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【世界のゴルフ通信】From Latin マスターズ出場のプレー ヤーに注目! LIVゴルフへ移籍したジョン・ラームの影響力

ジョン・ラームのLIVへの移籍と世の中の風潮の変化

今季からLIVゴルフリーグでプレーしているジョン・ラーム。©LIV GOLF
ラームがキャプテンを務める新規チーム「リージョン13」が、開幕戦「LIVマヤコバ」で団体戦優勝。左から、キーラン・ビンセント、ラーム、ケイレブ・スラット、ティレル・ハットン。©LIV GOLF
リージョン13のロゴマークは、「バリカのライオン」ことラームにちなんだデザイン。

ジョン・ラームは、ゴルフ界に革命を起こし、それを将来の「ワールドツアー」へと導くという、セベ・バレステロスの夢をなんとか実現させた。
ラームのLIVゴルフとの契約は、セルヒオ・ガルシアのものほどツアー仲間やツアー団体などから非難はされなかった。
誰もが合意、署名、和平を求め、中には自由労働者として、市場で最高の経済的オファーを受け入れることができるというのを正当化する者さえいた。

そしてラームは、元世界ランク1位の選手であり、昨年の「マスターズ」チャンピオン。
PGAツアーとDPワールド(欧州)ツアーにとって最大の魅力を持つ選手だった。
タイガー・ウッズというスターが徐々に衰えていく様子を目にする昨今、ファン、テレビ、スポンサーなどメディアの注目を最も集めているのはラームであり、彼の存在感は大きい。

LIVゴルフの開幕戦「LIVマヤコバ(メキシコ)」では、ラームが率いる新規チーム「リージョン(レギオン)ⅩⅢ」と共に引き起こした騒ぎと、ラテン系の選手たちの活躍ぶりを目撃した。
ちなみに、地中海沿岸に住む私たちにとって、〝レギオⅩⅢジェミナ〟は我々の歴史と文化において、特別な意味を持っている。
それは、古代ローマの英雄ジュリアス・シーザー(カエサル)が創設した最も忠実な軍団の1つであり、紀元前57年に創設されたものだ。
彼らはガリア(フランスなど)を征服し、今日の中央ヨーロッパ全体を支配。
後年はルビコン川を渡って「ローマの敵」と戦った。
この軍団のシンボルはライオンであり(ラームはビルバオのアスレティッククラブの忠実なファンであるため、バリカのライオンと呼ばれている)、忠実な軍団のモットーは「忠誠と忠節」であった。
これは、ラームが誰かに裏切られたと感じたという、彼からの警告だろうか?

ラームの契約は、アラブのスーパーリーグ(LIVゴルフ)に前代未聞の影響を与えた。
彼は最も批判的な人々(ローリー・マキロイなど)を自分の味方にし、LIVゴルフのシステムに完璧に適応し、パーティホール用の音楽を選び、ラウンド終了後の気恥ずかしい質問にも答えた。
彼は初の個人戦で優勝寸前まで迫り(団体戦ではダントツで優勝)、同時にスペイン・カステヨン出身のセルヒオ・ガルシア(2位)やチリのホアキン・ニーマン(初優勝)などのラテン系の選手たちから最高のパフォーマンスを引き出した。
ラテンプレーヤーたちの表彰台は情熱を掻き立て、ポテンシャルの高い新興ゴルフ市場であるラテンアメリカのゴルフへの情熱と関心を呼び起こしたのだ。
なお、ニーマンは「マスターズ」から特別招待を受けて、出場する。

ラームの移籍のおかげで、LIVゴルフはその地位を確立するための大きな一歩を踏み出した。
それが、PGAツアーに対してすでに影響を及ぼしており、同週に開催された「AT&Tペブルビーチ・プロアマ」への関心はほとんどなく、さほど注目されていなかった。
また、DPワールドツアーに対する影響は、まだわからない。
今のところ、LIVプレーヤーは世界ランキングから外れているが、正直なところ誰が気にするだろうか?

22歳のメキシコの星が3大メジャーへの出場権獲得!

「ラテンアメリカ・アマチュア選手権」で優勝したサンティアゴ・デ・ラ・フエンテ(メキシコ)。

メキシコの新しいスター「マスターズ」へ

彼は22歳で、その名はサンティアゴ・デ・ラ・フエンテという。
ドミニカ共和国で開催された2019年「ラテンアメリカ・アマチュア選手権(以下LAAC)」で、メキシコのアルバロ・オルティスが優勝したが、フエンテは今年、彼に次ぐメキシコ人チャンピオンとなった。
グアダラハラ出身の彼は、パナマのサンタマリアGCで、270ストローク(10アンダー)をマーク。
同じくメキシコのオマール・モラレスに2打差をつけて優勝した。

2022年大会で、フエンテは優勝争いの末、アーロン・ジャービスに敗れたが、その2年後、彼は最終ラウンドで大会ベストスコア64をマーク。
3日目を終えて首位に立っていたオマール・モラレスを突き放し、リベンジを果たすことができた。
彼にとって今回の「LAAC」は4回目だったが、この勝利により3大メジャー(マスターズ、全米オープン、全英オープン)への出場権を獲得。
さらに、「全英アマチュア選手権」と「全米アマ」にも招待されることになった。
なお、2位のオマール・モラレスは、2024年の「全英オープン」と「全米オープン」への最終予選に出場する資格を獲得した。

次回の第10回「LAAC」は、2025年1月16日~19日まで、アルゼンチン・ブエノスアイレスにあるピラーゴルフで開催される。
そこは、2015年にチリのマティアス・ドミンゲスが、第1回「LAAC」でチャンピオンとなった場所だ。

アンヘル・カブレラ
マスターズに出場なるか?

2009年「マスターズ」で優勝したアンヘル・カブレラ(アルゼンチン)。今年の「マスターズ」に出場なるか?!©GettyImages

2007年「全米オープン」で優勝し、2009年には「マスターズ」でも優勝したアンヘル・カブレラは、性暴力で懲役2年の有罪判決を受け、刑期を終えてPGAツアーとPGAツアーチャンピオンズに復帰した。

この54歳のアルゼンチン人は刑期を終えて、昨年8月に釈放され、年末にはアルゼンチンで開催された「オープン・デル・リトラル」に出場。
10位でフィニッシュし、センセーションをもたらしたのだった。

「マスターズ」の会長であるフレッド・リドリー氏は、カブレラが必要な渡航ビザを取得すれば出場できると述べている。
現時点では彼は米国入国を禁止されているため、「マスターズ」出場もそれ次第となるが、彼のマネージャーは、ビザ申請手続きを開始したことを認めた。
また、今年からPGAツアーやDPワールドツアーの試合に参加する意向を示している。

Text/Isabel Trillo Amores

イサベル・トリロ・アモーレス(スペイン)

PGA・オブ・スペインのコミュニケーションディレクター。80年代後半からゴルフ取材を始め、その数は世界250試合以上。ゴルフのラジオ番組も手がける。

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