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O嬢日記@DP World Tour Championship
「ゴルフの神様が久常に贈ったスーパースターとのラウンド 」

マキロイとのラウンドで、緊張の面持ちでスタートした久常(左)。©Eiko Oizumi
ホールアウトした時には、この笑顔。©Eiko Oizumi

 久常にとっては、PGAツアーのシード権がかかった大事な1戦だった「DPワールドツアー選手権」。
彼は、この最終戦が始まる前、米ツアー行きの切符を手にする10人中9位におり、ボーダーライン上ギリギリの位置にいたのだった。

 そんな大事な試合の最終日、なんと憧れのローリー・マキロイと回ることに……。
普通なら、スーパースターとプレーできることを心から喜んだと思うが、なにせ状況が状況なだけに、正直、もっと静かな組で米ツアーの席取りに集中したかったのではないか、と思った。
しかも、他の選手と回るよりも緊張感もある。自分のプレーに集中し、少しでも上を目指さないと逆転される恐れもあるだけに、この「神様からの贈り物」はちょっとタイミングが悪かったな、と思った。

 その組について歩いて観ていたが、自分のペースを崩さないよう、久常は次打地点に向かって足早に黙々と歩いていた。
マキロイの方は、自身の総合優勝も決まっていただけに、気楽な雰囲気で久常とも話をしてみたい、という雰囲気を醸していたように見えたが、久常はそんな誘惑に負けず(?!)、自らの任務を遂行。
最終ホールをバーディで締め、PGAツアー行きの切符をグッと手繰り寄せるまでは、自分のプレーに集中し切っていたように見えた。
それまでサングラスで表情が隠れ、ポーカーフェースを装っていた久常だが、ホールアウト後にサングラスを取り、マキロイと挨拶を交わすと一気ににこやかな表情が見えたのが印象的だった。

 来年、アメリカでマキロイと回ることになった時はもっと余裕を持ってスターとのラウンドを楽しめればいいな、と思った。
だが、今回の「贈り物」は次のステップを踏む久常に、新たな課題や目標を与えるチャンスだったように思える。
彼の持つ「強運」と「スピーディな成長」を後押しするきっかけをゴルフの神様はくれたのだ、と。

Photo/Eiko Oizumi、Getty Images、DP World Tour
Text/Eiko Oizumi

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