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【世界のゴルフ通信】From Korea 欧州女子ツアーが韓国初上陸!アラムコ・チームシリーズ韓国を開催しサウジとの経済協力も期待

欧州女子ツアーと、サウジアラビア政府系ファンドPIFとの共催で、5月中旬に韓国で行なわれた「アラムコ・チームシリーズ」。米LPGAツアーメンバーのキム・ヒョージュが優勝した。

韓国初の「アラムコ・チームシリーズ」開催。コロンが協賛

5月上旬に、欧州女子ツアー(LET)はサウジアラビア資本と連携して、初めて韓国に上陸した。
サウジアラビアの公共投資基金(PIF)が主催する「アラムコ・チームシリーズ韓国」は、5月10日~12日にかけて韓国の京畿道にあるニューコリアカントリークラブで開催された。
この大会は、韓国のコングロマリット企業のコロンが協賛。
「韓国オープン」は韓国ゴルフ協会(KGA)とアジアンツアーによって共催されているが、これも毎年コロンがスポンサーを務めている。

さて、なぜコロンは「アラムコ・チームシリーズ」の協賛をするのか?
それは、韓国とサウジアラビアの経済協力にある。
昨年11月、コロンの担当者は「『アラムコ・チームシリーズ』は、ゴルフとビジネスを融合させた新しいタイプのゴルフトーナメントであり、『砂漠のダボス会議』と呼ばれる未来投資イニシアチブと連携して開催される。
これにより、両国の企業が交流し、ビジネスを発展させる手助けとなるだろう」と述べた。
コロンとゴルフサウジは、韓国で3年間にわたりトーナメントを開催することに合意しており、後の2年間は任意である。

個人戦と団体戦で争われる「アラムコ・チームシリーズ」

大勢のギャラリーが「アラムコ・チームシリーズ」の観戦のためニューコリアCCに詰めかけた。

サウジのゴルフ資本が韓国に来たのは、これが初めてではない。
2022年8月に済州島で開催された「インターナショナルシリーズ・韓国」が初めての試合だった。
「インターナショナルシリーズ」はアジアンツアー(男子)のイベントであり、サウジアラビアはこのシリーズとLIVゴルフの間で昇進構造を作り上げた。

今回、韓国で初開催となった「アラムコ・チームシリーズ」だが、大会の調整は、3月10日に米国フロリダ州のフェザーサウンドカントリークラブで開催された「アラムコ・チームシリーズ ・タンパ」(賞金100万ドル)で最終的に行なわれた。
コロンのトーナメントマネージャーとマネジメント会社の代表は、米国行きの飛行機に乗り込み、キム・ヒョージュ、ダニエル・カン、チャーリー・ハルなど、今大会に出場する選手のリクルートも開始。
その結果、出場選手は全部で144人となり、そのうちプロゴルファーは108人、アマチュアは36人となった。

競技は、団体戦と個人戦が行なわれ、最初の2ラウンドで団体優勝が決定し、最終ラウンドで個人優勝が決定する。
選手たちは36チームに分かれ、各チームのキャプテンは、世界ランキング上位の選手が務めた。
各チームのキャプテンは、トーナメント前のドラフトで1人のプロゴルファーを選び、残りのプロゴルファー1人とアマチュアゴルファー1人は自動的に割り当てられるというものだ(つまり1組にプロ3人、アマチュア1人という構成)。

サウジで生まれ育ち、ゴルフを始めたキム・ジョウン

サウジ育ちの韓国人、キム・ジョウンは、13オーバーを叩き、予選落ちを喫した。

大会前に記者会見が行なわれ、キム・ヒョージュ、ダニエル・カン、キム・ジョウンが出席。
キム・ジョウンはサウジアラビアでゴルフを始め、最近来韓。慶熙大学に入学したが、ゴルフに専念するために休学している。

「私はサウジアラビアで生まれ育ち、そこでゴルフを始めました。参加できて光栄です。(ダニエル)カンとキム(ヒョージュ)は私のお手本です」と語った。

団体戦は、ダニエル・カンのチームが優勝

チーム戦では、ダニエル・カン組が優勝。

5月10日、第1ラウンドが始まった。開催コースであるニューコリアCCは、メンバーコースであり、普段ビジターは入場できない。
このコースは28年間、秘密裏に運営され、大会の開幕と同時にお披露目された。
コロン社は、このコースを所有する企業の1つである。

初日からキム・ヒョージュは首位に立った。
彼女は4アンダー68をマーク。
団体戦では、ヨハンナ・グスタフソン組が13アンダーで首位に立った。
第2ラウンドは、雨でプレーが中断され、残りの試合は翌日の午前6時45分から最終ラウンドとして再開。
最終的に、カンが率いるチームが、23アンダーで団体戦優勝を果たした。
チームのアマチュアはコロンの李久峰(イ・キュウホウ)副会長だった。

「チームメイトがいいプレーをしてくれて嬉しい。本当に幸せ」とカンは優勝後に語った。カンは個人戦では、予選落ちしている。

個人戦はキム・ヒョージュが完全優勝

最終日は、アマチュアを除く上位61人のプロが個人タイトルをかけて戦った。
キムは3日連続で首位の座を譲らず、完全優勝を飾った。
通算10アンダーで、2位のチャーリー・ハル(通算7アンダー)に3打差をつけての勝利。
キムは自身初のLETトロフィーを手にし、表彰式後すぐに、ファンクラブの人々との写真撮影に追われていた。

「目標を達成できたので、満足のいく1週間だった。ファンクラブの皆さんが〝あなたの未来を応援しています〟とか、たくさんの言葉で応援してくれ、感謝している」と彼女は語った。

一方、キム・ジョウンは第2ラウンドを終えて97位となり、予選通過を果たすことはできなかった。

「後悔はたくさんあるけど、良い経験になった。1つ1つレベルアップしながら、成長していきたい」

また、サウジアラビアのゴルフ事情について聞かれると、「サウジアラビアでは現在、ゴルフブームです。若い人たちがゴルフに興味を持ち始めていて、以前は韓国人がほとんどだった練習場でも、サウジアラビア人の割合が増えている」と述べた。

「サウジアラビアでゴルフを始めた者として、地元の人々がこのスポーツに興味を持ち始めるのを見るのは嬉しい。もっと多くのサウジアラビア人がゴルフに興味を持ち、より一層熱心にボールを打つようになることを願っています」

キム・ジョウンの今後の夢は、LETと韓国女子プロゴルフ協会(KLPGA)のツアーに参加することだという。

「今年の終わりにLETのQスクールに挑戦する予定です。ツアーカードを取得し、競技に参加することが目標。機会があれば、将来的にはKLPGAツアーにも参加したいです」と語った。

「将来のツアー生活に備えて、身体能力とパフォーマンスの向上に努めています。今は成長のための準備期間。毎日、一生懸命にトレーニングし、練習しています」

Text/Donghoon Lee

イ・ドンフン

ソウル生まれのゴルフライター。アジュビジネスデイリー紙、ゴルフマガジン、ゴルフジャーナル(ともに韓国)などに寄稿。2021年韓国PGA感謝賞受賞。

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