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【世界のゴルフ通信】From Middle East ドバイ生まれのスター誕生! サウジアラビア、アラブ首長国連邦……とプロゴルファーが次々に誕生している中東

昨年プロ入りした、サウジアラビアの2人の若手プロ。左がファイサル・サルハブ、左から2番目がサウド・アルシャリフ。右の2人はアマチュア。現在、サウジアラビアには左写真のアルムラを含め、3人のプロがいる。©Eiko Oizumi
サウジアラビア初のプロゴルファー、オスマン・アルムラ。©Eiko Oizumi
アラブ首長国連邦初のプロ、アハメド・アル・ムシャレク。写真は、今年の4月に開催された「アブダビチャレンジ」に出場したムシャレク。©GettyImages
ドバイ生まれのインド人プロ、レイハン・トーマス。©GettyImages

世界基準のゴルフ環境が整う中東で足りないもの

1988年に最初の芝のコース(エミレーツゴルフクラブのマジリスコース)が建設されて以来、ゴルフは中東では非常に新しいスポーツだ。
しかし、その後わずか36年の間に飛躍的な成長を遂げ、乾燥した砂漠の風景の中にいくつもの美しいゴルフ場が点在するようになった。
現在、中東のゴルフインフラは、世界クラスであり、各ゴルフ場は豪華さと質の新たな基準を設定している。
そして大規模な大会を開催するために多額の資金が投入されており、これによって多くの視線がこの地域に集まり、スター選手がプレーするゴルフ場で、自分達もプレーしたいと考える何千人ものゴルファーがドバイ、アブダビ、ジェッダ、ドーハなどにやってくるのだ。

このような中で唯一欠けていたのが「自国育ちの」才能の持ち主だった。
地元のアラブ人はゴルフの受け入れが遅く、主にサッカーやモータースポーツを好んできた。
実際、中東のゴルフの成長を支えてきたのは、好調な経済に伴い増加し続ける駐在員たちだ。

だが、状況は徐々に変わりつつある。
アハメド・アル・ムシャレクは、数年前にプロ転向した、初のアラブ首長国連邦の選手となり、サウジアラビアでも、オスマン・アルムラ、サウド・アルシャリフ、ファイサル・サルハブという3人のプロが登場。
大会や施設、ゴルフの発展に、資金を投入し続けている。

ドバイ生まれの才能溢れる若手プロ誕生

しかし、国際舞台に立つ最初の真の「自国出身」の才能は、ドバイ生まれのインド人、レイハン・トーマスかもしれない。
現在24歳の彼は、米国オクラホマ州立大学(「ゴルフの学校」として知られ、NCAAディビジョン1の中の強豪校の1つ)で5年間を過ごした後、プロに転向することを決意した。

トーマスは、2000年代後半にエミレーツゴルフ連盟(EGF)が初めてジュニア育成プログラムを立ち上げた時にゴルフを始めた。
ゴルフに夢中になった彼は、もう後ろを振り返ることはなかった。

ジュニア時代およびアマチュア時代初期に、トーマスは事実上無敵だった。
ブッチ・ハーモン・スクール・オブ・ゴルフでは、ジャスティン・パーソンズに師事。彼はMENAツアー(公式世界ゴルフランキングに認定された中東・アフリカ地域のプロツアー)で優勝した最年少選手およびアマチュアの1人となった。

2017年にドバイクリークで行なわれたMENAツアーイベントで、「全英オープン」チャンピオンのダレン・クラークとともにプレーした際、トーマスは9連続バーディを達成し、2009年の「RBCカナディアンオープン」でアメリカのマーク・カルカべッキアが樹立した世界記録に並んだのだ。
その後、2018年の「アジアパシフィックアマチュア選手権」では、金谷拓実、中島啓太と壮絶な戦いを繰り広げ、中島と並び、2位タイでフィニッシュ。
また「全米ジュニア選手権」では準決勝に進出した。

大学ゴルフ部時代は、トーマスにとって順調ではなかった。
彼はまず数か月間、ドライバーのイップスに悩まされ、その後いくつかの怪我に苦しんだのだ。
昨年も、左手のひらを骨折しながらプレー。
その治療のために、手術を受ける必要があった。
そして驚くべきことに、トーマスは手術した週に初の大学タイトル「グリア・ジョーンズ・ショッカー招待」を獲得。
ラウンド中に鎮痛剤を服用しながらプレーしていたのだ。

「グリア・ジョーンズ」での勝利により、彼はコーンフェリー・ツアーの「カンザス・ウィチタオープン」(6月13~16日)への出場権を獲得。
また、PGAツアーアメリカズの予選会にも挑戦し、9位タイに入ったが、惜しくも予選落ちを喫し、出場権を逃した。

「長い旅だったように感じるが、子供の時、ゴルフの練習に多くの時間を費やしてきた中で、常に楽しみにしていた瞬間だ」とトーマスは述べた。

「プロゴルファーになることをとても楽しみにしているが、多くのことを整理する必要がある。米国でプロのキャリアを築きたいと考えているが、アジアンツアーのQスクールにも挑戦する予定だ」

「タクミとケイタは良い友人だが、彼らがプロゴルファーになるまでの道のりを容易にするために、日本ゴルフ協会が注いだ多大なる努力を本当に称賛している。私は同様の支援を受けていないので、今後、苦労するだろう」

トーマスはインド国籍でプレーを続けているが、ドバイと中東は彼の心に非常に近い存在だ。

「私は今でもドバイの住民であり、両親もまだそこに住んでいる。そして、それは私の心に非常に近い場所です。エミレーツゴルフ連盟や地元のクラブから多くの支援を受けている」と、「ドバイ・デザートクラシック」や「アブダビHSBCチャンピオンズ」のようなDPワールドツアーの試合に出場したトーマスは語った。

「もしドバイに住んでいなかったら、今の自分がスポーツで達成した全てを実現できたかどうかはわからない」

Text/Joy Chakravarty

ジョイ・チャクラバルティ
(アラブ首長国連邦)

ドバイを拠点に25年以上に渡り世界中でゴルフ取材を続けている。

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