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【世界のゴルフ通信】From Asia 4年に一度のアジアの祭典 今年からプロも出場可能になったアジア大会

4年に一度のアジア大会

2006年、カタールのドーハで「アジア大会」が行なわれた。男子ゴルフ個人戦では、キム・キョンテ(中央・韓国)が金メダル、CTパン(右・台湾)が銀メダル、ミカエル・エリック・ビバット(左・フィリピン)が銅メダルを獲得。金メダリストのキム・キョンテも、4週間の軍事訓練やチャリティ活動などを行なった。 ©Getty Images
2006年、ドーハで行なわれた「アジア大会」の女子個人戦では、リュウ・ソヨン(中央・韓国)が優勝し、金メダルを獲得。宮里美香(右)は銀メダルを獲得した。左は韓国のチェ・ヘヨンで銅メダルを獲得。 ©Getty Images
今年「全米女子プロ」で優勝したイン・ルオニン(中国)も出場し、通算8アンダーで8位タイに入った。 ©Getty Images
中国チームのコーチを務めるフォン・シャンシャン。2016年「リオ五輪」の銅メダリストだ。
金メダルを獲得し、香港のゴルフチームの仲間にウォーターファイトで祝福を受けるコー・タイチ(中央)。
←香港のコー・タイチ(中央)が、個人戦で優勝し、金メダルを獲得した。2位は韓国のイム・ソンジェ(左)で、1打差。3位は台湾のハン・チェンヤオ(右)で銅メダルを獲得。

今年9月の最終週は、現代のコロシアムとしても知られるマルコ・シモーネ・ゴルフ&カントリークラブで開催された「ライダーカップ」に世界のゴルフファンの目は注がれていた。
だが、「ライダーカップ」や「プレジデンツカップ」以外で、情熱とファンの熱意を掻き立てる団体競技、各国が参加するトーナメントがあるとすれば、「オリンピック」と「アジア大会」だ。
「アジア大会」はアジアオリンピック評議会のもとで行なわれ、一般的には「オリンピック」に次ぐ世界で2番目に大規模な多種競技大会とされている。

初の「アジア大会」は1951年に開催されたが、ゴルフが競技として含まれるようになったのは1982年になってから。
男子個人、女子個人、男子団体、女子団体の4つの金メダルが用意されている。

金銭よりも大事なものをかけて戦う

偶然かどうかはわからないが、今年、中国の杭州市で行なわれた「第19回アジア大会」のゴルフ競技は、ローマ開催の「ライダーカップ」と全く同じ週に開催された。
ローマから杭州までの距離は9096キロメートルで、時差は6時間あるが、「ライダーカップ」と「アジア大会」にはいくつかの類似点がある。

フォーマットについては、「ライダーカップ」ではシングルス、フォアサム、フォアボールのマッチプレーが行なわれ、「アジア大会」では従来の72ホールのストロークプレーが行なわれる点が異なるが、両イベントの前提条件として、選手が国を代表している点は同じだ。
「ライダーカップ」ではヨーロッパまたはアメリカ、「アジア大会」ではプレーヤーが出生国(または帰化国)を代表している。
また、これら2つの試合では賞金を1セントも受け取らないことも同じである。
選手たちが獲得するものは、巨大な舞台で国を代表し、栄光をもたらす名誉だ。
自国代表に選ばれる実力を持つほとんどの人にとって、その経験そのものが貴重である。

1982年のニューデリー大会で団体金メダルを獲得してから40年以上が経過した今でも、勝利したインドの4人組は称賛され続けていることを考えてみてほしい。
彼らはゴルフのキャリアで他にも注目すべき勝利を収めたが、「アジア大会」での偉業は今日に至るまで、ゴルフファンだけでなく、国際大会で同胞を応援する他のスポーツファンの共感も呼んでいる。

当然のことながら、「アジア大会」などでメダルを獲得した選手に対して、金銭的な報酬を提供する国立オリンピック団体も存在する。
韓国の場合、国に栄光をもたらすために金メダルを獲得することで兵役を免除される(実際は免除ではなく、4週間の軍事訓練と544時間のボランティア活動を実施)という誘惑は、賞金よりも価値があると言えるだろう。
これについては、イ・ドンフンが「世界のゴルフ通信・韓国」の記事で詳しく説明している。

「アジア大会」に出場しメダルを獲得する意味

過去、「アジア大会・ゴルフ」でメダルを獲得することは、ゴルフクラブメーカーとのスポンサーシップ契約を確保するだけでなく、プロ入りしても成功する証しであることがほぼ実証されていた。
日本の丸山茂樹、金谷拓実、中島啓太、インドのアニルバン・ラヒリ、ガガンジート・ブラー、シブ・カプール、台湾のCTパン、韓国のキム・キョンテらは、「アジア大会」でメダルを獲得した後、アマチュアからプロへスムーズに転向できた一例である。

また、女子も同様で、日本の宮里藍、笹生優花、韓国のリュウ・ソヨン、台湾のヤニ・ツェン、フィリピンのジェニファー・ロザレス、ビアンカ・パグダンガナンらも、「アジア大会」でメダルを獲得し、プロ入り後、活躍している選手たちだ。

アマチュアの大会がプロ・アマ混在の大会に

実際、1982年にゴルフは「アジア大会」に加わったが、これまでは、アマチュアであることが、参加資格基準だった。
しかし、オリンピック評議会のアジア支部が、今年の杭州でのイベントを皮切りに、プロゴルファーが国によって選ばれることができると宣言したのである。

「オリンピック」に続き、主催者が最も優れた競技者を参加させることで、競技レベルを向上させるだけでなく、露出を広げたいと願うのも理解できる話だ。
杭州での男子競技にPGAツアーのスターであるイム・ソンジェとキム・シウーが出場し、女子競技にはLPGAプレーヤーのイン・ルオニンとアディティ・アショクなどが登場したことで生じた宣伝効果を踏まえると、正当だったと言える。

杭州では、プロのみを選択する国もあれば、日本のようにアマチュアのみを選択する国もある一方で、プロとアマチュアの混成を選択する国もあった。
特に韓国(男子)とタイ(女子)の金メダル獲得チームは、プロとアマチュアの混合チームだったことは興味深い。

新人プロのタイチ・コーは香港代表として初めて「アジア大会・ゴルフ」の男子個人・金メダルを獲得し、素晴らしいパフォーマンスを披露した。

「『アジア大会』で金メダルを獲得できたことは、僕にとって非常に特別なこと。プロゴルフでは多くの場合、自分自身のためにプレーするものだが、今回は自分自身というよりも大きな何かのためにプレーでき、その貴重な機会を得られたというだけでとても光栄だった」(タイチ・コー)

Text/Spencer Robinson

スペンサー・ ロビンソン
(シンガポール)

ゴルフライター、ブロードキャスターとしてシンガポールを拠点に活動。

アジアゴルフインダストリーフェデレーションの最高コミュニケーション責任者。

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