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【パリ五輪・女子】メダルスラム達成のリディア・コー!ついに金メダル獲得!

©IGF

銀メダル
エスター・ヘンゼライト(ドイツ)

1999年1月14日生まれ。173cm。米ツアーを主戦場とし、今年は「ISPS HANDAスコティッシュ女子オープン」2位、海外メジャーの「アムンディ・エビアン選手権」と「シェブロン選手権」7位などでトップ10入り。世界ランク30位。

金メダル
リディア・コー(ニュージーランド)

1997年4月24日生まれ。168cm。韓国・ソウルで誕生したが、6歳でニュージーランドに移住。米女子ツアー21勝、メジャー3勝。リオ五輪(銀メダル)、東京五輪(銅メダル)、パリ五輪(金メダル)と3大会連続でメダル獲得。世界ランク3位。

銅メダル
リン・シユ(中国)

1996年2月25日生まれ。167cm。2011年9月にプロ転向し、2014年からLPGAツアーに参戦。「リオ五輪」「東京五輪」と今回で3回目の五輪出場を達成。今季は「ファウンダーズカップ」4位タイ、「Danaオープン」5位タイ、「ドライブオン選手権」6位タイなどトップ10入り4回。世界ランク19位。

3大会連続でメダル獲り!
「メダルスラム」達成のリディア・コー

2016年「リオ五輪」での112年ぶりのゴルフ競技復活以来、2大会連続でメダルを獲得できた選手は、リディア・コーだけだった。
そして今回、大会前から彼女の「メダルスラム」の話題で持ちきりだったが、見事に期待に応え、金メダルを獲得。「LPGAゴルフ殿堂入り」も果たした。

3大会目で金メダルを獲得し、ニッコリのリディア・コー。©IGF
ローズ・チャン(米国)、モルガン・メトロー(スイス)と最終組でプレーしたリディア・コー(右)。ニュージーランドのナショナルカラーである黒のウェアで戦った。©Eiko Oizumi

人生で最も重要な18ホール

2016年「リオ五輪」、2021年「東京五輪」、そして今年、「パリ五輪」で3度目の五輪出場を果たしたリディア・コー。
過去2回、銀メダル、銅メダルを獲得してきたが、今回ついに金メダルを獲得し、金・銀・銅全てのメダルを手にする「メダルスラム」を達成。
これは男女通じて初の偉業であり、個人で複数回、メダルを獲得したのは、1900年、1904年に行なわれたゴルフ競技も含め、これまでのところ、リディア・コー一人である。
また彼女は、今回の金メダル獲得により、35人目の「LPGA殿堂入り」を果たした。

「実際にそうなるまでは現実味はありませんでしたが、それは私がずっと目指してきたこと。これまでの人生で最も重要な18ホールになるだろうとわかっていましたが、自分のゲームプランに忠実に、ティーショットで攻め続け、こうして金メダルを獲得できて本当に信じられないほど嬉しいです」

「自分の結末は、自分で書くんだ、とシモーネ・バイルズ(米国の体操選手・パリ五輪までに7個の金メダルを獲得)がドキュメンタリー番組で言っていたのを思い出し、それを自分に言い聞かせていました。今週の終わりを自分でコントロールしたいと思っていたんです。こんなふうに終われて、まさに夢が叶ったようなものです」

これが最後の五輪
引退は……?!

優勝後の記者会見の冒頭で、コーは次のように語った。

「皆さんの前で宣言しますが、これが私の最後のオリンピックです」

それを受けて米国人記者が「引退が迫っているのか?」と尋ねると、「まだ引退の具体的な日付は考えていない。今はただこの瞬間を楽しみたいですが、私のキャリアの終わりが近づいているのは確か」と語った。

彼女は現在27歳だが、これまでのゴルフ人生は、女子ゴルフの歴史を塗り替えるものだ。

2012年、アマチュア時代にLPGAツアー「CPKC女子オープン」で史上最年少優勝を飾り(15歳4か月2日)、翌年も連覇。
2015年には、17歳9か月8日で男女含めて史上最年少で世界ランク1位に立った。同年の「アムンディ・エビアン選手権」では、18歳4か月20日で史上最年少メジャー優勝を飾り、2016年「シェブロン選手権」でも優勝。
そして今年、「パリ五輪」で金メダルを獲得し、27歳3か月17日で史上最年少の「LPGA殿堂入り」を果たした。

この「LPGA殿堂」は、ポイント制で決定し、通算27ポイントを獲得しないとどんな偉業を達成しても、殿堂入りできないという厳しい条件がある。
「世界ゴルフ殿堂入り」を果たしても、この「LPGA殿堂入り」が果たせていない選手が多いことを見ても、いかに難しいかがわかるだろう。
ツアー優勝(1ポイント)やメジャー優勝(2ポイント)、ロレックス優秀選手賞(1ポイント)、シーズン中の最少平均スコア(1ポイント)、五輪金メダル(1ポイント)などを積み重ね、「パリ五輪」で金メダルを獲得したことで27ポイント目を達成できたコーは、殿堂入りも同時に決めた。

「もしかしたら殿堂入りできないかもしれない、と思っていたんですが、母と夫が『もし殿堂入りが実現しなくても大丈夫。もしできなかったとしても、あなたはすごいキャリアを持っているんだから、それで十分』と言ってくれました。その言葉を聞いて、殿堂入りできなくても、自分ができるだけのことはやったんだ、と感じたんです」

2023年は、あと2ポイントで殿堂入り、という大きなプレッシャーがかかり、なかなか優勝できずに苦しんだというコー。
今年の開幕戦「ヒルトン・グランド・バケーションズトーナメント・オブ・チャンピオンズ」で優勝し、26ポイントとしたが、27ポイント目を五輪の金メダルという形で達成し、次のように語った。

「まるで物語の神話的なキャラクターのような気分。ゴルフは私に多くのものを与えてくれたが、今回の金メダルは、それを上回るもの。これ以上望むことはない」

「これが、私の最後の五輪。金メダルを獲って、LPGA殿堂入りは最高」

ニュージーランド国歌を聴き、国旗掲揚を見ながら涙を流したリディア・コー。©IGF
リディア・コーの母国・ニュージーランド国旗が、3大会目でついに一番上に。©Eiko Oizumi
カナダのブルック・ヘンダーソン(左)と練習ラウンド中に記念撮影するリディア・コー。©Eiko Oizumi
最終日の16番ホール(パー3)で、ティーショットを池ポチャした山下美夢有。ドロップゾーンから打ち直し、痛恨のダブルボギーを叩いた。©Eiko Oizumi
2016年「リオ五輪」以降、初の欧州女子選手のメダル獲得となったE・ヘンゼライト。最終日に66をマークし、銀メダルを獲得した。©Eiko Oizumi

未来の女子ゴルフの発展とジュニアゴルファーの育成

女子ゴルフが「リオ五輪」で116年ぶりに五輪ゴルフに復活(男子ゴルフは112年ぶり)して以来、すべての五輪を見てきたコーは、五輪ゴルフの価値と、今後のゴルフ界に与える影響について、次のように語っている。

「私自身、3度の五輪で素晴らしい経験をしました。次回はチーム戦も取り入れられるという話もありますが、こうしたことが増えることで多くのジュニアゴルファーが五輪を目指すようになると思います」

リオで100年以上の時を経てゴルフが復活した時、これがメジャーのように感じるのか、全くわからなかったと言うが、女子ゴルフにとっては、これほど観客が集まる試合もないといい、「本当に最高だった」と振り返った。

WOMEN’S GOLF 最終成績

リディア・コー(ニュージーランド)-10
エスター・ヘンゼライト(ドイツ)-8
リン・シユ (中国)-7
4山下美夢有
ビアンカ・パグダンガナン
ハナ・グリーン
エイミー・ヤン
-6
8ウェイリン・シュー
ローズ・チャン
-5
10マヤ・スターク
イン・ルオニン
マリアホ・ウリベ
-4
22ミンジー・リー
ネリー・コルダ
-1
54笹生優花+17

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