求められていると報じている。
おそらくPGAツアーは、こうした懸念を払拭する手段として他の株式投資を検討しているのかもしれない。
あるいは、PIFとの合意が実現しなかった場合に備えて、PGAツアーがそのような投資を探している可能性もある。

「2023年を通じて、PGAツアーは企業としての強さ、影響力、価値を実証してきた」とツアーは「ブルームバーグ」への声明で述べた。

「我々はPIFとDPワールドツアーとの合意を最終的にまとめることに引き続き焦点を当てているが、我々の交渉は他の投資家からの一方的な関心を招く結果となった」

PGAツアーの選手たちは、この枠組み合意を受けて最終的にはPIFとの合意を承認しなければならなくなったが、これは彼らにとって不意を突かれたものだった。
タイガー・ウッズも、この驚きの発表を受けて、PGAツアー製作委員会の一員に任命されたのだ。

PGAツアーは2024年のスケジュールを発表しており、LIVゴルフも14試合のリーグ戦が2024年2月に始まる予定となっている。
もし合意が成立すれば、それはおそらく2025年から、ということになるが、来年まで合意成立が延長される場合、2026年まで新体制が発足しない可能性もある。
LIVゴルフは、合意が成立しない場合や交渉が延長される場合でも現状通りに運営を続けることを約束している。
正式なスケジュールはまだ確定していないが、2025年までの開催地に関する交渉や、12チームの体制に追加することについての議論が行なわれている。
だが、どのようになるかは、まだ不透明な状態だ。

メジャーから最高の競技者がいなくなる?!

「プロゴルフは今や、真のランキングシステムを持っていない」と語るLIVゴルフCEOのグレッグ・ノーマン。

LIVゴルフへの世界ランキングポイントに関して、オフィシャル世界ゴルフランキング(以下OWGR)は、申請却下を正式に決定した。

「ポイント獲得の申請について理事会で再び協議した結果、満場一致でLIVツアーは世界ランキングポイント獲得に適したゴルフツアーとは認定できない」とLIVゴルフCEOのグレッグ・ノーマンとチーフオペレーションのゲーリー・デビッドソン氏宛に手紙を送付した。
48選手だけが出場し、54ホールをショットガンでプレー。
予選落ちもなく、出場選手に資格基準がないことを挙げ、「世界ランキングシステムの下でプレーしている他の24ツアーと適合しない」というのがOWGRのピーター・ドーソン会長の言い分だが、フォーマットの変更などが行なわれ、条件に合えばポイント付与の可能性はあるとしている。

これに対しグレッグ・ノーマンは、「OWGRの唯一の目的は、世界中の最高のプレーヤーをランク付けすること。今回はその目的が達成できなくなったことを明確に示している。また、一部の伝統的なトーナメントからも、最高の競技者がいなくなる可能性がある」と指摘している。

Text/Bob Harig
Photo/Getty Images

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