欧州ツアーポイントランキング総合優勝5回目
22年に引き続き、23年もDPワールドツアー(欧州ツアー)の「レース・トゥ・ドバイ」ランキングで、総合優勝を決めたローリー・マキロイ。
欧米両ツアーの顔としてコース内外で活躍するマキロイの、23年の活躍を振り返りつつ、現在の彼の心境をレポートする。
2023年11月16日〜19日/Jumeirah Golf Estates Earth Course,Dubai UAE/7706ヤード・Par 72
優勝
Rory Mcilroy
「23年の出来栄えを点数で表すなら10点中7点。安定したいい1年だった」ローリー・マキロイ
「セベ、モンゴメリーの記録を塗り替えたい」
11月16日~19日にアラブ首長国連邦・ドバイのジュメイラゴルフエステイツで開催された、欧州ツアー最終戦「DPワールドツアー選手権」を前に、レース・トゥ・ドバイ・ランキング(DPワールドツアー・ポイントランキング)で1位に立っていたローリー・マキロイが、2シーズン連続・5度目の総合優勝を果たした。過去、2012年、2014年、2015年、2022年に優勝しており、今回で5度目の総合優勝だが、この記録は8度の総合優勝をしているコリン・モンゴメリー、6度のセベ・バレステロスに次ぎ、歴代3位の記録である(モンゴメリー、バレステロスの時代は、賞金王のタイトル)。
「(総合優勝については)素晴らしい。自分のゲームが毎年安定していることを示しているからね。過去10年でアメリカと、ここDPワールドツアーで、シーズンを通した総合優勝を8回達成しているし、それが僕の安定感のレベルを物語っているんだ。最終グリーンでハリー(キャディ)と話したんだけど、今週1週間、あるいは翌週に僕に勝てる人はいるけど、1年間のシーズンを通して勝てる人はそう多くはいないよね、と。今年は本当に堅実な1年間だった。平均ストロークも良かったし、すごく良いゴルフをしていた」
PGAツアーを主戦場に戦うマキロイは、23年のDPワールドツアーの試合にはメジャーを含めて9試合しか出場していないが、1月の「ヒーロー・ドバイデザートクラシック」と7月の「ジェネシス・スコティッシュオープン(PGAツアーと共催)」で2勝を挙げている。
ともに「ロレックスシリーズ」のイベントで、通常の試合よりも賞金とポイントが高いトーナメントだ。
また、メジャーで3度ベスト10入りも果たし、「全米オープン」では優勝争いの末、2位に入った。
「今年の成績には満足しているが、一つだけ後悔しているとすれば、『全米オープン』で逃したチャンスだろう。メジャーで勝つ絶好の機会だったが、逃してしまった。でも、今年は非常に安定した年で、素晴らしいパフォーマンスを出すこともできたし、自分のゲームは過去16~17年間にわたるキャリアの中でも、最高の状態にあるように感じている。満足しているよ」
23年はその他、イタリア開催での「ライダーカップ」で欧州チームが勝利したこともあり、チームメンバーだった本人は非常に満足しているようだ。
23年の出来栄えに点数をつけるとしたら、「(10点中)7点だ」と答えている。
22年はLIVゴルフの発足もあり、選手会長としてコース外での活動が忙しい1年だったが、それでも欧米両ツアーで総合優勝を果たした。
23年はLIVゴルフについては、一昨年までのように声高に否定や反対することもなく、自身のゴルフに比較的集中できていた1年間だったようだ。
世界中の異なる条件で勝利し、
過去の偉大な選手たちと自分を
比較できるのがゴルフの醍醐味
欧州ツアーの上位10名が米ツアーへ。
マキロイの見解は?
さて、DPワールドツアーとPGAツアーは、戦略的な提携を結んでいるが、23年から欧州ツアーの年間ポイントレース上位10名(有資格者を除く)に翌シーズンのPGAツアー・シード権を付与することになっていた。
この、「欧州ツアーからPGAツアーへのスター選手の流出」について賛否両論あり、「これでは欧州ツアーは米ツアーのフィーダーツアーだ」と非難する人もいる。
マキロイは、この流れをどのように考えているのだろうか?
「それは常に存在していた(欧州ツアー→米ツアーという)経路を正式化したものだ。欧州ツアーが始まった理由は、プロゴルファーに試合に出場し、生計を立てる機会を提供するためだった。だから、欧州ツアーの指針を見れば、プロゴルファーにプレーする場を提供し、生計を立てる機会を提供することと書かれている。そしてそれが実現できる最大限の場所は、PGAツアー以外にない。欧州ツアーでプレーする選手にとっては、素晴らしいことだと思うし、プロゴルフのトップレベルに到達するための経路を正式にしているだけだと思う」と語っている。
プロゴルファーとしての生きがい
過去、欧米ツアーだけではなく、さまざまな場所で戦い、勝利をものにしてきたマキロイ。
欧州ツアーの試合は、その国のメジャーである場合が多いが、「かなりの数のナショナルオープンを制覇し、僕のトロフィーケースで最も誇りに思うものだ。トロフィーに刻まれた名前を見ると、それがゴルフの醍醐味だと思う。以前の世代の選手と自分を比較することができるのがゴルフ。プロゴルファーであることは、世界中で勝利し、異なる条件や場所で自分を試すことができるということ。過去15年間、僕はそうやってきたし、それによっていい選手になってきたと思う」
現在、世界ランク2位の34歳は、特に体の故障などに悩まされていないだけに、まだまだ今後も期待が持てる。
どこまで強さを維持できるのか、ゴルフファンにとっても楽しみだが、本人も「あと8~10年はトップレベルで戦えるんじゃないかな」と語っている。
2023年「レース・トゥ・ドバイ」最終成績
1位 | ローリー・マキロイ(北アイルランド) |
2位 | ニコライ・ホイガード(デンマーク) |
3位 | ジョン・ラーム(スペイン) |
4位 | エイドリアン・メロンク(ポーランド) |
5位 | ライアン・フォックス(ニュージーランド) |
6位 | ビクトル・ホブラン(ノルウェー) |
7位 | ビクター・ペレツ(フランス) |
8位 | トミー・フリートウッド(イングランド) |
9位 | トービヨーン・オルセン(デンマーク) |
10位 | ミンウー・リー(オーストラリア) |
13位 | ロバート・マッキンタイヤー(スコットランド) |
17位 | 久常 涼(日本) |
18位 | ラスムス・ホイガード(デンマーク) |
29位 | トム・キム(韓国) |
68位 | ルドビグ・オーバーグ(スウェーデン) |
73位 | アダム・スコット(オーストラリア) |
80位 | 川村昌弘(日本) |
81位 | 星野陸也(日本) |
120位 | 比嘉一貴(日本) |
「レース・トゥ・ドバイ」歴代優勝者
2023年 | ローリー・マキロイ |
2022年 | ローリー・マキロイ |
2021年 | コリン・モリカワ |
2020年 | リー・ウエストウッド |
2019年 | ジョン・ラーム |
2018年 | フランチェスコ・モリナリ |
2017年 | トミー・フリートウッド |
2016年 | ヘンリク・ステンソン |
2015年 | ローリー・マキロイ |
2014年 | ローリー・マキロイ |
2013年 | ヘンリク・ステンソン |
2012年 | ローリー・マキロイ |
2011年 | ルーク・ドナルド |
2010年 | マーティン・カイマー |
2009年 | リー・ウエストウッド |
2008年 | ロバート・カールソン |
2007年 | ジャスティン・ローズ |
2006年 | パドレイグ・ハリントン |
Photo/Eiko Oizumi、Getty Images、DP World Tour
Text/Eiko Oizumi
大泉英子
「ゴルフ・グローバル」編集長。海外メジャー取材は男・女・シニア合わせて130試合以上。現在も海外ツアーをメインに取材。全米ゴルフ記者協会、欧州ゴルフ記者協会、日本ゴルフジャーナリスト協会会員。