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【世界のゴルフ通信】From Australia 豪州ゴルフシーズン到来 !シドニー開催のISPSハンダ・全豪オープンに今年も母国の男女スターが集結!

アーロン・バデリーが7年ぶりに母国でプレーを披露

2016年以来、久しぶりに母国の試合に出場するアーロン・バデリー。
今年もキャメロン・デービス(左)とアダム・スコット(右)という豪州のスーパースターが出場する。©Eiko Oizumi
「全英オープン」チャンピオンで、現在はLIVゴルフで活躍中の、豪州のキャメロン・スミスも出場。 ©Eiko Oizumi
昨年の「ISPSハンダ・オーストラリアンオープン」で優勝したエイドリアン・メロンク(中央・男子の部)、アシュリー・ブハイ(右・女子の部)、キップ・ポパート(左・障害者の部)も出場する。 ©GOLF Australia

2024年のPGAツアーが1月に開幕することで、オーストラリア(以下豪州)のゴルフ界にプラスの影響を与えている。
そのおかげで、今年の「ISPS HANDA オーストラリアオープン(以下、全豪オープン)」にアーロン・バデリーが戻ってくるのだ。

バデリーは「全豪オープン」で2勝しているが、2016年以降豪州でプレーすることはなかった。
2013年から、秋にPGAツアーの新シーズンがスタートするようになったことで、シーズン終了後に帰国するよりも、シード権を確保するため、米国に居残る方が重要だったのだ。

今年は、2024年PGAツアー・シーズンの出場権をかけた試合の最終戦が、「全豪オープン」の11日前に設定されたことで、バデリーは帰国を決意することができた。
今季、42歳にして3試合でトップ10フィニッシュを果たし、復活を遂げた彼は、9月から始まったフェデックスカップ・フォールシリーズが始まる前に、既に来年のシード権を確保していた。
「全豪オープン」最大の注目選手は、豪州の世界ランクトップであるキャメロン・スミスだが、バデリーの「全豪オープン」3勝目への挑戦は、20年以上にわたって世界最大の米ツアーでプレーすることが可能であった彼の資質を、故郷のファンに再認識させることだろう。

今年、スティーブ・エルキントン、スチュワート・アップルビー、ロバート・アレンビーらに続いて、PGAツアー500試合に出場した6人目の豪州人選手となった。
彼は米ツアーで4勝しているが、最近では2016年の「バーバソル選手権」で優勝している。

バデリーは、豪州のゴルフ史上、「全豪オープン」に優勝した最後のアマチュアであり、18歳の若さにして、ロイヤルシドニーで行なわれた「全豪オープン」で、グレッグ・ノーマンとニック・オハーンを2打差で破り優勝した。1年後、キングストンヒースでロバート・アレンビーを2打差で破り、2年連続優勝を果たしたが、その後彼はアメリカに渡った。
アメリカ人女性のリシェルさんと結婚し、一緒にジュエル、ジョリー、ジェレマイア、ジョサイア、ジャデックス、ジェディダイアの6人の子供を育てている。

「豪州に戻ってプレーすることを楽しみにしている。12月に行なわれるので、米国の秋の試合がほぼ終了してからというのはタイミングがいい」と、バデリーは復帰の発表で語った。

今年もISPSがスポンサー、男女共催の豪州のメジャーに

1928年にオープンしたザ・レイクスは、過去7回「オーストラリアンオープン」を開催した名門コース。ジャック・ニクラスやグレッグ・ノーマンらも優勝している。 ©GOLF Australia
開催コースのオーストラリアGCは、1882年に開場した、豪州最古のゴルフクラブ。2013年にジャック・ニクラスが改修し、過去4回、「オーストラリアンオープン」を開催している。 ©GOLF Australia

「全豪オープン」は、2年連続で男女共催で行なわれるが、今年はシドニーのオーストラリアGCとザ・レイクスの2コースで11月30日~12月3日まで開催される。
54ホールの「全豪・障害者ゴルフ選手権」も、「全豪オープン」と同時に行なわれ、土曜日に終了することになっている。

去年、ポーランドのエイドリアン・メロンク(男子)と南アフリカのアシュリー・ブハイ(女子)が「全豪オープン」で優勝し、この混合フォーマットについては高評価を得たが、今年はフォーマットの見直しにより、フィールド(出場者)の構成にいくつか重要な変更が加えられた。

男子は156人、女子は84人の選手で構成。
今回は36ホール後に予選カットが一度だけ行なわれ(昨年は2回カットがあった)、男子は上位60位タイまで、女子は上位32位タイまでが決勝ラウンドに進出する。

出場選手はバデリーとスミスに加え、2022年男女チャンピオンのエイドリアン・メロンクとアシュリー・ブハイ。
そして障害者ゴルフのチャンピオン、キップ・ポパートが出場。また、キャメロン・デービス、アダム・スコット、ミンジー・リー、ハナ・グリーン、グレース・キム、ギャビ・ラッフェルズらも、母国のメジャータイトルをかけて出場する。

スミスが「全豪オープン」のストーンヘブンカップ獲得に最も近づいたのは、2016年にロイヤルシドニーでジョーダン・スピースにプレーオフで敗れたときだったが、今年の開催コースで優勝争いをした経験もある。
スミスは2017年にオーストラリアGCで4位に入り、2018年にはザ・レイクスでトップ10フィニッシュを果たした。

「特にオーストラリアGCは、プレーしていて気持ちがいいと感じるし、ザ・レイクスでも良いプレーをしたことがある。オーストラリアGCはバーディを量産できると思えるコース」(スミス)

同様の自信を示しているのは、キャメロン・デービスだ。
彼は2017年にオーストラリアGCで飛躍を遂げ、「全豪オープン」で優勝した。
彼は2023年に米国で堅実な成績を収め、「全米プロ」、「プレーヤーズ選手権」、フェデックスカップ・プレーオフ第1戦「セントジュード選手権」でトップ10に入った。
また、2009年「全豪オープン」チャンピオンのアダム・スコットも、昨年は71ホール目でダブルボギーを叩いて優勝を逃したが、今年も再び戻ってくる。

米国で活躍の豪州若手女子2人にも注目!

女子は、メジャーチャンピオンのミンジー・リー、ハナ・グリーン、アシュリー・ブハイが出場するが、今年はアメリカで大きな進歩を遂げた2人の豪州人若手選手が、タイトル獲得に向けて挑戦する。

LPGAでのルーキーイヤーとなった今シーズンに「ロッテ選手権」で優勝した、グレース・キムと、LPGAの下部ツアーで3勝し、LPGAツアーのシード権を獲得したギャビ・ラッフェルズである。

最後に豪州の話題をもう一つ。「ウェベックス・プレーヤーズシリーズ・パース」が、2025年1月9日~12日に、豪州のスーパースター兄弟であり、大会の主催者のミンジー・リーとミンウー・リーが子供の頃にプレーしていたロイヤル・フリーマントルで開催される。
この新規試合は、3年間は開催することが確定している。 

現在の豪州のプロゴルファーの中でも最も注目されているミンジーとミンウーの2人が、新しいパースの試合のホストとして参加することは、今シリーズにとって新たな領域であり、プロツアーの重要な一部だ。

Text/Karen Harding

カレン・ハーディング

(オーストラリア)

メルボルン出身のゴルフジャーナリストで、数々の賞を受賞。女子ゴルフやゴルフ場の環境問題、大衆ゴルフなどに関する執筆に注力。

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