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【私の愛したゴルフコース】第25回イル・オ・セルフ・ゴルフクラブ (モーリシャス)

世界のゴルフフォトグラファーの第一人者として今も第一線で活躍するデビッド・キャノン。

彼のファインダーを通して切り取られた世界のゴルフコースの数々は、まるで宝石箱のジュエリーのように一つ一つが個性豊かに輝いている。

私の愛したゴルフコース第25回はイル・オ・セルフ・ゴルフクラブ (モーリシャス)を紹介する。

Ile Aux Cerfs Golf Club

モーリシャスの東岸沖に浮かぶセルフ島にある全19ホール(オプショナルホールを1ホール含む)のゴルフ場。セルフ島の全面積のうち、38ヘクタールを占める広さを誇る。火山岩の露出、湖、峡谷のある起伏に富んだ地形が特徴だ。©David Cannon (Getty Images)

●設計:ベルンハルト・ランガー
●コース:7046ヤード・パー72
●備考:コースへは、「スペシャルゴルフ」ボートシャトルに乗るか、ヘリコプターでしかアクセスできない。レストラン、ホテルリゾート完備。モーリシャス内のアナヒタGC、アバロンゴルフエステートとのお得な宿泊&プレーパッケージあり。
https://www.ileauxcerfsgolfclub.com

ランガーが設計した五感を呼び覚ますコース

この信じられないほど美しいゴルフコースは、モーリシャス島トゥル・ドー・ドゥース沖のイル・オ・セルフ島に位置している。
ここはかつて、サトウキビ農園だった場所だ。
ゴルフ場の建設は2001年に開始され、2003年11月にオープン。
メジャー2勝のベルンハルト・ランガーによって設計された。
IMGゴルフデザインチームの監督のもとで行なわれたこのプロジェクトは、非常に要求の厳しいものだった。
コースはマングローブの木々に囲まれた火山岩の上に建設され、ゴルフ場を建設するには、数千トンの表土と砂を小型ボートで本土から運ばなければならなかったのだ。

ベルンハルト・ランガーは、自身のコースについて、次のように語っている。

「私たちが造りたいと願っていたゴルフコースは、本当に全ての感覚を呼び覚ますようなゴルフ場だ」

この短い答えがどれだけ真実であるか、実感できることだろう。

このコースはもともと「ル・トゥセロク」という名前で、モーリシャス島内の、すぐ近くにある有名な5つ星高級ホテルの一部だった。
このコースの魅力的でワクワクする特徴の1つは、ラグーンを渡り、クラブハウスとコースに向かう小さなボートに乗ることだ。
その5つ星ホテルは現在、シャングリラリゾートになっており、ここに宿泊することで、その体験はさらに思い出深いものになる。
この美しい熱帯の楽園のゴルフ場でプレーすることは、ゴルフをすること以上に素晴らしいものなのだ。

私はオープン当時と9年後に宣伝のためにこのコースを撮影できたのは非常に幸運だった。
この美しい熱帯のコースの上空をヘリコプターで飛んだ体験は、決して忘れられない。
コースが建設された場所を上空から見るのは、ただただ素晴らしい。
写真からもそのロケーションの美しさは際立っている。
コースはこの大きなラグーンを生み出した珊瑚礁の内側に位置しており、見る者に畏敬の念を抱かせる。
この建設プロジェクトがどれほど大変だったか、私には想像もできない。
ベルンハルト・ランガーとIMGデザインチームが、どれほど本当に素晴らしい仕事をしたことか……!

ランガーが造り上げたモーリシャスの宝石

12th Par4/457yards

左に透明度の高い美しい海を眺めながら、打ち下ろしていく12番ホール・パー4。グリーンとターコイズブルーの海、バンカーの白砂とのコントラストが美しい。©David Cannon (Getty Images)
18番ホール(パー4)のグリーンとクラブハウス。中には「ランガーズバー&グリル」という名のレストランがあり、近海で獲れた新鮮な魚の料理を楽しめる。©David Cannon (Getty Images)

Tropical Paradise
熱帯の楽園

海に向かって進む、618ヤード・パー5の11番ホール。右ドッグレッグになっているシグネチャーホールで、大きなグリーンの奥は美しい海が広がる。©David Cannon (Getty Images)

マングローブ林や火山岩ではロストボールに注意

クラブハウスでは素晴らしいサービスを提供しているが、プロショップでは特に、ゴルファーにとって必需品のゴルフボールを豊富に取り揃えている。
私が初めて訪れた2004年、販売されていたピナクルの「15個入りボール」が山積みにされていたのにビックリしたのを覚えている。
ここでのラウンドは厳しい挑戦であり、自分のレベルに合ったティーグラウンドからプレーする必要がある。
自然のままの木々やマングローブ林の間をクネクネと曲がりながら進む、非常に狭いフェアウェイが多く、これを外すと火山岩の中にボールをロストすることになり、ほぼ確実に大叩きとなる。
コースの難易度は、バックティーからのスロープが155と、非常に高いことからも明らかだ。

1番ホールは425ヤードのパー4で、「溶岩石」というホール名の通り、火山岩を越えて、狭いフェアウェイと小さなグリーンを狙っていくホールだ。
ちなみに、小さなグリーンは、全ホールのグリーンについても言える特徴だ。

小さな熱帯の島にいて、海から遠く離れていないとわかってはいるが、海が見えるホールはわずかだ。
コースで最も素晴らしいホールの1つは、8番ホール、通称「マングローブの散歩道」(143ヤードのパー3)で、距離は短いが、危険がいっぱいのホール。
「聖壇」または「お椀を伏せた」ようなグリーンに向かって打っていくが、この小さなターゲットを外すと、非常に難しいリカバリーショットが必要となる。
11番ホール(618ヤード・パー5)は、シグネチャーホール。
恐ろしく狭いドッグレッグホールでは、まず1打目でコーナーに向かって非常に直線的なショットが必要。
次にグリーン手前約100ヤードに刻むための挑戦的な2打目が続く。
ここからグリーンに向かって打っていく景色は素晴らしく、グリーンは砲台になっており、その奥には本土の山々も広がっている。
グリーンは、急傾斜の火山岩の上にあり、エメラルドグリーンのラグーンに向かって下り傾斜になっている。
私が最初にここを訪れた時、このグリーンの場所の美しさを最大限に引き出すために、グリーン後方の溶岩から生えているマングローブの木を伐採してほしいと頼んだことがあった。
このグリーンに立つと、まさに南国の楽園といった感じがする。

イル・オ・セルフGCでプレーし、シャングリラリゾートに滞在すれば、あらゆる意味で、忘れられない南国の楽園体験を満喫できるだろう。
世界中を旅してきたが、このコースは最も美しいゴルフコースの1つであり、まさに「モーリシャスの宝石」である。

David Cannon デビッド・キャノン(イギリス)

海外メジャー100大会以上を取材し、現在も第一線で活躍中のゴルフフォトグラファー界の巨匠。自身もシングルハンデの腕前で、息子はプロゴルファー。アメリカ、ヨーロッパ、中東、オーストラリア、アジアと世界各国を股にかけて撮影している。2022年、PGAオブ・アメリカ生涯功労賞を受賞。Getty Images所属。

Text & Photo/ David Cannon (Getty Images)

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