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【世界のゴルフ通信】From Middle East 強豪が中東で勝利!マスターズでのグランドスラム達成に向けて視界良好のマキロイ

年明け早々好調なマキロイの今年の見通し

「ヒーロー・ドバイデザートクラシック」で、エイドリアン・メロンクに1打差で優勝した、ローリー・マキロイ。デビュー当時から、ドバイの地とはスポンサー契約で縁があり、欧州ツアー17勝のうち、ドバイの試合で優勝したのは6回。©GettyImages
父のジェリーさん(右)と母のロージーさん(左)に祝福されるマキロイ。「ドバイデザートクラシック」で4勝目を挙げた。©GettyImages

ローリー・マキロイの存在は、DPワールドツアーの中東で開催された4週間で、最大の話題だった。
世界ランキング2位の彼は、今年最初のロレックスシリーズイベントである、900万ドルの「ヒーロー・ドバイデザートクラシック」で見事に2連覇を達成。
同大会4勝目を飾った。
キャリア最大の年を迎える、最高のコンディションにあるようだ。

北アイルランドのスターは、PGAツアーのシグネチャーイベントである「ザ・セントリー」を欠場し、例年通り、中東でシーズンのスタートを切った。
ドバイは彼にとって、故郷よりも快適な場所であり、マキロイがプロ入り直後の4年間を過ごした場所である。
2009年の「デザートクラシック」で初勝利を挙げたが、その開催地のエミレーツGCだけでなく、シーズン最終戦の「DPワールドツアー選手権」の開催地・ジュメイラゴルフエステーツでも素晴らしい成績を残している。

ムービングサタデーで形勢逆転

「ドバイ・インビテーショナル(以下、ドバイ招待)」で2位タイに入ったマキロイは、翌週の「ヒーロー・ドバイデザートクラシック」では予選ラウンド2日間を、71、70というスコアで回り、招待選手のキャメロン・ヤングに10打差をつけられた。
だが、土曜日はまったく違った展開だった。

エミレーツGC・マジリスコースの難しいフロント9でスタートダッシュする必要があることを知っていたマキロイは、まるで日本の競走馬のようにゲートを猛スピードで飛び出した。
最初の10ホールで6アンダーを記録し、フリンジからのロングパットで18番ホールをイーグル締め。スコアメイクが困難な土曜日に、63という見事なスコアをマーク。
9つスコアを伸ばしたのだ。最終ラウンドを首位と2打差で迎えたマキロイは、通算14アンダーで2位と1打差で勝利。
メロンクは13アンダーの2位に。ヤングは、2打差の3位に終わった。

「素晴らしいシーズンのスタートだ。昨年もここで優勝して良いスタートを切れた。まだ取り組むべき小さな課題はあるが、素晴らしい数週間を送ることができた。たくさんのことを学び、試合で勝てたね」(マキロイ)

PGAツアーでのコース外での出来事よりも、自分のゴルフに集中することを決意したと述べ、彼の素晴らしい優勝記録に欠けている唯一のメジャー「マスターズ」に向けて、より多くの試合に出場するつもりだと付け加えた。

第2の故郷で2年ぶりに勝利したトミー・フリートウッド

2024年1月、ドバイ3連戦で始まる「インターナショナルスイング」シリーズの初戦「ドバイ招待」で優勝した、トミー・フリートウッド。©GettyImages

フリートウッドが地の利を活かして優勝

「ドバイデザートクラシック」の前週にドバイクリークゴルフ&ヨットクラブで開催された「ドバイ招待」でも、マキロイの優勝の可能性はあった。
しかし、マキロイは最終ラウンドで2度、池ポチャしてボギーに。2位に終わった。
そして優勝したのは、トミー・フリートウッド。
彼は、最終日の上がり2ホールでバーディを奪い、19アンダーで、2022年「ネッドバンク・ゴルフチャレンジ」以来の勝利を飾ったのだった。

フリートウッドは、ハワイ・マウイ島で開催された「ザ・セントリー」に出場し、その後すぐに、自宅もあるドバイへ戻ったが、時差ボケをほとんど感じさせない勝利で、世界ゴルフランク11位に浮上。
昨年は1年を通して非常に手堅いプレーを見せ、2位2回を含むトップ10入り10回と、好成績を残していた彼だが、「とても幸せだ。勝つことは、素晴らしい。素晴らしい人々と一緒に、ゴルフに取り組んでおり、勝とうが負けようが、私たちは前進し続け、正しい方向に進み続けるだけだ」と語った。

13年ぶりに開催されたバーレーンで復活優勝したフリッテリ

「バーレーン選手権」で優勝し、6年ぶりの欧州ツアーVとなったディラン・フリッテリ。©GettyImages

最近ドバイに居住地を移した、デンマークのトービヨン・オルセンもまた、中東の地で優勝した選手の1人だ。
U・A・Eで開催された「ラス・アル・カイマ選手権」で優勝を飾っている。
また、その翌週のバーレーンで優勝したのは、南アフリカのディラン・フリッテリだ。
13年ぶりにバーレーンで開催された「バーレーン選手権」で優勝した。

彼は、昨シーズンのPGAツアー「フェデックスカップ・ポイントリスト」で126位から200位の間でフィニッシュし、シード権を失ったPGAツアー選手を受け入れるために今年設けられた、特別カテゴリー5人のうちの1人である。
DPワールドツアーが上位10人をPGAツアーに送り出し、その代わりにPGAツアーの下位5人を取ることに対する批判は多かったが、フリッテリはそのパスウェイをうまく利用した。

彼は2023年、PGAツアーで28試合中、予選落ち23回と、苦しいシーズンを過ごしたが、バーレーンのロイヤルGCでは通算13アンダーで、同胞のザンダー・ロンバードとスウェーデンのイェスパー・スベンソンに2打差をつけて優勝した。

「去年はアメリカでかなり厳しい年だったが、こうして今、頂点に戻ることができて嬉しい。去年、実を言うと、ゴルフを諦めようと思った時期もあった」と告白。
彼は、世界ランキングで434位まで落ちていたが、今回の勝利で191位に浮上した。 

Text/Joy Chakravarty

ジョイ・チャクラバルティ
(アラブ首長国連邦)

ドバイを拠点に25年以上に渡り世界中でゴルフ取材を続けている。

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