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【ゴルフ上達のメンタル法】vol.20「もったいないミスを防ぐための賢い禅ゴルフ的アプローチ法」

ゴルファーのバイブル『禅ゴルフ』のジョー・ペアレントが『ゴルフ・グローバル』の読者のために特別寄稿!

スコアアップしたい人は、ショットの練習よりもグリーンへのアプローチ法を見直そう!

ティーショット、2打目までは順調に来たものの、グリーン周りで大叩きして、ダボ、トリプルというのが一番悔しいパターンだろう。
そんなもったいないミスを防ぐための賢い禅ゴルフ的アプローチ法を伝授。
考え方一つで、劇的なスコアアップは可能だ。

Joe Parent
(ジョー・ペアレント)

過去、ビジェイ・シン、デビッド・トムズ、クリスティ・カーら男女有名米ツアー選手のメンタル面をコーチ。著作にベストセラー『禅ゴルフーメンタル・ゲームをマスターする法』などがある。米国『ゴルフ・ダイジェスト』誌で世界のトップ10に入るメンタルゲーム専門家に選ばれ、何千人ものあらゆるレベルのゴルファーを指導。公式HPは、drjoeparent.com

どこに外すかではなく、「どこにボールを運べば、安全にカップに寄せられるのか?」を考えよう

Illustration/Masaya Yasugahira

ホブランが躍進した理由

ビクトル・ホブランは、ゴルフにおいてすでに最高の選手の一人だったが、非常に短期間にさらに良くなる方法を見つけ出した。
どのようにして自分のゲームのレベルを急速に引き上げたかを尋ねられた時、ホブランはそれが彼のスイングとは何の関係もないことを説明。
ターゲットを選択する方法だったことを明かした。

  「僕は以前、コースのあちこちでダブルボギーを叩き、試合を台無しにすることがあった。何か足りないところがあったし、何かがちょっと違っていたんだ。ポーカー用語で言えば、MDF(最小防御頻度)が少しズレていたんだ。ある一定の割合でレイズ、チェックすべき、あるいはブラフすべきだったのに」

  「ゴルフに関して言えば基本的に、ボールをショートサイドに残せば、ある程度のリスクを負わなければならない。しかし、僕は平均的なPGAツアープレーヤーよりもはるかに多く、ショートサイドに球を置いていた。そのことが、はっきりわかったんだよ」

コースマネージメントのための「より良い方法」

「BMW選手権」「ツアー選手権」の2連勝を含む、2023年のビクトル・ホブランの3勝に貢献した、ショットを管理するためのクラブ、ショットの種類、ターゲットの選び方を見ていこう。
これらは、私がコースマネージメントのための「より良い方法」と呼んでいるものだ。

まず、グリーンへのアプローチショットに焦点を当ててみよう。
多くのプロは「どこに外すか」について話をするが、私はその言葉が好きではない。
誰だって、 ミスすることを想定したいとは思わないだろう。
だから、ミスすることについて考える代わりに、ボールが狙い通りにターゲットに行かなかった場合、どこに行くのがより良いかについて考えてみよう。

「より良い方法」とは、「もし思い通りの場所に行かなかったら、どこに行くのがより良いか?」とショットごとに自問するだけだ。
実際には「距離」と「方向」の両方について自問する必要がある。

オーバーした方がいいか、ショートの方がいいか?

まずは、「オーバーした方がいいか?それともショートした方がいいか?」という問題だ。
実際には答えは3つある。
オーバー、ショート、またはどちらでもいい、の3つだ。
もしグリーンの前方にバンカーや池などのハザードがあり、ピンがグリーンの手前にある場合は、ボールを安全にグリーンに乗せられる大きめの番手を選択しよう。
もしピンがグリーンの奥にあり、グリーン奥にハザードがある場合は、どれだけうまく打てたとしても、ボールがピンを越えないクラブを選択すること。
もしグリーン前後にハザードがなく、グリーンが比較的フラットであれば、オーバーしようがショートしようが、大した問題ではない。
しかし、下りのパットよりも上りのパットを残した方が、たいていはベター。
ほとんどのグリーンは奥から手前に向かって傾斜しているので、通常はボールをカップ手前に残しておく方が良いだろう。
そうすれば上りのパットを打つことができる。

もし、中途半端な距離のアプローチが残っている場合、どのクラブを選択すべきかの決断は、簡単だ。
それは、オーバーした方がいいか、ショートした方がいいかにかかっている。
だが、どっちでもいい場合、どのクラブを使用すべきだろうか?
その場合は、各クラブを手に取り、ボールを打つつもりでセットアップして、どれだけしっくり感じられるかを確認しよう。
ほとんどの場合、2本のクラブのうちのいずれかは、しっくり感じられるだろうから、そのクラブを選択すること。
短いクラブでプラスアルファの距離を打とうとしたり、長いクラブで短く距離をコントロールしようとしないこと。
なぜなら、オーバー目に打つか、ショート目に打つかはすでに決めたからだ。

狙いは左サイドか、右サイドか?

2つ目に、「左サイドを狙うのと、右サイドを狙うのとでは、どちらがいいか?」ということだ。
これもまた答えが3つあり、左、右、またはどちらでもいい、である。

ビクトル・ホブランが気づいたように、グリーン上の広い側からパットする方が、ショートサイドのグリーンの外からショットするよりも簡単だ。
だから、もしピンがグリーンの片側近くにあり、近くにハザードがある場合は、ハザードから十分に離れた場所を狙おう。
そうすれば、ナイスショットが打てなくても、ハザードに入れて大叩きすることはない。

もしグリーンの両サイドにハザードがなく、ピンが真ん中辺りにある場合は、ショットがカップのどちら側につくかは問題ではない。
その場合は、その距離で最も使いやすいクラブを選択し、左か右かは気にせずに、ピンを直接狙っていこう。

「より良い方法」マネージメントはショット全体に活用でき、スコアアップ間違いなし!

昨年、「フェデックスカップ」総合優勝を果たしたビクトル・ホブランは、ショートゲームを改善し、劇的な成功を収めた。©GettyImages
グリーン周りの池やバンカーの位置などを確認した上で、どこにボールを運べば安全に寄せられるのか、そのためにはどのクラブを使えばいいのかを考えること。

ターゲットをどこにするか?

ターゲットを選択する時、ゴルフではスポットを狙うが、エリアに向かってプレーする、というシンプルな原則を覚えておいてほしい。
したがって、ターゲット、つまり着地点を選択する際には、必ず余裕を持たせてほしい。
余裕があればあるほど、安心してスイングができるのだ。

着地点は、練習場で良いスイングをしたと感じた時に、ボールが着地する分散パターンから設定しよう。
何球も打ち、良いスイングだった時のボールだけ、着地するエリアをメモしておくのだ。
ターゲットから左または右に何ヤード離れているのか、ショートかオーバーかも書き留めておくこと。
これについては、練習場でピンを狙って打つ際に、お気に入りのウェッジから、グリーンに寄せる際に使用するハイブリッドクラブまで、全てのクラブを使って同じことをメモすること。
これが自分の分散パターンを学ぶ方法である。

ショートゲーム

  「より良い方法」は、グリーン周りのショットにも同様に効果的だ。
バンカー越えのショットを打つ場合、バンカーに入る方がいいか、それともピンを過ぎてもグリーンに乗せる方がいいか?その答えは非常に簡単だ。
したがって、ボールがピンを通り越してオーバーするとしても、バンカーを越えられる十分大きなスイングをしよう。

もしバンカーに入ってしまった場合、バンカーから脱出してピンを通り過ぎる方がいいか、それとも脱出できないままの方がいいか?
これもまた、答えはかなり簡単だ。
したがって、仮にロングパットが残ったとしても、バンカーから確実に脱出するために十分大きなスイングをすることが大切だ。

オールラウンドに使えるコースマネージメント

この「より良い方法」を利用して、ティーからグリーンまでの全てのショットを計画し、プレーに最大限の余裕を持たせることを忘れないように。
そうすれば、次のショットはほぼ常にコース上の適切な場所からプレーできるようになり、もっと自信を持って思い通りにスイングできるようになるだろう。

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