ゴルフの経済を知ればビジネスのヒントも見つかる!
今回のテーマは「今年の猛暑がもたらした ゴルフへの影響は?」です。
今夏、猛暑でゴルファー数が減少する一方で、熱中症対策グッズが売れたゴルフ場のショップ
今年の夏の暑さは、東京で30度以上の真夏日が90日、35度以上の猛暑日は22日で過去最多となった。
国連のグテーレス事務総長が7月の記者会見で「地球温暖化の時代は終わり、地球沸騰化の時代が訪れた」と語ったが、この言葉が危機感と異常事態を表している。
それでもさすがに「暑さ寒さも彼岸まで」とはよく言ったもので、猛暑もだいぶ収まった。
全国で140以上のゴルフ場を運営しているパシフィックゴルフマネージメント株式会社(PGM)によると、8月のゴルフ場入場者数は前年と比べて4・5%減少したという。
おそらく猛暑の影響だろう。
また、一部のゴルフ場では、環境省が発表している暑さ指数(WBGT)が危険レベル31を超えた場合、運動に関する指針「運動は原則中止」に合わせて、プレーヤーのみならずキャディーや従業員の安全を考えてプレーを中断する所もあったという。
ゴルフ場で熱中症のため倒れた人もいた。
総務省消防庁が発表している「熱中症による緊急搬送状況」による屋外(競技場等)の搬送数は、今年の8月で4386件。
昨年同月の2362件に比べ倍増している。
日本ゴルフ場経営者協会(NGK)の大石順一専務理事は次のように語っている。
「この猛暑対策で健康安全を考え、プレー中に休憩タイムを取るような運営を検討していかなければならないのではないか? コースの芝が暑さに耐えられるように土壌改善等の対策が重要になってくる」
ゴルフ場側も、少しでも来場者に涼しく快適にゴルフをしてもらおうと暑さ対策を講じている。
PGMでは6月より、全国102コースのゴルフ場に、「Cool Cart」を導入。
PGMオリジナルの送風機が搭載されたカートで、プレーヤーに風を送り、暑い夏でも快適にラウンドができる。
フェアウェイへの乗用カートの乗り入れも熱中症対策には効果的だった。
「ゴルフダイジェスト・オンライン」の予約サイトで検索すると、フェアウェイ乗り入れ可能なコースは関東・甲信越で73コースある。
千葉の某ゴルフ場の支配人に話を聞くと「氷嚢用の氷や凍ったペットボトルを常に十分準備して、お客様の要望にお応えしていた。また、氷嚢、冷感タオル、日傘などの暑さ対策グッズもよく売れた」という。
来年以降も猛暑は続くと思われるので、ゴルファーの方も来年も猛暑対策がさらに必要である。
Text/Hirato Shimasaki
Illustration/Koji Kitamura