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【PGAツアーレポート】2024年フェデックスカップチャンピオン、スコッティ・シェフラー総合優勝

賞金+ボーナスで約91億円を稼ぎ出した
スコッティ・シェフラー総合優勝

スコッティ・シェフラー(米国)
1996年6月21日生まれ。191cm、91kg。メジャーは2022年、2024年「マスターズ」で2勝。今季は「メモリアルトーナメント」「ツアー選手権」など7勝。今年の5月に第一子ベネットちゃん誕生。世界ランク1位。「パリ五輪」金メダリスト。©GettyImages

フォーマットに対する不満を切り替え、最善を尽くしたシェフラー

「パリ五輪」で金メダルを獲得し、「マスターズ」2勝目を含む、今季7勝を挙げたスコッティ・シェフラー。
フェデックスカップ・プレーオフ最終戦の「ツアー選手権」には、フェデックスカップランキング1位で入り、「目の前の1打に集中する」ことで4日間、60台のスコアをマーク。
最終的には2位のコリン・モリカワに4打差で「ツアー選手権」に優勝し、今年のフェデックスカップ総合優勝を飾った。  

世界ランク1位であり、シーズン中、フェデックスカップランキングで25週連続1位だったシェフラーが、最終戦で大波乱が起きることなく、総合チャンピオンに。
今年獲得した賞金総額と、総合優勝のボーナスなどを合わせると、なんと6222万8357ドル(約91億円)という破格の金額。最も活躍した彼の総合優勝は、誰もが納得の相応しい結末だった。

(注/フェデックスカップランクで25週連続1位は、歴代1位の最長記録。2位は、2008年のビジェイ・シンで4週。今年の「アーノルド・パーマー招待」以降、シェフラーは1位をキープした)

「とてもいい気分だね。この位置(総合優勝)に辿り着くまでに多くの努力を重ねてきたけど、今週は長い1週間だった。今はただとても疲れている。最終的にこのトロフィーを手にすることができて、本当に特別な気持ちだよ」

PGAツアーは、2007年に「フェデックスカップ」と呼ばれる年間ポイントレースがスタートして以来、最終戦の「ツアー選手権」をよりエキサイティングなものにしようと、何度もフォーマットを変えてきた。
そして、ここ数年は、最終戦に入る段階で1位の選手は10アンダーからスタート、2位の選手は8アンダーからスタート……というように、ストローク差をつけてスタートする「スタッガード」方式を採用している。
1年間戦い、7勝を飾っているシェフラーにしてみれば、最終戦で2位とたったの2打差、というハンデをもらってスタート、というのは、なんとも不条理な話だ。
本人も「バカげている。実際には一つのトーナメント(最終戦の『ツアー選手権』)で決まるわけで、シーズン全体のレースとは考えていない。仮にイーストレイク(最終戦のコース)で首の状態が悪化し、棄権したらフェデックスカップ30位になるのか?こんなの、シーズン全体のレースと言えないよ」とプレーオフ第1戦「フェデックス・セントジュード選手権」では不満を漏らしていた。
たしかに72ホールで、たった2打のハンデは、ほとんどないに等しいだろう。

しかし、その2週後の最終戦での大会前記者会見では「自分のプレーに集中して最善を尽くすつもり。バーディが多ければスコアも良くなる。ゴルフのゲームで不満を解決する最も簡単な方法は、より良いゴルフをすることだけ。これがゴルフで一番大事なことであり、最終的には十分に良いゴルフをすれば、全てがうまくいく。我々はスポンサーが望む形でプレーしなければならないんだ」と気持ちを切り替えていた。

シェフラーは、友人にハンデを与えてゴルフを楽しむ時ですら、「勝ちたい」と思う負けず嫌いな人間。
「たとえ、5ドルでも500ドルでも、自分の財布から他人にお金を渡したいとは思わないし、それは私の性分ではない。卓球であろうとなんだろうと、勝ちたいんだ」と言う。
そんな彼は、あっという間に逆転も可能なたった2打のハンデに内心不満を抱きながらも、「自分がバーディをたくさん取ればいいんだ」と考え直し、目の前の1打に集中して優勝を掴みとった。

「この1年間でほぼ一生分を生きたような気がする」

ストローク・ゲインド(以下SG)・ティー・トゥ・ グリーン1位、SGアプローチ・ザ・グリーン1位、パーオン率1位など、圧倒的なショット力で他の選手を凌駕するシェフラー。©GettyImages
3日目を終えて、2位のコリン・モリカワ(右)に5打差をつけていたシェフラー。最終日はモリカワがスコアを5つ伸ばし、4打差の2位で終えた。©GettyImages

今年のシェフラーの活躍は、全盛期のタイガー並み

「マスターズ」優勝に、ツアー7勝、「パリ五輪」金メダル獲得、子供の誕生、そして「全米プロ」での逮捕と、目まぐるしく様々な出来事が起きたシェフラーの1年間。
アダム・スコットは「(強豪がひしめき合い、誰が優勝するかわからない)今日では、誰かが際立った成績を挙げることは難しいが、スコッティはそれをやってのけている」と言い、彼の今年の活躍について、タイガー・ウッズの全盛期に匹敵すると語っている。
シェフラー自身、今シーズンについて「この1年で、ほぼ一生分を生きたような気がする。狂気の沙汰だ。今年は素晴らしい年で、本当に特別だ」と述べた。

以前は、世界ランク1位になっても過小評価されがちだった彼だが、世界中のゴルフファンにその実力を認めさせた1年でもあった。

最終戦には、フェデックスカップ3位で乗り込んだ、今季2勝の松山英樹。最終的には9位タイで今シーズンを終了。©GettyImages

2024年フェデックスカップツアー選手権
最終成績(最終ポイントランキング)

1位スコッティ・シェフラー−30
2位コリン・モリカワ−26
3位サヒス・シガーラ−24
4位ラッセル・ヘンリー
アダム・スコット
ザンダー・シャウフェレ
−19
7位イム・ソンジェ−18
8位ウィンダム・クラーク−17
9位ローリー・マキロイ
松山英樹
シェーン・ローリー
−16
12位ビクトル・ホブラン−15
14位ジャスティン・トーマス−14
15位ルドビグ・オーバーグ−12
20位トミー・フリートウッド−10

Text/Eiko Oizumi
Photo/Getty Images

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