銀メダル
トミー・フリートウッド(英国)
1991年1月19日生まれ。180cm、76kg。欧州ツアー7勝。2017年には欧州ツアーの年間王者に。今季は欧州ツアー「ドバイ招待」で優勝。「マスターズ」3位タイ。世界ランク11位。
金メダル
スコッティ・シェフラー(米国)
1996年6月21日生まれ。191cm、91kg。米ツアー13勝、メジャー2勝(2022年、2024年「マスターズ」)。世界ランク1位。2020年PGAツアー最優秀新人賞を獲得。今季は通算7勝を飾り、フェデックスカップ総合優勝。
銅メダル
松山英樹(日本)
1992年2月25日生まれ。181cm、90kg。国内ツアー8勝、米ツアー10勝。メジャーは2021年「マスターズ」で1勝。今季は「ジェネシス招待」と「フェデックス・セントジュード選手権」で2勝。フェデックスカップランク9位タイ、世界ランク7位。
自国を代表することの意味を、幼い頃から教わっていた
表彰台で涙を流した、シェフラーの五輪への特別な想い
前回の「東京五輪」とは異なり、1日3万人超という海外男子メジャー並みの観客を集めた「パリ五輪」。
自国への誇りだけを胸に、戦ったメダリストたちの熱い想いをお伝えしよう。
米国を代表することに誇り。
表彰台で感情を露わにしたシェフラー
「パリ五輪ゴルフ」でもやはりこの男が主役だった。世界ランク1位で、「五輪ゴルフ」初出場のスコッティ・シェフラーが、最終日に大逆転劇を演じて、米国に金メダルをもたらした。
3日目を終えてジョン・ラーム(スペイン)、ザンダー・シャウフェレ(米国)が14アンダーの首位に立ち、1打差の3位にトミー・フリートウッドという展開で迎えた最終日。
世界ランク1位のスコッティ・シェフラーが62という好スコアをマークし、通算19アンダーでホールアウト。
後続組のトミー・フリートウッドが、18アンダーで終了したことで、シェフラーの金メダルが決まった。
最終ラウンドで逆転し、金メダルを獲得した初の選手にもなった。
「五輪での戦いは、僕の人生の一部であり、とても一生懸命取り組んでいた。競技で戦うことが大好きだが、ここで戦えたこと、金メダルを獲得できたことを誇りに思う」
3日目のプレーが終わった時点で、トップ5にも入っていなかったシェフラーに対して、「今週の金メダルはないだろう」と多くの人は予想していた。
しかし最終日の彼は、世界王者らしくベストパフォーマンスを見せ、9バーディ、ノーボギーという圧巻のプレー。
終盤でジョン・ラームが大きくスコアを崩し、フリートウッドがスコアを伸ばしきれなかった中、大きくスコアを伸ばしたシェフラーが金メダルを獲得したのだ。
「オリンピックに参加できるのは、本当に特別なこと。ゴルフがオリンピック競技になったことは、私たちにとってとても楽しいことだ。最初のオリンピックの後、ゴルフ界で非常に高い位置を占めるようになったと思うし、今でもその価値は変わらないと思う。国を代表することは、非常に特別なことであり、それを誇りに思う」
シェフラーは小さい頃から両親に、国歌が流れる時は帽子をとって胸に手を当てるよう教えられ、アメリカ人であること、自由であること、そして自分の国を代表することの意味を教えられた。
そして今回、五輪で金メダルを獲得し、表彰台で国歌を聴き、一番高い位置に星条旗が掲揚されているのを見て、感極まり、涙を流した。
「もともと僕は感傷的な人間なんだ。マスターズで優勝した直後にも、実はトイレでかなり泣いたんだよ」
五輪ゴルフについて、ゴルフの五輪への復帰当初(リオ五輪)から、男子プロたちにはその価値を軽視されがちだったが、こうして世界ランク1位のシェフラーが全力で金メダルを獲りにいき、表彰台で涙を流したことで、五輪男子ゴルフの価値はさらに高まり、メジャー並みであることが証明されたと言っていいだろう。
シェフラー本人は、メジャーも五輪の金メダルもランク付けはしないと語っているが、高額賞金がなくても、フェデックスカップポイントが付かなくても、米国を代表することに誇りを抱き、素晴らしい選手たちと全力でメダル獲りの戦いに加われたことに大満足しているようだった。
「五輪ゴルフは、ゴルフ界でも非常に高い位置にある。世界最高のアスリートたちとこの舞台にいることは、非常に特別」
キャディのライン読みとメンタル面での後押し
特に、最終日のシェフラーの猛追に大きく貢献したのが、キャディのテッド・スコット氏の存在だ。
「4番~9番までバーディが取れず、いいパットを打っているのに入らなかった。そんな時、キャディのテディが我慢強くプレーすることを手助けしてくれ、グリーンの読みもうまくいった。テディはいつも、僕を正しい精神状態に導くのが得意。正しいことをしていると思っても、バーディを取れないのは非常にフラストレーションがたまるものだが、そんな時に、テディは我慢強くプレーするのを助けてくれたんだ。また、金曜日のバック9から、テディが全てのパットを読んでくれるようになった。以前もそうしていたが、今年はあまりやっていなかった。今回は、ライン読みが僕にとって難しかったから助かったよ」
ラウンド中、ラームが20アンダーに達したことは、リーダーボードで確認することができたが、自分自身がメダル圏内にいるのかどうかはわかっていなかったという。
ただ、できるだけバーディを取って、リーダーボードを駆け上がり、メダルを狙うということに集中していた。
そんな精神状態を保ってくれたのがスコット氏。彼は以前、ババ・ワトソンのキャディを務めていたことがあり、開催地のル・ゴルフ・ナショナルも「ライダーカップ」で経験済み。
彼の金メダル獲得への大きなアシストにつながった。
MEN’S GOLF 最終成績
金 | スコッティ・シェフラー(米国) | -19 |
銀 | トミー・フリートウッド(英国) | -18 |
銅 | 松山英樹(日本) | -17 |
4 | ビクトル・ペレス | -16 |
5 | ローリー・マキロイ ジョン・ラーム | -15 |
7 | ニコラス・ホイガード | -14 |
8 | トム・キム | -13 |
9 | コーリー・コナーズ ジェイソン・デイ ホアキン・ニーマン トーマス・デトリー ザンダー・シャウフェレ | -12 |
18 | ルドビグ・オーバーグ | -8 |
24 | コリン・モリカワ | -6 |
30 | ビクトル・ホブラン | -4 |
49 | 中島啓太 | +3 |