• 国境や人種を超えたスポーツの力とゴルフの愉しさをすべての人に。
  1. ホーム >
  2. トーナメントレポート >
  3. 【PGAツアーレポート】コリン・モリカワがZOZO CHAM...

【PGAツアーレポート】コリン・モリカワがZOZO CHAMPIONSHIP優勝!2021年全英オープン以来の2年ぶり通算6勝目

ZOZO CHAMPIONSHIP
2023年10月19日~22日/アコーディア・ゴルフ習志野CC(千葉県)

コリン・モリカワ、逆転優勝
「日本で勝つことに意義がある」

©Yoshitaka Watanabe

優勝
Collin Morikawa
コリン・モリカワ
(アメリカ)
1997年2月6日生まれ。175cm、73kg。カリフォルニア大学バークレー校出身。元世界アマチュアランキング1位。「全英オープン」「全米プロ」でメジャー2勝。通算6勝。

2022年11月に結婚したキャサリン夫人と、優勝直後に祝福のハグ&キス。

世界のショットメーカーがウィナーズサークルに帰ってきた!

練習日に2時間半、パッティングの練習に時間を費やしたというモリカワ。グリーンの読みとスピードがマッチし、最終日は7バーディを奪取。

今年で5回目を迎えた日本開催のPGAツアー「ZOZOチャンピオンシップ」は、3日目を終えて首位と2打差の4位でスタートしたコリン・モリカワが、7バーディ、ノーボギーの63をマーク。
ボー・ホスラー、エリック・コールらを抑えて、通算14アンダーで逆転優勝を果たした。
メジャー2勝を誇る彼は、今大会の勝利でPGAツアー6勝目。2021年「全英オープン」以来の勝利となる。

「信じられない。勝っても勝たなくても、たくさん学ぶことはあり、毎回違った経験があるものだが、今回の優勝は本当に大きな意味のある優勝。2年間勝てなくて苦労した時期もあったが、自分のやるべきことをやり、このようにシーズンを締めくくることができて、来年に向けて良い終わり方ができたと思う」

モリカワは、2019年にプロ転向後、すぐに「バラクーダ選手権」で初優勝。
22試合連続で予選通過も話題となった(タイガー・ウッズの25試合連続に次ぐ記録)。
その後は2020年に「全米プロ」「WGCワークデイ選手権」、2021年に「全英オープン」とビッグタイトルを立て続けに獲得。
2つのメジャーで優勝した最速の選手となり、異なるメジャーのデビュー戦で2勝した初の選手にもなった。
タイガー・ウッズの記録をも上回る歴史的快挙を達成していた彼だが、2022年以降は未勝利に終わっていただけに、今回の優勝の意味は大きく、特別なものになったようだ。

「(自分が優勝することに)何も疑いはなかった。パットもとても良くて、アイアンは僕のゴルフの強みなので、それが噛み合っていた」

スランプからの脱却という意味だけでなく、「今回の優勝はいろいろな理由で格別だ」と語ったモリカワ。
日本での優勝はバケットリストの一つに入っていたといい、達成できて嬉しいと語った。

「自分の親戚が、日本にいるのかも」
自分の日本人としてのルーツを「ZOZO」出場で再確認したモリカワ

キャディのジョナサン・ジャコバックさん(左・通称JJ)は元ライアン・ムーアのキャディで、モリカワとは2019年以来の仲。

自分のルーツがある日本で優勝することは特別

モリカワは、昨年11月、長年交際していたキャサリンさんと結婚したが、ZOZOでの勝利が結婚後初めての優勝。
しかも自分のルーツがある日本で、という部分に大きな意味を感じていたようだ。

「彼女はいつもそばで僕の応援をしてくれて、信じてくれている。彼女の前で優勝できてとても良かったし、2年ぶりだったので本当に嬉しい。日本人の血を半分引き継ぎ、モリカワという名前の僕が日本で優勝できたのは格別だ。世界で勝つのは簡単ではないが、自分が愛し、敬意を持ち、自分のルーツがある日本で優勝できたのは特別」

モリカワは、父方が日本にルーツを持ち、曽祖父母が日本からハワイ、その後カリフォルニアに移り住んだ。
そのほとんどが日本人の血を引いているのだという。
一方、母方は中国系アメリカ人で、元々は香港からの移民だそうだ。
キャサリン夫人と日本にきてから、自分のルーツについて話をし、「親戚が日本にいるのかどうかわからないが、誰かいるかもね」と語り合ったという。

今大会では、「週の初めは日本のファンは日本人選手を応援しているのがわかったけど、途中で自分もその一人なんだと気づいた。僕たちは長い間アメリカに住んでいるが、2019年から日本に来るようになって、ここでプレーして文化や自分のルーツと再び繋がりを持てるチャンスができて良かった」と語っている。

日本人3人がトップ10入り
次戦の出場権を獲得

最終組の1つ前で回っていた小平智(右)。コリン・モリカワの優勝を目の当たりにした。
2日目に単独首位に立ち、初優勝を狙っていたボー・ホスラー。最終日は2バーディ、2ボギーとスコアを伸ばせず2位タイに終わった。
「ショットとパット、ショートゲームの内容からしたら、この順位は仕方がない」と語った松山英樹。5オーバーの51位タイに終わった。
4日間で2万9752人の観客が訪れた「ZOZOチャンピオンシップ」。最終日の観客数は1万人を超えた。

日本勢では、石川遼(4位タイ)、平田憲聖(6位タイ)、久常涼(6位タイ)の3人がトップ10入りを果たし、次戦「ワールドワイド・テクノロジー選手権」(メキシコ・以下WTC)の出場権を獲得。
石川遼と平田憲聖は出場し、久常涼は自身の主戦場、DPワールドツアーでの転戦を選んだ。
DPワールドツアーの「レース・トゥ・ドバイ」ランキングで、有資格者を除く上位10名は、来シーズンのPGAツアーのシード権を獲得できるため、現在14位につけている久常は、「コマーシャルバンク・カタールマスターズ」「ネッドバンク・ゴルフチャレンジ」「DPワールド・ツアー選手権」の連戦を選択。ちょうど「WTC」の週は、欧州ツアーは無試合だが、この試合のためにメキシコに飛ぶことはやめ、欧州ツアーの最終3連戦に集中する形となった。

日本人選手3名が、トップ10入り
「日本の若くて強い選手が、揃っている」石川 遼

4位タイ 石川 遼

©Yoshitaka Watanabe

「すごくいいゴルフができていると思う。自分を高めることに必死で向き合っており、まだまだこれからも上手くなると思うので、これを数年間続けていきたい。アダム・スコットが今でもバリバリに格好良くやっているということは、自分も12年後にあの肉体でいることが人間として可能。ゴルファーとして長くやるということの凄さを証明してくれている」

6位タイ 久常 涼

©Yoshitaka Watanabe

「最後のバーディを沈めた時は、去年の悔しさ(昨年はトップ10入りを逃し12位タイだった)を思い出して、嬉しくて涙が出そうだった。昨年のリベンジは果たせたと思う。昨年の経験やDPワールドツアーの経験が活きている。PGAツアーのレベルは本当に高いので、今週この結果で終われてすごく自信になった。来年はPGAツアーでプレーしたいので、そこに集中したい」

6位タイ 平田憲聖

©Yoshitaka Watanabe

「日本のコースでPGAツアーの選手がどんなふうにプレーするのか、すごく学ぶところがあった。飛距離だけでなく、小技もうまくてその辺が自分の課題だな、と感じた。トップ10に入ったら、次戦(ワールドワイド・テクノロジー選手権)にチャレンジしない理由はないと思っていた。PGAツアーが世界最高の舞台だと思うし、小さい頃から見てきたタイガー・ウッズもPGAツアーの選手。PGAツアーの選手は飛距離も出て、長いパットも入れてくる」

ZOZOチャンピオンシップ最終成績

優勝コリン・モリカワ−14約2億2904万円
2位エリック・コール
ボー・ホスラー
−8約1億1197万円
4位ロビー・シェルトン
石川 遼
−7約5598万円
6位ミンウー・リー
平田憲聖
久常 涼
JJスポーン
−6約4119万円
10位エミリアーノ・グリジョ
ジャスティン・スー
−5約3308万円
12位小平 智−4約2672万円
16位稲森佑貴−2約2005万円
21位永野竜太郎E約1101万円
31位金谷拓実
堀川未来夢
+1約691万円
38位ザンダー・シャウフェレ+2約542万円
41位アダム・スコット+3約414万円
51位松山英樹
中島啓太
+5約265万円
64位リッキー・ファウラー
大西魁斗
+7約235万円
68位今平周吾+8約225万円
73位岩﨑亜久竜
蟬川泰果
+10約213万円

※賞金は1ドル=149.7円(10月23日現在)で換算

Text/Eiko Oizumi
Photo/Yoshitaka Watanabe

関連する記事