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【世界のゴルフ通信】From Asia 世界の男女ツアーがアジアに集結!7000ヤード以下の2コースでLIVゴルフがアジアンツアーを開催

アジアでは、昨年開催された「シンガポール」に続き、3試合目となった「LIVゴルフ・香港」。大勢のギャラリーがLIVゴルフを見ようと詰めかけた。©LIV GOLF
香港ゴルフクラブは、1889年にオープンした名門プライベートコース。月~金曜日は、ビジターもプレー可能。©LIV GOLF
「LIVゴルフ・香港」で優勝したエイブラハム・アンサー(メキシコ)。©LIV GOLF

道具の進化とスコアアップは比例しない

テクノロジーがゴルフに恩恵をもたらしていることに異論を唱える人はいないだろう。
クラブやボールの画期的な進化のおかげで、我々はかつてないほど遠くまで飛ばすことができるようになった。
それにもかかわらず、私たちのほとんどにとって、ゴルフは依然として非常に難しく、フラストレーションを覚える。
実際、常に100切りできるほどの腕前のゴルファーは、ごく一部だと考えてほしい。
そのため、多くのアマチュアは、プロゴルファーに畏敬の念を抱く。
プロはたとえ調子が多少悪くても、パーか、アンダーパーを出すのが当たり前だからだ。
コースは長く、フェアウェイは狭く、バンカーやウォーターハザードの数が増えたとしても、プロゴルフツアーの平均スコアは上がり続けている。

飛距離を制限する競技用ボールを導入する可能性と合理性について議論が沸騰する中、アジア地域で最近行なわれたトップレベルの2試合を前に、ゴルフの健全性を維持し、素晴らしいコースが廃れないようにすることが再び議題となった。

短いコースだからといって飛ばし屋が勝つとは限らない

プレーオフの末、敗れたLIVゴルファーのデビッド・プイグ。3位にルーカス・ハーバート、4位にパトリック・リードとLIVゴルファーが続いた。©Asian Tour
「インターナショナルシリーズ・マカオ」で優勝したジョン・キャトリン(アメリカ)。3ラウンド目にアジアンツアー初の59をマークした。©Asian Tour

LIVゴルフが香港ゴルフクラブでデビューした1週間後、アジアンツアーの「インターナショナルシリーズ」第2戦がマカオゴルフ&カントリークラブで開催された。
現代の基準では、両コースとも比較的距離が短く、香港・ファンリング(粉嶺)のコースは6710ヤード、マカオのレイアウトは、わずか6637ヤード。
両トーナメントは、パー70で開催された。

昨年の「グリーンブライヤー大会」第3ラウンドでブライソン・デシャンボーが58。
今年2月の「マヤコバ大会」第1ラウンドでホアキン・ニーマンが59を記録したことを受けて、多くの人が待望のLIVゴルフ香港デビュー戦で少なくとも1回は60未満のスコアが出るだろうと予想していた。
そのため、ジョン・ラーム、ブルックス・ケプカ、キャメロン・スミス、ダスティン・ジョンソンなどのスターたちが多く出場する今大会で、この壮大で古いレイアウトが、極端に難しい天候条件でないなら、簡単に好スコアが出てしまうのではないか、と懸念があったのも無理はない。

だが結局のところ、飛ばし屋ではないメキシコのエイブラハム・アンサーが、キャメロン・スミスやポール・ケーシーとのプレーオフの1ホール目でバーディを奪い、LIVゴルフ個人戦で初優勝を飾った。

その1週間後、旧ポルトガル領マカオで、ジョン・キャトリン(アメリカ)が優勝した時も、ドラマは同様に強烈だった。
第3ラウンド。キャトリンは、18番・パー5で左から右に曲がる約6メートルのイーグルパットを沈め、ノーボギーの11アンダー、59の爆発的な成績を収めた。
穏やかなコンディションとプリファードライの恩恵を受け、キャトリンはアジアツアー史上初の60未満のスコアを達成。以前には、3人の選手が60を記録しており、予選会とアジア下部ツアーの両方で59が1度記録されている。

「信じられない!言葉が出ないよ」と、翌日にはアジアンツアー5勝目を挙げたキャトリンは感極まった様子。
この日は「IRSプリマ・マレーシアオープン」で優勝したデビッド・プイグをプレーオフで下した。

アジアなのに欧州、米国のツアーが侵入

年初から優れた選手たちのパフォーマンスを見るのは喜ばしいことだ。
しかし、アジアのプロゴルフシーン全体が順調で健全であると主張するのは的外れだ。

5月の第1週までに、アジアンツアーは今年6試合を開催している。「マレーシアオープン」、「インターナショナルシリーズ・オマーン」、「ニュージーランドオープン」、「インターナショナルシリーズ・マカオ」、「サウジオープン(PIF主催)」、そして韓国の「カルテックス・メキュンオープン」だ。

一方、LIVゴルフは香港だけでなく、5月の第1週にはシンガポールでも開催した。
また、LPGAツアーとDPワールドツアーもすでに「アジアンスイング」を開催しているのだ。

2月下旬から3月初旬まで、LPGAのスター達はパタヤ(ホンダLPGAタイランド)、シンガポール(HSBC女子世界選手権)、中国(ブルーベイLPGA)で戦った。
それが終わると、今度はDPワールドツアーだ。
3月21日~5月5日までの7週間にわたり、「ポルシェ・シンガポールクラシック」、「ヒーロー・インディアンオープン」、「韓国選手権」、「ISPSハンダ選手権(日本)」、「ボルボ中国オープン」という5試合からなる「アジアンスイング」を展開。
それだけではなく、DPワールドツアーの下部ツアー「チャレンジツアー」も、3月にインドで2試合、4月にはアブダビで2試合を開催したのだった。

これらを考えると、5月2日~5日にシンガポール(LIVゴルフリーグ)、深圳(DPワールドツアーの「ボルボ中国オープン」)、ソウル(アジアンツアーの「カルテックス・メキュンオープン」)、名古屋(日本ゴルフツアーの「中日クラウンズ」)で男子プロの試合が同時に4試合、アジアで行なわれることが、ゴルフにとっていいことなのかという疑問が生じる。
欧米のゴルフツアーがゴルフの発展と成長に貢献していると主張しているが、結局のところ、他の全て(アジアのツアー)を犠牲にして、自分たちの利益だけを守っているに過ぎないとも言えるだろう。

Text/Spencer Robinson

スペンサー・ ロビンソン
(シンガポール)

ゴルフライター、ブロードキャスターとしてシンガポールを拠点に活動。

アジアゴルフインダストリーフェデレーションの最高コミュニケーション責任者。

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