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【私の愛したゴルフコース】
第24回セント・パトリックス リンクス(北アイルランド)

世界のゴルフフォトグラファーの第一人者として今も第一線で活躍するデビッド・キャノン。

彼のファインダーを通して切り取られた世界のゴルフコースの数々は、まるで宝石箱のジュエリーのように一つ一つが個性豊かに輝いている。

私の愛したゴルフコース第23回はセント・パトリックス リンクス(北アイルランド)を紹介する。

St Patrick’s Links

大西洋に面した、4番ホール・パー5(555ヤード)と、5番ホール・パー3(214ヤード)は、セント・パトリックス・リンクスの中でも風光明媚なホール。自然の起伏を生かしたレイアウトが特徴。©David Cannon (Getty Images)

セント・パトリックス リンクス(北アイルランド)
●設計:トム・ドーク
●全長:6826ヤード・パー72
●備考:2021年オープン。ロサペンナホテル&ゴルフリゾート内にあり、ベルファスト国際空港から車で約2時間。開業2年目にして、米『ゴルフマガジン』誌で「世界のトップ100」にランクインしている(49位)。他に、サンディヒルズ・リンクス、オールド・トム・モリス・リンクスという2つのリンクスもある。ホテル、レストラン、スパ完備。
https://www.rosapenna.ie

開場2年目にして世界49位のコースに

 セント・パトリックス・リンクスは、ロサペンナホテル&ゴルフリゾートに最近オープンした、第3のコースだ。
アイルランド・ドニゴール州の美しい自然に恵まれた北西海岸エリア、シープフェブン湾に面し、トム・ドークの最高傑作の一つとして瞬く間に有名になった。
すでに世界のゴルフコース・トップ100選にしっかりと名を連ねている。
米国のゴルフ誌『ゴルフマガジン』は、最近発表した2023年の世界トップ100のリストで、このリンクスコースを49位にランクインさせた。
これは、2021年にオープンしたばかりのコースにとって、信じられないほどの栄誉だ。

 4つ星のロサペンナホテル&ゴルフリゾートは、40年以上にわたってケイシー家が所有しているが、この素晴らしいゴルフの楽園を訪れる際の楽しみの一つは、ケイシー家のフランクとジョンの歓迎とおもてなしにある。
このリゾートには既存の2つの素晴らしいコースがあるが、1つは1893年に建設されたオールド・トム・モリス・リンクス。
もう1つはパット・ラディが設計し、2003年6月にオープンしたサンディヒルズ・リンクスである。

 2012年、ケイシー家はかつて「マヘラマゴーガン・リンクス」と「トラモア・リンクス」だった36ホールのゴルフ場を取得した。
これらのコースは1990年代中期に開業し、リゾートの南端に位置する砂丘地にあったものである。
2000年代初頭、ジャック・ニクラスにこれらのコースの新しいデザインを検討するよう依頼したが、2008年~2009年の世界金融危機の間に頓挫してしまった。

 2012年にフランク&ジョン・ケイシーがそのコースを取得すると、トム・ドークとルネッサンスゴルフデザイン社に新しい18ホールのゴルフコースのための初期デザインを提供するよう依頼。
2013年、ドークと彼の同僚であるエリック・アイバーソンは、セント・パトリックス・リンクスの最終レイアウト案を発表した。
ドークはコースについて次のように語っている。

「海辺のコースを建設する機会は、今ではほとんどない。敷地は270エーカー以上あり、シープフェブン湾から100フィート以上高くそびえ立つ大きな丘の中央にあるが、ルーティングのコツの一つは、丘の頂上に向かう途中で劣悪なホールを造らずに、上がって景色を楽しむことだ」

 2023年9月、私がここを初めて訪問した時は、彼が創造したリンクスの壮観さに驚かされたものだ。
広々としたフェアウェイが広がっているが、決してこれに惑わされないこと。
巧妙に配置されたコンター(等高線)や尾根により、ボールはフェアウェイそばのラフやバンカーに転がり込むようになっているからだ。

「偉大な土地が、偉大なコースを生み出す」
トム・ドークが命を吹き込んだ奇跡

5th Par3/214yard

「モンクスベイ(僧侶の湾)」と名付けられた5番ホール・パー3のグリーンの奥には、トラモアビーチや街並みが広がっている。©David Cannon (Getty Images)
ロサペンナホテルの宿泊とプレーのお得なパッケージも販売されている。人数や予算に応じて、様々な部屋タイプを用意。Photo/ Rosapenna Hotel & Golf Resort
最もリーズナブルな「クラシックルーム」は、バスルーム、冷蔵庫、Wi-Fi完備。Photo/ Rosapenna Hotel & Golf Resort
リゾート内で最もラグジュアリーな「ペントハウススイート」のバルコニーからの眺め。Photo/ Rosapenna Hotel & Golf Resort

Doak’s Finest
ドークの最高のコース

天才トム・ドークは、もともとの景観と自然を生かしながら、戦略性の高いコースに仕上げた。©David Cannon (Getty Images)

既存の景観を活用した景色を楽しむコース

 ドークの設計の中でも秀逸なのは、もともとあったコース「マヘラマゴーガン」にちなんで名付けられた、宝石のようなショートホールだ。
130ヤードの15番ホール・パー3は、見事な自然なバンカリングを備えた難しいホールで、グリーンの後ろから見ると、海面からほぼ100フィート上にある、壮大なリンクスならではの絶景を楽しめる。

 この素晴らしいショートホールのあとは、究極のビュースポットに向かって登っていく。
それは景色を楽しみたいというドークの望みが叶えられている場所だ。
534ヤードの打ち下ろしのパー5で、おそらくコースで最も広いフェアウェイを持つホール。
スキー場の「モーグル」のコースにしても違和感のないフェアウェイが広がっている。
フェアウェイにあるコブやくぼみにより、ドライビングエリアが狭くなり、ラフに近いところに落下すると、深いラフやフェアウェイバンカーに転がりこむようになっている。
しかしその一方でバーディやイーグルチャンスもある、非常に頭を使うホールだ。
18番ホールはやや短いパー4で、2打目はグリーンに向かってやや打ち上げで、グリーンの左手前には大きなバンカーが口を開けている。
ある意味、このホールはこのコースがいかに自然であるかを物語っている。
ドークが既存の景観を活用したその設計は、まさに天才の作品だ。

Text & Photo/David Cannon

David Cannon デビッド・キャノン(イギリス)

海外メジャー100大会以上を取材し、現在も第一線で活躍中のゴルフフォトグラファー界の巨匠。自身もシングルハンデの腕前で、息子はプロゴルファー。アメリカ、ヨーロッパ、中東、オーストラリア、アジアと世界各国を股にかけて撮影している。2022年、PGAオブ・アメリカ生涯功労賞を受賞。Getty Images所属。

Text & Photo/ David Cannon (Getty Images)

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