世界でも珍しい男女ナショナルオープン同時開催!
男子はホアキン・ニーマンが初優勝し「全英オープン」出場権をゲット
女子はアシュリー・ブハイが2連覇達成!
過去、北アイルランドやオーストラリアで男・女・障害者の共催大会を開催してきたISPS。
3人のチャンピオンが、同週、同コースで誕生し、男女とも同賞金額を争う、世界でも珍しいナショナルオープン「ISPS HANDAオーストラリアンオープン」が、シドニーで開催された。
ホアキン・ニーマン、星野陸也、アダム・スコットの3名が2024年「全英オープン」出場権獲得
メジャーに出るために豪州に来たニーマン
男子、女子、障害者が同週に同じコースで戦う、世界でも珍しい大会「ISPS HANDA オーストラリアンオープン」。特に男子と女子は、オーストラリアのナショナルオープンであり、賞金も同額。
オーストラリアではメジャーなだけに、注目度の高い大会だ。
今回、男子の部で優勝したのは、PGAツアーで過去2勝し、現在はLIVゴルフで「トルクGC」のキャプテンを務めるホアキン・ニーマン(チリ)。
星野陸也とのプレーオフを制し、通算14アンダーで「オーストラリアンオープン」初優勝を遂げた。
「この勝利は大きいね。今年はLIVゴルフであまりいいシーズンではなかった。今週ほどいいショットも打ててなかったからね。それにパッティングもよくなかった。しかも今年はチームを少し変えたんだ。だから今、新しい環境の中で一生懸命練習に取り組み、こうして成績を出すことができたのは、誇りに思うよ」
その上、今年の「全英オープン」出場権も獲得。
世界ランキングポイントを獲得できないLIVゴルファーにとって、ポイントを獲得できる試合に出場し、上位に食い込むことは非常に重要だが、今大会は、「全英オープン」の予選会も兼ねていたため、上位3人(有資格者は除く)に出場権が与えられていた点は大きい。
前週の「フォーティネット・オーストラリアPGA選手権」で5位、そして今大会で優勝したことで、世界ランキングは59位まで浮上してきた。
以前は15位だったランキングもLIVゴルフ入りしてからは下降の一途を辿っていたが、全てのメジャーに出場するには、トップ50以内に入る必要がある。
豪州2試合でかなり回復してきたことは確かだ。
「メジャーに出場したくて、オーストラリアの試合に出場したけど、こうして『全英オープン』の出場権も得ることができてうれしい」
「オーストラリアンオープン」では過去、ジャック・ニクラス、ゲーリー・プレーヤー、グレッグ・ノーマン、ローリー・マキロイ、ジョーダン・スピースらビッグネームが優勝し、彼らの名前が刻まれているが、そんなトロフィーを見ながら「とてもいい気分だね」と満足げに笑った。
南アのブハイが2連覇達成
母国のスターミンジー・リーは惜敗
一方、女子の部を制したのは南アフリカのアシュリー・ブハイ。昨年に引き続き2連覇を果たした。
「今までアマチュア時代でも、2連覇というのは果たしたことがなかった。今日はミンジーがスコアを伸ばし、素晴らしいゴルフをしていた。みんな(オーストラリア人の)彼女を応援していたけど、大勢の南アフリカ人もいて、私を応援してくれたわ」
最終日はアシュリー・ブハイとシン・ジエとの一騎打ちかと思われたが、シン・ジエが4バーディ、7ボギー、1ダブルボギーとスコアを大きく崩し、優勝戦線から脱落。
その代わりにオーストラリアのスター、ミンジー・リーが8バーディ、3ボギー、1ダブルボギーの69をマークし、最終的には優勝したブハイとは1打差の8アンダーで終わった。
「今日は風も強く、すごくタフだった。でもベストを尽くしたわ。嬉しいけど、ちょっと残念ね。今年はいい1年を過ごせたけど、最初の方は自分の思い通りの結果が残せなかった。だからこうしてカムバックできてよかったし、来シーズンに向けて目標をリセットするつもり。2月まではゆっくり休暇を取り、練習して来シーズンに臨むわ」とミンジーは語った。
また、障害者ゴルファーの戦いは、地元のラクラン・ウッドが障害者ゴルフランク2位でISPSアンバサダーのブレンダン・ローラーを3打差で抑えて優勝。
難コースに皆、苦戦する中、唯一オーバーパーを叩かずに勝利した。
こうしてチリ、南アフリカ、オーストラリアの3選手がチャンピオンになったわけだが、偶然にも全員、南半球の選手がトロフィーを掲げることになった。
星野陸也、DPワールドツアーのポイントランキングで現在2位
すでに来季のシード権確保!
星野陸也、来季の欧州ツアーシード権確保
なお、日本勢の結果は、男子は星野陸也が14アンダーでプレーオフの末2位に入り、「レース・トゥ・ドバイ」ランキング2位につけている。
昨シーズンのポイントランキングを参考にしても、すでに自身が1年間で獲得したポイントを上回っており、2025年DPワールドツアーのシード権をこの2週間でラクラクと獲得できたと言っていいだろう。
久常涼、桂川有人は9アンダーで8位タイ、比嘉一貴、本大志(アマチュア)は予選落ちに終わった。
また、女子は橋本美月(アマチュア)が10オーバーで31位タイ、杉原彩花が17オーバーで43位に終わった。
LIVゴルファーも出場できる数少ないDPワールドツアーイベントだけに、年々フィールドも厚くなり、強豪も出場するようになった。
来年の開催地、日程は未発表だが、再びオーストラリアの夏が盛り上がることは間違いない。
2023年11月30日~12月3日/オーストラリアンGC&ザ・レイクスGC(オーストラリア)
男子の部 最終成績
1 | ホアキン・ニーマン | −14 |
2 | 星野陸也 | −14 |
3 | ミンウー・リー | −12 |
4 | アダム・スコット グラント・フォレスト ローリー・カンター | −11 |
7 | ルーカス・ハーバート | −10 |
8 | ジュリアン・スリ エイドリアン・メロンク アレクサンダー・レビ 久常 涼 桂川有人 サム・ブラゼル ジェイソン・スクライブナー アレックス・フィッツパトリック | −9 |
17 | キャメロン・スミス | −7 |
21 | アーロン・バデリー | −6 |
27 | マーク・リーシュマン | −5 |
女子の部 最終成績
1 | アシュリー・ブハイ | −9 |
2 | ミンジー・リー | −8 |
3 | ジェニー・シン シン・ジエ | −4 |
5 | ハナ・グリーン ステファニー・キリアクー | −3 |
7 | グレース・キム カイトリン・ピアース(アマ) | −2 |
9 | ガブリエラ・ラッフルズ | −1 |
10 | カリス・デビッドソン | +1 |
14 | 小堀桃花 | +4 |
31 | 橋本美月(アマ) | +10 |
43 | 杉原彩花 | +17 |
障害者の部 最終成績
1 | ラクラン・ウッド | E |
2 | ブレンダン・ローラー | +3 |
3 | キャメロン・ポラード | +4 |
4 | キップ・ポパート | +7 |
5 | クリス・ビギンズ トマソ・ペリーニョ | +8 |
7 | ホアン・ポスティーゴ | +13 |
8 | ヨハン・カマースタッド | +14 |
9 | カーティス・バークリー | +18 |
10 | ステファン・プライヤー | +24 |
11 | ジェフ・ニコラス | +33 |
12 | ナターシャ・テネント | +70 |
Text & Photo/Eiko Oizumi
Photo/Golf Australia