南極のゴルフボール
McMurdo Station/Antarctica
マクマード基地(南極大陸)
南極の観測基地周辺の丘の上に、巨大な「ゴルフボール」のような球体が鎮座している。
実際、基地で働く人々はこれを「ゴルフボール」と呼んでいるそうだが、いったいこれは何なのだろうか?
ニュージーランドから空路5時間ほど南下すると、南極大陸が現れるが、南極の観測基地の中でも特に規模の大きなものの一つが、アメリカの「マクマード基地」だ。
100以上の建物で構成されており、アクセスも容易。
滑走路が3本あるほか、船舶の接岸が可能で、ニュージーランドのクライストチャーチから、南極へのクルーズ船が立ち寄ることもあるそうだ。
そんなマクマード基地を見下ろす丘の頂上には、基地のどこからでも見える巨大なゴルフボールのような球体がある。
これは、NASAの測地線ドームで、ドームの中には、直径10メートルのアンテナがあり、ほぼ90分ごとに地球の周りを高速で飛行する科学衛星や地球観測衛星を追跡しているという。
最近の大陸の氷床の後退に伴う、地球の水位を監視するミッションも含まれており、科学のための衛星通信において、重要な役割を果たしているのだ。
なお、1年中、平均気温が氷点下のこの地では、芝の上でのゴルフを楽しむことはできないが、「ディスクゴルフ」という、バスケットの中にフリスビーを入れてスコアを競うスポーツが親しまれている。
マクマードの造船所の近くに9ホールのコースが広がっており、氷点下の寒さの中、デコボコの急斜面に設置されているバスケットに投げ入れることが要求されるため、「世界で最も過酷なディスクゴルフ場」と呼ばれている。
Text/Eiko Oizumi
Photo/National Science Foundation(Elaine Hood, Peter Rejcek,Mike Lucibella)