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【全米女子オープン】女子ゴルファー世界一決定戦で、日本人が1、2フィニッシュの快挙! 笹生優花「全米女子オー プン」 2勝目は日本人の父のために…

2024年5月30日〜6月2日/Lancaster Country Club(ペンシルバニア州)/6629ヤード・パー70

優勝
Yuka Saso

笹生優花(フリー)
2001年6月20日生まれ。166cm、63kg。日本人の父、フィリピン人の母を持ち、フィリピンで生まれ、日本国籍を持つ。「全米女子オープン」2勝(2021年、2024年)、日本女子ツアー2勝。前回の「東京五輪」ではフィリピン代表。今年の「パリ五輪」では日本代表として出場する。
「全米女子オープン」のトロフィーには、2021年と今年の2回、Yuka Sasoの名前が刻まれた。©USGA
常に笹生の転戦に帯同し、サポートしている父、正和さん(右)と。©USGA

今年の6月初旬に行なわれた「全米女子オープン」では笹生優花が優勝、渋野日向子が2位に入り、早朝から日本のゴルフファンを大いに沸かせた。
笹生は自身2回目の同大会優勝となるが、今回の優勝は前回とは違う。
日本国籍を選んだ彼女が、日本人の父に捧げたものだった。

笹生優花が優勝、2位に渋野日向子、と日本勢がリーダーボードの頂点に!

笹生のダイナミックで美しい、パワフルスイングの土台は、父・正和さんと幼少の頃からのトレーニングで培ったもの。憧れのローリー・マキロイのスイングを手本にしてきたという。©USGA
最終日は小祝さくら(中央)と、最終組の2つ前でプレーしていた笹生(左)。小祝は9位タイで終了。©USGA
米女子ツアーメンバーの古江彩佳は、通算2オーバーで6位タイに入った。©USGA
最終組の1つ前を、タイのウィチャニー・ミーチャイとプレーしていた渋野日向子(右)は、笹生と3打差の2位に。©USGA

4年間で2国籍のもと優勝に輝いた笹生優花

世界のトッププロ、トップアマが集結し、世界一の女子ゴルファーの称号を競う「全米女子オープン」で、笹生優花が3年ぶり2度目の勝利を飾った。
しかも、1度目の2021年はフィリピン国籍(母はフィリピン人)で、今回は日本国籍(父は日本人)と、異なる国籍で優勝した初めての選手となったのだ。
とはいえ、日本勢のメジャー複数回優勝は、男女を通じて初である。
今回の優勝で笹生は、240万ドル(約3億8000万円)の優勝賞金と、今後10年間の「全米女子オープン」出場権、今後5年間の海外メジャー(シェブロン選手権、KPMG全米女子プロ、AIG全英女子オープン、アムンディ・エビアン選手権)の出場権などを獲得している。

「2021年にフィリピンを代表して優勝した時、母に恩返しができたと感じました。今年は日本を代表して、父に恩返しができたと感じています。両親に同じ方法で恩返しでき、とても素晴らしい気分です」と表彰式で語り、感極まって涙を流した。

2021年に優勝した時は、笹生はまだ19歳で、日本とフィリピンの2重国籍だった。
しかし、日本の国籍法で22歳までに日本かフィリピンかのどちらかを選ばなければならなかったため、2021年の「東京五輪」にはフィリピン代表として出場し、それが終わった段階で日本国籍を選んで、2022年から日本人として試合に出場している。

笹生と渋野の2人だけがアンダーパーを記録

3日目を終えて首位タイに立っていた豪州のミンジー・リーとタイのウィチャニー・ミーチャイは、最終日にスコアを大きく崩し、ともに優勝争いから脱落。
一方、笹生は6番ホールでダボを叩いたものの、バック9で勢いに乗り、4バーディ、1ボギーの32をマークした(パー35)。
17番ではボギーを叩き、18番も2打目でグリーンを外したが、3打目でピンそばにしっかり寄せてパーセーブ。
すぐ後ろの組で回っていた渋野日向子が、笹生がパーでホールアウトしたのを、2打目地点から見届けて、笑顔で拍手を送っていたのが印象的だった。

最終的に笹生は4アンダー、渋野は1アンダーで日本勢が1、2フィニッシュ。
世界ランク1位のネリー・コルダや、今季限りで引退を表明したレキシー・トンプソン、リディア・コー、ローズ・チャンら強豪が予選落ちする中、アンダーパーで残ったのは日本人2人だけだった。

渋野は大会を振り返り、「今シーズンはあまり調子が良くなかったが、その中でなぜこんなにいい成績を残せたのか。しかし、最後まで勝ちたい気持ちがあったので、この経験はもっといい成績が出せる可能性があるという大きな教訓となった」と語った。
また今回、日本勢5人がトップ10入りを果たしたが、「ここのグリーンは日本のグリーンと似ている部分があるかもしれない。それがその理由の1つかも」と渋野は分析している。

最終成績

優勝笹生優花−4
2位渋野日向子−1
3位アリー・ エウィング
アンドレア・リー
E
5位アルピチャヤ・ユボイ+1
6位古江彩佳
アタヤ・ティティクル
ウィチャニー・ミーチャイ
+2
9位竹田麗央
小祝さくら
ミンジー・リー
+3
12位山下美夢有+4
16位ハナ・グリーン+5
19位岩井千怜+6
36位尾関彩美悠+10
39位西村優菜
河本 結
+11
44位畑岡奈紗+12
51位吉田優利+13
67位鈴木 愛+15
74位岩井明愛+21

予選落ち/櫻井心那、西郷真央、ネリー・コルダ、藤田さいき、レキシー・トンプソン、稲見萌寧、神谷そら、木村彩子、仁井優花

ISPSアンバサダー
プロ入り14年目のレキシー・トンプソン 今季限りで引退を表明!

15歳でプロ入りしたレキシー・トンプソン。デビュー当時から270ヤード以上の飛距離が持ち味だった。©USGA
サインや写真撮影など、ファンサービスに熱心なトンプソン。ファンへの接し方は、憧れのナンシー・ロペスの姿に学んだという。©USGA

12歳で「全米女子オープン」デビューを飾り、2010年にわずか15歳で異例のプロ入りを果たしたレキシー・トンプソンが、今季限りで引退すると「全米女子オープン」開始前に発表した。
2014年「クラフトナビスコ選手権」でのメジャー1勝を含む、LPGAツアー11勝、欧州女子ツアー1勝、日本女子ツアー1勝などを挙げたツアー屈指の飛ばし屋は、今年で29歳。
5歳からゴルフを始め、7歳から試合に出場していたというゴルフ漬けの人生を送ってきたが、ゴルフ以外の人生を、そろそろ味わいたくなったようだ。

「14年間プレーしてきたが、過去数年の間に引退を何度も考えた。ただ、自分の人生で、今が潮時だなと感じた」

「フィットネスが好きなので、今後はレキシーフィットネスアプリを早く立ち上げたい。いつか家族を持ちたいし、すべての瞬間を大切にしたい。今まではゴルフしか知らない人生を歩んできたから、他のことを楽しめるのは素晴らしいこと」と語った。
ただし、フル参戦はしないものの、来年以降もスポット参戦で試合に出る可能性はあるようだ。

Text/Eiko Oizumi Photo/USGA

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