PGAツアーで勝利なし
メジャーでも不発
過去2か月間、PGAツアーやLPGAツアーでプレーする韓国の男女プロゴルファーたちは、非常に苦しい状況に直面していた。
優勝することができず、挫折と不満に苛まれていたのだ。
7月1週に開催された「ジョンディア・クラシック」では、イム・ソンジェが12位タイ、S・H・キムが34位タイだった。
また、一緒に出場していたイ・キョンフンは予選落ちを喫した。
その後、有名選手たちはスコットランドに移動し、「ジェネシス・スコティッシュオープン」に出場。
トム・キムは、序盤は不安定なプレーを見せたが、最終的には15位タイで大会を終えた。
今回は特に、イム・ソンジェの活躍が目立ち、4位タイでフィニッシュした。
昨年、ロイヤル・リバプールGCで開催された「全英オープン」で、韓国選手の中で最高位(2位タイ)に入ったトム・キムだったが、今年はショットが不安定で、予選通過を果たせなかった。
イム・ソンジェはかろうじて持ち堪え、7位タイに入ったが、アン・ビョンフンは13位タイ、キム・シウは43位タイに終わった。
パリ五輪で流したトム・キムの涙の理由
トム・キム、アン・ビョンフンは悔しさを胸に、「パリ五輪」へ向かった。
五輪に参加した2人の選手のうち、トム・キムが注目を集めた。
初日3位タイ、2日目は5位タイ、3日目は6位タイだったが、最終日、彼は期待されていたメダルを獲得することはできなかった。
スコアカードを提出した後、彼は涙を見せた。彼が太極旗(韓国の国旗)を背負って感じた、初めての熱い思いだった。
これに対して、外国メディアは「トム・キムは(メダルを取れず)、軍隊に入らなければならないから泣いていた」と報じた。
分断国家である韓国では、兵役は義務だからである。
これに対しトム・キムは、「メダルが取れなかったから、泣いたわけではない。オリンピックは初めてで、こんなに感動するとは思ってもみなかった。自分の国を代表することに、大きなプレッシャーを感じたし、まだ男子ゴルフではメダルがないので、良いチャンスだと思った。メダルを取れば韓国のゴルフにとってもプラスになると考えた。ソン・フンミン(韓国のサッカー選手)が泣いた理由が理解できた」と述べた。
トム・キムはラウンド終了後、金メダリストのスコッティ・シェフラーと会話を交わした。
トム・キムとスコッティ・シェフラーは友人であり、誕生日と宗教が同じだ。
今年は、彼らの喜びと悲しみが、交錯することも多く、6月の「トラベラーズ選手権」では2人でプレーオフを繰り広げたが、結果はオリンピックと同じく、スコッティ・シェフラーに軍配が上がった。
1打差でメダルを逃したエイミー・ヤン
LPGAツアーでプレーする韓国の女子プロたちも、苦しい2か月を過ごしてきた。
6月にエイミー・ヤンが「KPMG全米女子プロ」で優勝した時、韓国人選手たちが再び活躍することを誰もが期待した。
しかしその後、彼女たちは何度も優勝のチャンスを逃した。
カン・ヘジとキム・インキョンは「ダウ選手権」で3位タイ。ユ・ヘランは「アムンディ・エビアン選手権」と「ダナオープン」でそれぞれ5位と2位に。
ジェニー・シンとユ・ヘランは、「CPKC女子オープン」で3位タイ。
アン・ナリンは「ポートランドクラシック」で2位タイに入った。
こうして韓国人選手は常にトップ5に名を連ねていたが、優勝できなかったのだ。
これは、「五輪女子ゴルフ」でも同様だった。
韓国は、コ・ジンヨン、キム・ヒョージュ、エイミー・ヤンの3選手が出場したが、オリンピックが始まると、コ・ジンヨンとキム・ヒョージュは調子を崩し、上位から遠ざかっていった。
そんな中、エイミー・ヤンは初日13位タイ、2日目14位タイ、そして3日目には11位タイだった。
メダルを狙うのは難しい状況に見えたが、彼女は最終日に力を振り絞り、粘り強く戦い続けた。
ヤンは、銅メダルを獲得した中国のリン・シユにわずか1打及ばず惜しくもメダルを逃し、悲しそうな表情を見せた。
ヤンは、「2016年の『リオ五輪』でもメダルを取るチャンスがあった。またそのチャンスがあっただけに悲しい。今夜は眠れそうにない」と語った。
一方、コ・ジンヨンは、今回の失敗のおかげで、ゴルフをより楽しめるようになったと話している。
「後悔や失望よりも、もっと良いパフォーマンスを思い出して心に刻むようにしている。自分のプレーは残念だが、これからはもっとゴルフを楽しめる選手になりたい」
義理の母の弁当で金メダル獲得
韓国生まれのリディア・コー
女子オリンピックで金メダルを獲得したのは、ニュージーランドのリディア・コー。
彼女はニュージーランドに移住した韓国生まれのゴルファーだ。
彼女は韓国の財閥である現代(ヒュンダイ)グループに嫁いだが、オリンピック期間中、義母であり、現代商業のCEOであるチョン・ミョンイ氏が、韓国の弁当を彼女に届けた。
これは、嫁の体調を整えるためだった。
その弁当は、韓国のアーチェリー代表チームと同じもので、アーチェリー代表チームのスポンサーも現代グループである。
この2か月間、涙を見せた選手もいれば、後悔のあまり不眠に悩まされた選手もいるが、今年の残りと来シーズンに、彼らがどんな再挑戦を見せるのかが楽しみだ。
Text/Donghoon Lee
イ・ドンフン
ソウル生まれのゴルフライター。アジュビジネスデイリー紙、ゴルフマガジン、ゴルフジャーナル(ともに韓国)などに寄稿。2021年韓国PGA感謝賞受賞。